戦没者等の遺族に対する特別弔慰金

1.趣旨

(1)厚労省HPより抜粋

戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法は、先の大戦において公務等のため国に殉じた軍人、軍属及び準軍属の方々に思いをいたし、戦後20周年(昭和40年)、30周年(昭和50年)、40周年(昭和60年)、50周年(平成7年)、60周年(平成17年)、70周年(平成27年)という特別な機会(この年の4月1日を「基準日」といいます)をとらえ、国として弔慰の意を表すために特別弔慰金(国債)を支給するもの

「戦傷病者及び戦没者遺族への援護」厚生労働省HP(23.4.28確認)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/senbotsusha/seido03/index.html

(2)過去の支給状況

昭和40年、50年、54年(特例的措置)、60年、平成元年(特例的措置)、平成7年、平成11年(特例的措置)、平成17年、平成21年(特例的措置)、平成27年、令和2年。

特例的措置というのは、「基準日」以後に新たに対象となった遺族に対して特例的に支給されたもの。

2.支給対象者

(1)支給対象者に関する規定

参照条文

戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法(昭和四十年法律第百号)

(定義)
第二条 
この法律において「戦没者等の遺族」とは、死亡した者の死亡に関し、平成三十二年四月一日までに戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号。以下「遺族援護法」という。)による弔慰金(以下「弔慰金」という。)を受ける権利を取得した者で、同日において日本の国籍を有しているもの(同日において離縁によつて死亡した者との親族関係が終了しているものを除く。)をいう。ただし、当該死亡した者の死亡の当時における配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者を含む。以下同じ。)で、次の各号のいずれかに該当するものを除く。
一 死亡した者の死亡の日以後遺族援護法第三十五条第一項に規定する遺族(以下この項及び次条において「遺族」という。)以外の者と婚姻(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情に入つていると認められる場合を含む。以下同じ。)をした配偶者のうち、同法第三十六条第一項第一号括弧中のただし書の規定に該当したため同号の順位の遺族として弔慰金を受ける権利を取得した配偶者(遺族以外の者と法律上の婚姻をした配偶者を除く。)で、その権利を取得した当時同項第二号から第九号までに掲げるいずれかの者があつたもの
二 弔慰金を受ける権利を取得した後平成三十二年四月一日前に遺族以外の者と婚姻をした配偶者(死亡した者と同じ氏を称していた配偶者で、その氏を改めないで法律上の婚姻をしたものを除く。)
2 次の各号に掲げる者は、前項の規定の適用については、弔慰金を受ける権利を取得した者とみなす。
一 死亡した者が昭和十六年十二月八日以後に死亡したとしたならば、弔慰金を受ける権利を取得したこととなる者
二 昭和六年九月十八日から昭和十二年七月六日までの間に負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した者が同月七日以後負傷し、又は疾病にかかつたとし、昭和十六年十二月八日以後に死亡したとしたならば、弔慰金(遺族援護法第三十四条第一項の規定により支給するもの(同条第二項の規定の適用によるものを除く。)に限る。)を受ける権利を取得したこととなる者
3 弔慰金を受ける権利を取得した者(前項の規定により弔慰金を受ける権利を取得した者とみなされる者を含む。次条において同じ。)が次の各号のいずれかに該当する場合において、平成三十二年四月一日に当該死亡した者の子があるときは、当該死亡した者の子は、第一項の規定の適用については、弔慰金を受ける権利を取得した者とみなす。
一 平成三十二年四月一日において、死亡しているとき、日本の国籍を有していないとき、又は離縁によつて死亡した者との親族関係が終了しているとき。
二 配偶者については、第一項各号のいずれかに該当するとき。

これは、わからない・・。

(2)戦傷病者戦没者遺族等援護法を確認

参照条文

戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和二十七年法律第百二十七号)

