目次
1.未成年者
(1)未成年とは
民法(明治二十九年法律第八十九号)
(成年)
第四条
年齢十八歳をもって、成年とする。
18歳に達しない者を「未成年」という。
(2)未成年者の行為能力
(未成年者の法律行為)
第五条
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。
(親権者)
第八百十八条
成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
(財産の管理及び代表)
第八百二十四条
親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
2.登記申請行為との関係
登記申請行為の前提として、「意思能力」は必要であるが、形式的には司法上の法律行為ではないので行為能力の有無は問わないとされる。
登記申請行為は、実体上既に発生している権利変動を第三者に対抗するためになされるにすぎないから。
(「すぎない」といわれると、司法書士としては少し悲しい気持ちになるが・・)
そのため、つぎのとおり扱われる。
- 未成年者自らが申請人となることができる。
(この際、登記申請につき、親権者の同意は不要。) - 法定代理人が、未成年者を代理して申請人となることもできる。
関係する質疑応答については、下記がまとまっているように思う。
(登記研究 674号81頁以下「実務の視点(2)」)
なお「登記原因について、未成年者が・・・」と「登記申請について、未成年者が・・・」ということを混同しないように(自戒)。
3.遺産分割協議と登記申請
(1)遺産分割協議と未成年者
(利益相反行為)
第八百二十六条
親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
必ずしも利益相反になるわけではないが、そうなるケースが多いと思うので、上記条文を確認。
家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)
別表第一
項 | 事項 | 根拠となる法律の規定 |
親権 | ||
六十五 | 子に関する特別代理人の選任 | 民法第八百二十六条 |
特別代理人に関する詳細は主題から逸れるので省略。
(2)相続登記と未成年者
第1に、遺産分割協議に基づく相続登記にあっては、登記原因証明情報の段階で「法定代理人」が登場してくる。
第2に、登記申請人として、上記2で記載した通りであるから、法定代理人が未成年者を代理して申請するケースでは、法定代理人の資格に関する書面が必要となってくる。
(3)法定代理人からの登記申請について
昭和32年4月13日民三第379号民三課長代理回答【要約】
【照会】
親権者「甲」とその親権に服する子「乙」が遺産分割協議を行い、不動産については乙が全て取得することとなった。当該協議に基づき所有権移転登記申請をなすにあたり、申請人となるのは「特別代理人」または「親権者」甲のいずれであるか?
【回答】
どっちでもOK!