相続税の延納手続きと登記

2021年8月11日

1.延納手続きの条文(基本)

「延納」について。

なお納税猶予(租税特別措置法)との区別。

相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)

(延納の要件)
第三十八条
税務署長は、第三十三条又は国税通則法第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき相続税額が十万円を超え、かつ、納税義務者について納期限までに、又は納付すべき日に金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額として政令で定める額を限度として、五年以内(相続又は遺贈により取得した財産で当該相続税額の計算の基礎となつたものの価額の合計額(以下「課税相続財産の価額」という。)のうちに不動産、立木その他政令で定める財産の価額の合計額(以下「不動産等の価額」という。)が占める割合が十分の五以上であるときは、不動産等の価額に対応する相続税額として政令で定める部分の税額については十五年以内とし、その他の部分の相続税額については十年以内とする。)の年賦延納の許可をすることができる。この場合において、延納税額が五十万円(課税相続財産の価額のうちに不動産等の価額が占める割合が十分の五以上である場合には、百五十万円)未満であるときは、当該延納の許可をすることができる期間は、延納税額を十万円で除して得た数(その数に一未満の端数があるときは、これを一とする。)に相当する年数を超えることができない。
(・・・)
4 税務署長は、第一項又は前項の規定による延納の許可をする場合には、その延納税額に相当する担保を徴さなければならない。ただし、その延納税額が百万円以下で、かつ、その延納期間が三年以下である場合は、この限りでない。

(延納手続)
第三十九条
前条第一項の規定による延納の許可を申請しようとする者は、その延納を求めようとする相続税の納期限までに、又は納付すべき日に金銭で納付することを困難とする金額及びその困難とする理由、延納を求めようとする税額及び期間、分納税額及びその納期限その他の財務省令で定める事項を記載した申請書に担保の提供に関する書類として財務省令で定めるもの(以下この条及び第四十七条第二項において「担保提供関係書類」という。)を添付し、当該納期限までに、又は納付すべき日に、これを納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

2 税務署長は、前項の規定による申請書の提出があつた場合においては、当該申請者及び当該申請に係る事項について前条第一項及び第二項の規定に該当するか否かの調査を行い、その調査に基づき、当該申請書の提出期限の翌日から起算して三月以内に当該申請に係る税額の全部又は一部について当該申請に係る条件若しくはこれを変更した条件により延納の許可をし、又は当該申請の却下をする。ただし、税務署長が延納の許可をする場合において、当該申請者の提供しようとする担保が適当でないと認めるときは、その変更を求めることができる。

3 税務署長は、前項の規定により許可をし、又は却下をした場合においては、当該許可に係る延納税額及び延納の条件又は当該却下をした旨及びその理由を記載した書面により、これを当該申請者に通知する。

4 税務署長は、第二項ただし書の規定により担保の変更を求める場合においては、その旨及びその理由を記載した書面により、これを当該申請者に通知する。

5 税務署長は、第二項ただし書の規定により担保の変更を求めた場合において、当該申請者が前項の規定による通知を受けた日の翌日から起算して二十日以内にその変更に係る担保提供関係書類を納税地の所轄税務署長に提出しなかつたときは、第二項の規定により当該申請の却下をすることができる。

(・・・)

2.担保提供関係書類とは

租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)
(延納申請書等の記載事項等)
第二十条
(・・・)
2 法第三十九条第一項に規定する財務省令で定める書類(以下この条において「担保提供関係書類」という。)は、次の各号に掲げる担保の区分に応じ、当該各号に定める書類とする。
一 有価証券
(・・・)
二 土地
次に掲げる書類(担保の提供に係る相続税の課税価格計算の基礎となつた財産を担保に提供しようとする場合には、ロに掲げるものを除く。)
イ 担保となる土地の登記事項証明書
ロ 担保となる土地の評価の明細(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百四十一条第九号(固定資産税に関する用語の意義)に掲げる固定資産課税台帳に登録された価格について市町村長が交付する証明書(以下この条及び第二十二条第三項において「固定資産税評価証明書」という。)を含む。)
ハ 税務署長が提出を求めた場合には、次に掲げる書類を速やかに提出することを納税義務者が約する書類
(1) 抵当権の設定の登記に係る土地の所有者の当該設定を承諾する旨の書類(当該所有者の記名押印があるものに限る。)
(2) (1)の土地の所有者の印鑑証明書
三 建物(・・・)
次に掲げる書類(担保の提供に係る相続税の課税価格計算の基礎となつた財産を担保に提供しようとする場合には、ロに掲げるものを除く。)
イ 担保となる建物等の登記事項証明書その他の登記又は登録がされている事項を明らかにする書類
ロ 担保となる建物等の評価の明細(固定資産税評価証明書を含む。)
ハ 税務署長が提出を求めた場合には、次に掲げる書類を速やかに提出することを納税義務者が約する書類
(1) 抵当権の設定の登記又は登録に係る建物等の所有者の当該設定を承諾する旨の書類(当該所有者の記名押印があるものに限る。)
(2) (1)の建物等の所有者の印鑑証明書
ニ 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第一項(定義)に規定する保険業その他これに類する事業を行う者に対して提出する書類で、担保となる建物等に付された保険に係る保険金請求権に質権を設定することの承認を請求するためのもの
ホ 担保となる建物等に付された保険に係る保険証券の写し
(・・・)

なお書式集(3 様式集|国税庁

3.抵当権の設定

根拠法が違うかもしれないが、一応。

国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)
(担保の種類)
第五十条
国税に関する法律の規定により提供される担保の種類は、次に掲げるものとする。
一 (・・・)
三 土地
四 建物、立木及び登記される船舶並びに登録を受けた飛行機、回転翼航空機及び自動車並びに登記を受けた建設機械で、保険に附したもの
五 (・・・)
七 金銭

国税通則法施行令(昭和三十七年政令第百三十五号)
(担保の提供手続)
第十六条
(・・・)
3 法第五十条第三号から第五号までに掲げる担保(以下この項において「担保不動産等」という。)を提供しようとする者は、担保不動産等の提供に関し必要となる書類として財務省令で定める書類を国税庁長官等に提出しなければならない。この場合において、その提出を受けた国税庁長官等は、抵当権の設定の登記又は登録を関係機関に嘱託しなければならない
4 法第五十条第六号に掲げる担保を提供しようとする者は、保証人の保証を証する書面その他の財務省令で定める書類を国税庁長官等に提出しなければならない。

(担保の解除)
第十七条
国税庁長官等は、担保の提供があつた場合において、担保の提供されている国税が完納されたこと、担保を提供した者が法第五十一条第二項(担保の変更)の承認を受けて変更に係る担保を提供したことその他の理由によりその担保を引き続いて提供させる必要がないこととなつたときは、その担保を解除しなければならない。
2 担保の解除は、担保を提供した者にその旨を書面で通知することによつて行なう。
3 国税庁長官等は、次に掲げる担保を解除したときは、当該各号に定める手続をしなければならない。
一 (・・・)
三 法第五十条第三号から第五号まで(土地、建物等)に掲げる担保 前条第三項の規定により関係機関に嘱託した抵当権の登記又は登録の抹消の嘱託