株式会社の清算結了と法人格消滅について

2021年10月24日

1.清算結了

(1)条文

参照条文

会社法(平成十七年法律第八十六号)
第五百七条 
清算株式会社は、清算事務が終了したときは、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、決算報告を作成しなければならない。
2 清算人会設置会社においては、決算報告は、清算人会の承認を受けなければならない。
3 清算人は、決算報告(前項の規定の適用がある場合にあっては、同項の承認を受けたもの)を株主総会に提出し、又は提供し、その承認を受けなければならない。
4 前項の承認があったときは、任務を怠ったことによる清算人の損害賠償の責任は、免除されたものとみなす。ただし、清算人の職務の執行に関し不正の行為があったときは、この限りでない。

清算事務が終了し、清算人によって作成された決算報告が株主総会において承認されると、清算は結了し法人格は消滅する。

とはいえ、条文上は「法人格は消滅する」とは記載されていない。

(2)関連規定から読み込む?

参照条文

(清算株式会社の能力)
第四百七十六条 
前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。

「清算の結了」=「決算報告の株主総会における承認」となる?

なお、その後に行われる「清算結了の登記」は報告的な登記であり、設立登記申請と異なり創設的な効力をもつわけではない。

2.(参考)清算結了の登記

(1)条文

参照条文

(清算結了の登記)
第九百二十九条 
清算が結了したときは、次の各号に掲げる会社の区分に応じ、当該各号に定める日から二週間以内に、その本店の所在地において、清算結了の登記をしなければならない。
一 清算株式会社 第五百七条第三項の承認の日
二 清算持分会社(合名会社及び合資会社に限る。) 第六百六十七条第一項の承認の日(第六百六十八条第一項の財産の処分の方法を定めた場合にあっては、その財産の処分を完了した日)
三 清算持分会社(合同会社に限る。) 第六百六十七条第一項の承認の日

登記義務の起算点が、決算報告につき株主総会の承認を受けた日となっている。

(2)添付書類

参照条文

商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)

(清算結了の登記)
第七十五条
清算結了の登記の申請書には、会社法第五百七条第三項の規定による決算報告の承認があつたことを証する書面を添付しなければならない。

このほか商業登記法46条、同規則61条。

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