(弔慰金の支給)
第三十四条 
昭和十二年七月七日以後における在職期間内に、公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより、昭和十六年十二月八日以後において死亡した軍人軍属又は軍人軍属であつた者(昭和十六年十二月八日前に死亡したことが、昭和二十年九月二日以後において認定された者を含む。)の遺族には、弔慰のため、弔慰金を支給する。
2 前項の規定の適用については、軍人軍属の在職期間内の次に掲げる負傷又は疾病で、公務上の負傷又は疾病でないものは、公務上の負傷又は疾病とみなす。
一 昭和十二年七月七日以後における事変に関する勤務又は戦争に関する勤務に関連する負傷又は疾病
二 昭和二十年九月二日以後引き続き勤務していた間又は引き続き海外にあつて復員するまでの間における負傷又は疾病で厚生労働大臣が戦争に関する勤務に関連する負傷又は疾病と同視することを相当と認めるもの
3 昭和十二年七月七日以後に公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより、昭和十六年十二月八日以後において死亡した準軍属又は準軍属であつた者(昭和十六年十二月八日前に死亡したことが、昭和二十年九月二日以後において認定された者を含む。)の遺族には、弔慰のため、弔慰金を支給する。
4 前項の規定の適用については、準軍属としての勤務に関連する負傷又は疾病で、公務上の負傷又は疾病でないものは、公務上の負傷又は疾病とみなす。

(遺族の範囲)
第三十五条 
弔慰金を受けるべき遺族の範囲は、死亡した者の死亡の当時における配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及びこれらの者以外の三親等内の親族(死亡した者の死亡の当時その者によつて生計を維持し、又はその者と生計をともにしていた者に限る。)で、死亡した者の死亡の当時日本の国籍を有していたものとする。
2 第二十四条第二項及び第三項の規定は、前項の場合に準用する。この場合において、同条第三項中「第一項」とあるのは、「前項」と読み替えるものとする。

(遺族の順位)
第三十六条 
(・・・)

昭和12年7月7日というのは、盧溝橋事件が起きた日。
昭和16年12月8日というのは、米英への宣戦布告の日(真珠湾攻撃の日)。
昭和20年9月2日というのは、終戦(降伏文書への調印)の日。

3.特別弔慰金の内容

(1)記名国債の交付

参照条文

戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法(昭和四十年法律第百号)

(特別弔慰金の額及び記名国債の交付)
第五条 
特別弔慰金の額は、死亡した者一人につき二十五万円とし、五年以内に償還すべき記名国債をもつて交付する。
2 前項の規定により交付するため、政府は、必要な金額を限度として国債を発行することができる。
3 前項の規定により発行する国債は、無利子とする。
4 第二項の規定により発行する国債については、政令で定める場合を除くほか、譲渡、担保権の設定その他の処分をすることができない。
5 前各項に定めるもののほか、第二項の規定により発行する国債に関し必要な事項で、都道府県知事が処理しなければならないものは政令で、その他のものは財務省令で定める。

平成27年に支給されたものをみると、1年ごとに5万円ずつ償還期限を迎える国債が交付されていた。

(2)特別弔慰金の相続

参照条文

戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法(昭和四十年法律第百号)

(裁定)
第四条 
特別弔慰金を受ける権利の裁定は、これを受けようとする者の請求に基づいて、厚生労働大臣が行なう。

(特別弔慰金を受ける権利の受継)
第七条 
特別弔慰金を受ける権利を有する者が死亡した場合において、死亡した者がその死亡前に特別弔慰金の請求をしていなかつたときは、死亡した者の相続人は、自己の名で、死亡した者の特別弔慰金を請求することができる。
2 前条の規定は、特別弔慰金を受ける権利を有する者がその請求をしないで死亡し、同順位の相続人が数人ある場合における特別弔慰金の請求又はその裁定について準用する。第五条第一項に規定する国債の記名者が死亡し、同順位の相続人が数人ある場合における当該死亡した者の死亡前に支払うべきであつた同項に規定する国債の償還金の請求若しくはその支払又は同項に規定する国債の記名変更の請求若しくはその記名変更についても、同様とする。

(特別弔慰金を受ける権利を有する者が数人ある場合の請求等)
第六条 
同一の死亡した者について特別弔慰金を受ける権利を有する者が数人ある場合においては、その一人のした特別弔慰金の請求は、全員のためにその全額につきしたものとみなし、その一人に対してした特別弔慰金を受ける権利の裁定は、全員に対してしたものとみなす。

「特別弔慰金を受ける権利」は、相続の対象となる。

また、交付を受けた記名国債については、これも当然に相続されるのだろう。

関連記事
参考記事(外部リンク)
参照条文