株式払込金保管証明書

2016年4月9日

1.株式払込金保管証明書とは

会社設立の際に聞く、株式払込金保管証明書。

会社法上で、関連する条文は次のとおり。

(1)会社法の定め

会社法

第六十四条  第五十七条第一項の募集をした場合には、発起人は、第三十四条第一項及び前条第一項の規定による払込みの取扱いをした銀行等に対し、これらの規定により払い込まれた金額に相当する金銭の保管に関する証明書の交付を請求することができる。

2  前項の証明書を交付した銀行等は、当該証明書の記載が事実と異なること又は第三十四条第一項若しくは前条第一項の規定により払い込まれた金銭の返還に関する制限があることをもって成立後の株式会社に対抗することができない。

第五十七条  発起人は、この款の定めるところにより、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする旨を定めることができる。

第三十四条  発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、その引き受けた設立時発行株式につき、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。ただし、発起人全員の同意があるときは、登記、登録その他権利の設定又は移転を第三者に対抗するために必要な行為は、株式会社の成立後にすることを妨げない。

第六十三条  設立時募集株式の引受人は、第五十八条第一項第三号の期日又は同号の期間内に、発起人が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、それぞれの設立時募集株式の払込金額の全額の払込みを行わなければならない。

2.登記手続きにおける利用

(1)条文の確認

商業登記法上では、次のとおり。

商業登記法

第四十七条

2  設立の登記の申請書には、法令に別段の定めがある場合を除き、次の書面を添付しなければならない。

五  会社法第三十四条第一項 の規定による払込みがあつたことを証する書面(同法第五十七条第一項の募集をした場合にあつては、同法第六十四条第一項 の金銭の保管に関する証明書

(2)具体的に考えると

具体的に「払込みがあったことを証する書面」が何であるかは、通達(平成18・3・31民商782)で説明がなされていて、実務上利用するのは、設立時代表取締役が作成する払込があったことを証する書面(払込取扱機関における口座の通帳の写しを合綴する。)である。
直接本稿テーマとは関係がないけれど、当該書面の考え方(様式)としては、

①登記申請用に調製するものであるから登記申請人たる設立時代表取締役が作成名義人となる。そこからさらに、本書には登記所提出の印鑑を押印する。

②一方で、口座名義人は、払込を受ける地位にある「発起人」である(仮に、設立時代表取締役名義の口座へ入金したい場合には、発起人からの権限委任を受ける必要がある。)。

③また「払込み」があったことを証明する必要から、出資金額相当の残高があるだけでは不十分で、所定金額の払い込みがなされている必要がある。

募集設立の場合には、カッコ内に記載のあるように、払込金保管証明書を添付しなければいけない。

この株式払込金保管証明書の発行手数料を調べてみたが、3メガバンクのHPでは確認できなかった。
書類の名前が「株式払込金保管証明書」ではないのか?

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