目次
1.予選の期間的な限界
(1)著名な先例:昭和41年1月20日民事甲第271号民事局長回答
昭和41年1月20日民事甲第271号民事局長回答【要旨】
【秋田県司法書士会長から日司連への照会(以下「秋田県照会」という。)】
昭和40年6月10日の定時株主総会において取締役全員(任期は昭和40年8月10日まで。)の予選決議を行った。予選取締役全員が重任を承諾し、同日、取締役会を開催して代表取締役を予選し、予選代表取締役が重任を承諾した。この場合、前記任期満了後(8月11日以降)において取締役、代表取締役の重任による変更登記の申請は受理されるものと考えますが、いかが?【日司連から民事局長への照会(以下「日司連照会」という。】
前記照会につき、前任代表取締役の任期満了時と後任者の選任時との間に合理的な期間(例えば1カ月)が存すれば、その選任は有効と解しますが、いかが?【民事局長回答】
貴見(日司連意見)のとおり。
(2)代表取締役の予選は1カ月!
秋田県照会では、2カ月前に取締役と代表取締役を予選してもOKだよねというもの。
日司連照会では、「合理的な期間(1カ月)」であればOKだよねというもの。
回答は、日司連照会を是としている。
当該照会につき、登記研究 221号46頁に解説が掲載されているので、正確な内容は、そちらを参照のこと。
2.考え方
(1)基本的な考え方(予選を無限定に認めるべきでない理由)
- 株主総会や取締役会の決議など、多数間の法律関係に影響をあたえる法律行為については、法律効果の発生が不確定となる状況・期間は限定されるべき。
- よって、決議に期限等を付さなければならないとする合理的な理由があり、かつ効果確定までの期間が比較的短い場合には、株主総会または取締役会の決議の効力を期限等にかからしめることができる。
(2)株主総会における予選
【取締役の予選(株主総会はどれくらい頻回に開催すべきか。)】
取締役の選任は株主総会においてなされる。
本来ならば、予選をするくらいならば、「予選ではなく改めて株主総会を開催すればよい」といえる。
とはいえ、株主総会を開催するには諸々の手続きを踏む必要があるわけで、そういったことを考慮すると、2カ月くらいの予選であれば一定の合理性があるといえるのではないか。
(3)取締役会における予選
【代表取締役の予選(取締役会はどれくらい頻回に開催すべきか。)】
代表取締役の選任は取締役会においてなされるのが原則。
そして、株主総会と異なり、取締役会は必要に応じて常時開催されるべきものであるから、予選(選任するための役会開催の省略)はヨリ限定的に考えられるべき。
そうなると少なくとも1カ月は超えないべきだ。
現代社会においては、オンライン会議も可能であるし、期限を付す合理性とか確定までの期間をどう考えるべきか。。まぁ1カ月かな。
なお、代表取締役の予選が可能となる条件(取締役のメンツ)についても、別途留意のこと。
