監査役の報酬

1.条文

(1)監査役について

参照条文

会社法(平成十七年法律第八十六号)

(監査役の報酬等)
第三百八十七条 
監査役の報酬等は、定款にその額を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
2 監査役が二人以上ある場合において、各監査役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、前項の報酬等の範囲内において、監査役の協議によって定める。
3 監査役は、株主総会において、監査役の報酬等について意見を述べることができる。

監査役の選任議案と異なり、株主総会への議案提出にあたり、監査役の同意は不要。

監査役は、株主総会において「意見」を述べることができる。

参照条文

(監査役の選任に関する監査役の同意等)
第三百四十三条 
取締役は、監査役がある場合において、監査役の選任に関する議案を株主総会に提出するには、監査役(監査役が二人以上ある場合にあっては、その過半数)の同意を得なければならない。
(・・・)

(2)【比較】取締役について

参照条文

(取締役の報酬等)
第三百六十一条 
取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章【第四章 機関】において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。
一 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
二 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
三 報酬等のうち当該株式会社の募集株式(第百九十九条第一項に規定する募集株式をいう。以下この項及び第四百九条第三項において同じ。)については、当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項
四 報酬等のうち当該株式会社の募集新株予約権(第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権をいう。以下この項及び第四百九条第三項において同じ。)については、当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項
五 報酬等のうち次のイ又はロに掲げるものと引換えにする払込みに充てるための金銭については、当該イ又はロに定める事項
イ 当該株式会社の募集株式 取締役が引き受ける当該募集株式の数(種類株式発行会社にあっては、募集株式の種類及び種類ごとの数)の上限その他法務省令で定める事項
ロ 当該株式会社の募集新株予約権 取締役が引き受ける当該募集新株予約権の数の上限その他法務省令で定める事項
六 報酬等のうち金銭でないもの(当該株式会社の募集株式及び募集新株予約権を除く。)については、その具体的な内容
(・・・)

【参考記事:取締役の報酬と株主総会決議】

2.整理

(1)監査役の独立性

監査役の報酬は、定款でその額を定めていないときは「株主総会の決議」によって定める。

監査役の独立性を確保するため、代表取締役や取締役(会)による決定は不可である。

(2)株主総会における「総額」の決定の可否

可とされる。

387条2項は、株主総会において総額決定がなされることを前提として、各監査役の個別報酬につき、定款の定め又は株主総会の決議がない場合は「監査役の協議」により定めるとされている。

監査役が一人しかいない場合においても、報酬上限を株主総会で定め、その範囲内で監査役自身が具体的報酬額を決定することができる。
【参考:田中 亘 (著)『会社法 第4版』‎ 東京大学出版会 (2023/3/31)P.309】

当然ながら、総額(上限)を株主総会で定めたとしても、各監査役の個別報酬の決定を取締役(会)に委任することは不可である。

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