以下、社会福祉法(昭和二十六年三月二十九日法律第四十五号)の引用条文は未施行の平成28年3月31日法律第21号による。この法律は、平成29年4月1日から施行。
内容も大改正であるが、改正後対応への要求が非常にシビア。。。
目次
1.主要改正点
(1)経営組織のガバナンスの強化
議決機関としての評議員会を必置とする(小規模法人について評議員定数の経過措置。)。
役員・理事会・評議員会の権限・責任に係る規定を整備。
親族等特殊関係者の理事等への選任の制限に係る規定を整備。
(2)事業運営の透明性の向上
(3)財務規律の強化
(4)地域における公益的な取組を実施する責務
(5)行政の関与の在り方
2.改正対応
(1)附則
附則第七条
この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に設立された社会福祉法人は、施行日までに、必要な定款の変更をし、所轄庁の認可を受けなければならない。
2 前項の認可があったときは、同項に規定する定款の変更は、施行日において、その効力を生ずる。
(2)定款変更
現行規定による定款
社会福祉法人定款準則(平成 26 年5月 29 日改正時点)
第 25 条
この定款を変更しようとするときは,理事総数の3分の2以上の同意を得て,〔所轄庁〕の認可(社会福祉法第 43 条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項に係るものを除く。)を受けなければならない。
3.評議会の必置化
(1)改正後の条文
社会福祉法(昭和二十六年三月二十九日法律第四十五号)
第三十六条
社会福祉法人は、評議員、評議員会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。
第三十一条
社会福祉法人を設立しようとする者は、定款をもつて少なくとも次に掲げる事項を定め、厚生労働省令で定める手続に従い、当該定款について所轄庁の認可を受けなければならない。
五 評議員及び評議員会に関する事項
(2)経過措置
施行日までに対応しなければならない。なんということ。。。
附則第七条
この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に設立された社会福祉法人は、施行日までに、必要な定款の変更をし、所轄庁の認可を受けなければならない。
4.評議員の資格・任期
(1)改正後の規定
資格に関する制限が厳しい。
第四十条
次に掲げる者は、評議員となることができない。
2 評議員は、役員又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができない。
3 評議員の数は、定款で定めた理事の員数を超える数でなければならない。
4 評議員のうちには、各評議員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各評議員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が含まれることになつてはならない。
5 評議員のうちには、各役員について、その配偶者又は三親等以内の親族その他各役員と厚生労働省令で定める特殊の関係がある者が含まれることになつてはならない。
第四十一条
評議員の任期は、選任後四年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、定款によつて、その任期を選任後六年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時まで伸長することを妨げない。
(2)経過措置
施行日までに対応しなければならない。
附則第九条
施行日前に設立された社会福祉法人は、施行日までに、あらかじめ、新社会福祉法第三十九条の規定の例により、評議員を選任しておかなければならない。
なお小規模法人については、評議員数について以下の経過措置が設けられている。とはいえ「4名以上」。
しかも、この評議員の権限は重い。
附則第十条
この法律の施行の際現に存する社会福祉法人であって、その事業の規模が政令で定める基準を超えないものに対する新社会福祉法第四十条第三項の規定の適用については、施行日から起算して三年を経過する日までの間、同項中「定款で定めた理事の員数を超える数」とあるのは、「四人以上」とする。
5.役員の資格・任期
第四十三条
役員及び会計監査人は、評議員会の決議によつて選任する。
第四十四条
第四十条第一項の規定は、役員について準用する。
2 監事は、理事又は当該社会福祉法人の職員を兼ねることができない。
3 理事は六人以上、監事は二人以上でなければならない。
第四十五条
役員の任期は、選任後二年以内に終了する会計年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までとする。ただし、定款によつて、その任期を短縮することを妨げない。
(2)経過措置
附則第十四条
この法律の施行の際現に在任する社会福祉法人の役員の任期は、新社会福祉法第四十五条の規定にかかわらず、施行日以後最初に招集される定時評議員会の終結の時までとする。
附則第十一条
新社会福祉法第四十三条第一項の規定は、施行日以後に行われる社会福祉法人の役員(理事及び監事をいう。以下同じ。)の選任について適用する。
6.議事録への署名捺印
(1)評議員会の議事録
法律上の規定なし
第四十五条の十一
評議員会の議事については、厚生労働省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
(2)理事会の議事録
規定があります。なお、理事長は登記事項であり、理事長の選任書面については商業登記規則61条6項3号がかかってきます。
(登記については後述)
第四十五条の十四
6 理事会の議事については、厚生労働省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもつて作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した理事長とする旨の定めがある場合にあつては、当該理事長)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
【おまけ】社会福祉法人とは
社会福祉法(昭和二十六年三月二十九日法律第四十五号)
第二十二条
この法律において「社会福祉法人」とは、社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人をいう。
第二条
この法律において「社会福祉事業」とは、第一種社会福祉事業及び第二種社会福祉事業をいう。
2 次に掲げる事業を第一種社会福祉事業とする。
一 生活保護法 (・・・)に規定する救護施設、更生施設その他生計困難者を無料又は低額な料金で入所させて生活の扶助を行うことを目的とする施設を経営する事業及び生計困難者に対して助葬を行う事業
二 児童福祉法 (・・・)に規定する乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、障害児入所施設、情緒障害児短期治療施設又は児童自立支援施設を経営する事業
