未成年者と利益相反

1.条文

(1)条文

参照条文

民法(明治二十九年法律第八十九号)

(利益相反行為)
第八百二十六条 
親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。

(2)整理

1項は「親権を行う父又は母」と「その子」との利益が相反する場合について。

2項は「数人の子に対して親権を行う場合」において「その一人と他の子」との利益が相反する場合について。

いずれも家庭裁判所に特別代理人を選任することを要求している。

2.利益相反事例

(1)形式的判断説

最判平成4年12月10日(民集 第46巻9号2727頁)

参考記事(外部リンク)

親権者が子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、利益相反行為に当たらないものであるから、それが子の利益を無視して自己又は第三者の利益を図ることのみを目的としてされるなど、親権者に子を代理する権限を授与した法の趣旨に著しく反すると認められる特段の事情が存しない限り、親権者による代理権の濫用に当たると解することはできない

(2)登記先例

昭和37年10月9日民事甲第2819号通達

【要旨】
(「利益相反行為に該当する」と判断した過去の先例を変更して)
他人の債務について、親権者とその親権に服する未成年の子が共に物上保証人になることは、利益相反に該当しない。

上記先例の解説(登記研究182号89頁)では、「その行為自体について判断すればよい」(たとえば抵当権実行後における求償関係などを考慮する必要はない。)とも言われている。

3.特別代理人

(1)選任

参照条文

家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)

(審判事項)
第三十九条 
家庭裁判所は、この編に定めるところにより、別表第一及び別表第二に掲げる事項並びに同編に定める事項について、審判をする。

別表第一 六十五項「子に関する特別代理人の選任」

(管轄)
第百六十七条 
親権に関する審判事件は、子(父又は母を同じくする数人の子についての親権者の指定若しくは変更又は第三者が子に与えた財産の管理に関する処分の申立てに係るものにあっては、そのうちの一人)の住所地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

(2)権限の行使

最判昭和35年2月25日

参考記事(外部リンク)

利益相反の関係にある親権者は特別代理人の選任を求め、特別代理人と利益相反の関係にない親権者と共同して代理行為をなすべきものとする原判決の見解を正当としてこれを支持・・・

というわけで「特別代理人」と「利益相反の関係にない親権者」とが共同して代理行為をすることになる。

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