民法法人から一般社団法人等への法改正の流れ

2021年5月13日

ごく簡単に。

1.法律の改正

従来民法に規定されていた法人法について、改めて法律を整備した。
あらたに制定されたのが次の3法。

  1. 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)
  2. 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)
  3. 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十八年法律第五十号)

以下、順に、一法、公法、整備法と記載します。

2.経過措置

民法法人(社団法人、財団法人)については、一法施行後5年を移行期間とした。
移行期間内に、①一社・一財となるか、②公社、公財となるかを選択する。何もしないと移行期間満了時に解散となる。

なお移行期間中の民法法人は、特例社団法人、特例財団法人と呼ばれていた。

3.民法上の法人規定

3法の成立に伴い、民法上の法人規定は大幅に削除されている。現在も残っているのは、民法33条から37条まで。38条以下の法人関連規定は削除されている。

なお、「法人は登記すべし」というのは民法36条として、民法に規定されている。

4.公益法人設立プロセスの変更

従来は、公益法人は行政庁の許可によって設立されていた。
この点改められ、改正により、「①一社・一財の設立」+「②公益認定」=「公社・公財」という2段階の手続きに改められた。

改正前民法
第三十四条
学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。

現行民法
第三十三条
法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。
2 学術、技芸、慈善、祭祀し、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。 

5.中間法人の整理

改正前においては、中間法人という種類の法人が存在していた。

旧中間法人法
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 中間法人 社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ、剰余金を社員に分配することを目的としない社団であって、この法律により設立されたものをいう。

(・・・)

 中間法人法は、3法の成立に伴い廃止。経過措置については整備法にて、つぎのように規定されている。

整備法
第二条
前条の規定による廃止前の中間法人法(以下「旧中間法人法」という。)の規定による有限責任中間法人であってこの法律の施行の際現に存するもの(以下「旧有限責任中間法人」という。)は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後は、この款の定めるところにより、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号。以下「一般社団・財団法人法」という。)の規定による一般社団法人として存続するものとする。
(・・・)

第二十四条
旧中間法人法の規定による無限責任中間法人であってこの法律の施行の際現に存するもの(以下「旧無限責任中間法人」という。)は、施行日以後は、この款の定めるところにより、一般社団・財団法人法の規定による一般社団法人として存続するものとする。
(・・・)

第三十七条
特例無限責任中間法人が施行日から起算して一年を経過する日までに第三十三条第一項の登記の申請をしないときは、当該特例無限責任中間法人は、その日が経過した時に解散したものとみなす。
(・・・)

第三十三条
前条の規定による手続【通常の一般社団法人への移行手続き】が終了したときは、特例無限責任中間法人は、その主たる事務所の所在地においては二週間以内に、その従たる事務所の所在地においては三週間以内に、当該特例無限責任中間法人については解散の登記をし、移行後の一般社団法人については設立の登記をしなければならない。