三 老人福祉法 (・・・)に規定する養護老人ホーム、特別養護老人ホーム又は軽費老人ホームを経営する事業
四 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 (・・・)に規定する障害者支援施設を経営する事業
(・・・)
3 次に掲げる事業を第二種社会福祉事業とする。
一 生計困難者に対して、その住居で衣食その他日常の生活必需品若しくはこれに要する金銭を与え、又は生活に関する相談に応ずる事業
一の二 生活困窮者自立支援法 (・・・)に規定する認定生活困窮者就労訓練事業
二 児童福祉法 に規定する障害児通所支援事業、障害児相談支援事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業、子育て短期支援事業、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業、地域子育て支援拠点事業、一時預かり事業、小規模住居型児童養育事業、小規模保育事業、病児保育事業又は子育て援助活動支援事業、同法 に規定する助産施設、保育所、児童厚生施設又は児童家庭支援センターを経営する事業及び児童の福祉の増進について相談に応ずる事業
二の二 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律 (・・・)に規定する幼保連携型認定こども園を経営する事業
三 母子及び父子並びに寡婦福祉法 (・・・)に規定する母子家庭日常生活支援事業、父子家庭日常生活支援事業又は寡婦日常生活支援事業及び同法 に規定する母子・父子福祉施設を経営する事業
四 老人福祉法 に規定する老人居宅介護等事業、老人デイサービス事業、老人短期入所事業、小規模多機能型居宅介護事業、認知症対応型老人共同生活援助事業又は複合型サービス福祉事業及び同法 に規定する老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、老人福祉センター又は老人介護支援センターを経営する事業
四の二 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 に規定する障害福祉サービス事業、一般相談支援事業、特定相談支援事業又は移動支援事業及び同法 に規定する地域活動支援センター又は福祉ホームを経営する事業
五 身体障害者福祉法 (・・・)に規定する身体障害者生活訓練等事業、手話通訳事業又は介助犬訓練事業若しくは聴導犬訓練事業、同法 に規定する身体障害者福祉センター、補装具製作施設、盲導犬訓練施設又は視聴覚障害者情報提供施設を経営する事業及び身体障害者の更生相談に応ずる事業
(・・・)
【おまけ2】登記関連の条文(長い)
基本条文。
社会福祉法(昭和二十六年三月二十九日法律第四十五号)
第二十八条
社会福祉法人は、政令の定めるところにより、その設立、従たる事務所の新設、事務所の移転その他登記事項の変更、解散、合併、清算人の就任又はその変更及び清算の結了の各場合に、登記をしなければならない。
具体的な定めは 「組合等登記令」と「各種法人等登記規則」に規定されている。
組合等登記令(昭和三十九年三月二十三日政令第二十九号)
第一条
別表の名称の欄に掲げる法人(以下「組合等」という。)の登記については、他の法令に別段の定めがある場合を除くほか、この政令の定めるところによる。
【別表(抜粋)】
名称:社会福祉法人
根拠法:社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)
登記事項:代表権の範囲又は制限に関する定めがあるときは、その定め、資産の総額
第二条
組合等の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、設立の認可、出資の払込みその他設立に必要な手続が終了した日から二週間以内にしなければならない。
2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的及び業務
二 名称
三 事務所の所在場所
四 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
五 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その期間又は事由
六 別表の登記事項の欄に掲げる事項
第十七条
第二条第二項各号に掲げる事項の変更の登記の申請書には、その事項の変更を証する書面を添付しなければならない。ただし、代表権を有する者の氏、名又は住所の変更の登記については、この限りでない。
第二十五条
商業登記法 (昭和三十八年法律第百二十五号)第一条の三 から第五条 まで、第七条から第十五条まで、第十七条から第二十三条の二まで、第二十四条(第十六号を除く。)、第二十五条から第二十七条まで、第四十八条から第五十三条まで、第七十一条第一項、第七十九条、第八十二条から第八十四条まで、第八十七条、第八十八条及び第百三十二条から第百四十八条までの規定は、組合等の登記について準用する。(・・・)。
準用される条文。
商業登記法(昭和三十八年七月九日法律第百二十五号)
第十八条
代理人によつて登記を申請するには、申請書(前条第四項に規定する電磁的記録を含む。以下同じ。)にその権限を証する書面を添付しなければならない。
第十九条
官庁の許可を要する事項の登記を申請するには、申請書に官庁の許可書又はその認証がある謄本を添附しなければならない。
規則については、以下の通り。
各種法人等登記規則(昭和三十九年三月三十一日法務省令第四十六号)
第一条
会社、一般社団法人及び一般財団法人、(・・・)投資法人並びに(・・・)特定目的会社を除くその他の法人(以下「各種法人」という。)並びに外国会社を除くその他の外国法人(以下「各種外国法人」という。)の登記の取扱手続は、この省令の定めるところによる。第五条
商業登記規則 (昭和三十九年法務省令第二十三号)第一条の二第一項 、第二条から第六条まで、第九条から第十一条まで、第十三条から第二十二条まで、第二十七条から第四十五条まで、第四十八条から第五十条まで、第五十三条第二項、第五十八条から第六十条まで、第七十五条、第九十八条から第百九条まで、第百十一条、第百十二条及び第百十四条から第百十八条までの規定は各種法人等の登記について、商業登記法 (昭和三十八年法律第百二十五号)第四十六条第一項 並びに同規則第一条の二第二項 、第六十一条第一項、第六項及び第八項、第六十二条から第六十八条まで、第七十条から第七十四条まで、第七十六条から第七十八条まで、第八十条から第八十一条の二まで、第百十条並びに第百十三条の規定は各種法人の登記について、同規則第一条の二第三項、第九十三条、第九十四条第二項、第九十五条、第九十六条第一項(第三号から第六号までを除く。)及び第二項並びに第九十七条の規定は各種外国法人の登記について準用する。(・・・)。
準用される条文。
商業登記規則(昭和三十九年三月十一日法務省令第二十三号)
第六十一条
6 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