目次
1.株主総会決議による解散を前提として
(1)解散事由の確認
会社法(平成十七年法律第八十六号)
(解散の事由)
第四百七十一条
株式会社は、次に掲げる事由によって解散する。
一 定款で定めた存続期間の満了
二 定款で定めた解散の事由の発生
三 株主総会の決議
四 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 第八百二十四条第一項又は第八百三十三条第一項の規定による解散を命ずる裁判
「株主総会の決議」による解散がほとんどかと思うので、以下「株主総会の決議」による解散を前提とする。
(2)株主総会において解散を決議する際の決議要件
(株主総会の決議)
第三百九条
(・・・)
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
(・・・)
十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
「第六章から第八章」とあるが、各章のタイトルは次のとおり。
- 第6章:定款の変更
- 第7章:事業の譲渡等
- 第8章:解散
というわけで特別決議となる。
- 当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主の出席
- 出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数
2.清算人の選任
小規模会社(取締役2名代表取締役1名の会社)を前提として
(1)清算人の必要性
(清算の開始原因)
第四百七十五条
株式会社は、次に掲げる場合には、この章の定めるところにより、清算をしなければならない。
一 解散した場合(第四百七十一条第四号に掲げる事由によって解散した場合及び破産手続開始の決定により解散した場合であって当該破産手続が終了していない場合を除く。)
二 設立の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
三 株式移転の無効の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合
(清算株式会社の能力)
第四百七十六条
前条の規定により清算をする株式会社(以下「清算株式会社」という。)は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなす。
第四百七十七条
清算株式会社には、一人又は二人以上の清算人を置かなければならない。
2 清算株式会社は、定款の定めによって、清算人会、監査役又は監査役会を置くことができる。
3 監査役会を置く旨の定款の定めがある清算株式会社は、清算人会を置かなければならない。
(・・・)
7 第四章第二節【株主総会以外の機関の設置】の規定は、清算株式会社については、適用しない。
株主総会の決議により解散をした株式会社は「清算」をしなければならない。
清算をする株式会社は「清算株式会社」として、清算の目的の範囲内において、清算結了まで存続する。
そして、清算株式会社には「1人または2人以上の清算人」をおかなければならない。
(2)清算人となる人
(清算人の就任)
第四百七十八条
次に掲げる者は、清算株式会社の清算人となる。
一 取締役(次号又は第三号に掲げる者がある場合を除く。)
二 定款で定める者
三 株主総会の決議によって選任された者
2 前項の規定により清算人となる者がないときは、裁判所は、利害関係人の申立てにより、清算人を選任する。
(・・・)
8 第三百三十条、第三百三十一条第一項及び第三百三十一条の二の規定は清算人について、第三百三十一条第五項の規定は清算人会設置会社(清算人会を置く清算株式会社又はこの法律の規定により清算人会を置かなければならない清算株式会社をいう。以下同じ。)について、それぞれ準用する。この場合において、同項中「取締役は」とあるのは、「清算人は」と読み替えるものとする。
清算人について準用される条文は次のとおり。
- 330条:株式会社と役員等との関係は「委任に関する規定」に従う。
- 331条1項:取締役の資格等
- 331条の2:成年被後見人が取締役に就任する場合
332条(取締役の任期)は準用されていないので、清算人について任期の定めはない。
3.代表清算人について
(1)条文を確認
(清算株式会社の代表)
第四百八十三条
清算人は、清算株式会社を代表する。ただし、他に代表清算人(清算株式会社を代表する清算人をいう。以下同じ。)その他清算株式会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の清算人が二人以上ある場合には、清算人は、各自、清算株式会社を代表する。
3 清算株式会社(清算人会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく清算人(第四百七十八条第二項から第四項までの規定により裁判所が選任したものを除く。以下この項において同じ。)の互選又は株主総会の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができる。
4 第四百七十八条第一項第一号【法定清算人】の規定により取締役が清算人となる場合において、代表取締役を定めていたときは、当該代表取締役が代表清算人となる。
5 裁判所は、第四百七十八条第二項から第四項までの規定により清算人を選任する場合には、その清算人の中から代表清算人を定めることができる。
6 第三百四十九条第四項及び第五項並びに第三百五十一条の規定は代表清算人について、第三百五十二条の規定は民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算人又は代表清算人の職務を代行する者について、それぞれ準用する。
483条6項にて準用されている各条項の概要は以下のとおり。
- 349条4項:代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
- 349条5項:前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
- 351条:代表取締役に欠員を生じた場合の措置