目次
1.組織変更とは
(1)条文
会社法(平成十七年法律第八十六号)
(定義)
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(・・・)
二十六 組織変更 次のイ又はロに掲げる会社がその組織を変更することにより当該イ又はロに定める会社となることをいう。
イ 株式会社 合名会社、合資会社又は合同会社
ロ 合名会社、合資会社又は合同会社 株式会社
(・・・)
(2)整理
会社法2条26号の定義のとおり、
「株式会社」が「持分会社」になること、
あるいは「持分会社」が「株式会社」となることを「組織変更」という。
組織変更は、会社がその同一性を維持しながら、その組織を変更する手続である(参照:相澤 哲 (編集)『論点解説新・会社法: 千問の道標』 商事法務 (2006/6/1)P.650)。
なお、持分会社間で、別の種類の持分会社になることは「種類の変更」という。
(定款の変更による持分会社の種類の変更)
第六百三十八条 合名会社は、次の各号に掲げる定款の変更をすることにより、当該各号に定める種類の持分会社となる。
一 有限責任社員を加入させる定款の変更 合資会社
二 その社員の一部を有限責任社員とする定款の変更 合資会社
三 その社員の全部を有限責任社員とする定款の変更 合同会社
2 合資会社は、次の各号に掲げる定款の変更をすることにより、当該各号に定める種類の持分会社となる。
一 その社員の全部を無限責任社員とする定款の変更 合名会社
二 その社員の全部を有限責任社員とする定款の変更 合同会社
3 合同会社は、次の各号に掲げる定款の変更をすることにより、当該各号に定める種類の持分会社となる。
一 その社員の全部を無限責任社員とする定款の変更 合名会社
二 無限責任社員を加入させる定款の変更 合資会社
三 その社員の一部を無限責任社員とする定款の変更 合資会社
2.組織変更の手続き
(1)条文
(組織変更計画の作成)
第七百四十三条
会社は、組織変更をすることができる。この場合においては、組織変更計画を作成しなければならない。
(持分会社の組織変更計画)
第七百四十六条
持分会社が組織変更をする場合には、当該持分会社は、組織変更計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 組織変更後の株式会社(以下この条において「組織変更後株式会社」という。)の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数
二 前号に掲げるもののほか、組織変更後株式会社の定款で定める事項
三 組織変更後株式会社の取締役の氏名
四 次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項
イ 組織変更後株式会社が会計参与設置会社である場合 組織変更後株式会社の会計参与の氏名又は名称
ロ 組織変更後株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合 組織変更後株式会社の監査役の氏名
ハ 組織変更後株式会社が会計監査人設置会社である場合 組織変更後株式会社の会計監査人の氏名又は名称
五 組織変更をする持分会社の社員が組織変更に際して取得する組織変更後株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法
六 組織変更をする持分会社の社員に対する前号の株式の割当てに関する事項
七 組織変更後株式会社が組織変更に際して組織変更をする持分会社の社員に対してその持分に代わる金銭等(組織変更後株式会社の株式を除く。以下この号及び次号において同じ。)を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
イ 当該金銭等が組織変更後株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
ロ 当該金銭等が組織変更後株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
ハ 当該金銭等が組織変更後株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのイに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのロに規定する事項
ニ 当該金銭等が組織変更後株式会社の社債等(社債及び新株予約権をいう。以下この編において同じ。)以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
八 前号に規定する場合には、組織変更をする持分会社の社員に対する同号の金銭等の割当てに関する事項
九 効力発生日
2 組織変更後株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、前項第三号に掲げる事項は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならない。
(持分会社の組織変更の効力の発生等)
第七百四十七条
組織変更をする持分会社は、効力発生日に、株式会社となる。
2 組織変更をする持分会社は、効力発生日に、前条第一項第一号及び第二号に掲げる事項についての定めに従い、当該事項に係る定款の変更をしたものとみなす。
3 組織変更をする持分会社の社員は、効力発生日に、前条第一項第六号に掲げる事項についての定めに従い、同項第五号の株式の株主となる。
4 次の各号に掲げる場合には、組織変更をする持分会社の社員は、効力発生日に、前条第一項第八号に掲げる事項についての定めに従い、当該各号に定める者となる。
一 前条第一項第七号イに掲げる事項についての定めがある場合 同号イの社債の社債権者
二 前条第一項第七号ロに掲げる事項についての定めがある場合 同号ロの新株予約権の新株予約権者
三 前条第一項第七号ハに掲げる事項についての定めがある場合 同号ハの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者
5 前各項の規定は、第七百八十一条第二項において準用する第七百七十九条(第二項第二号を除く。)の規定による手続が終了していない場合又は組織変更を中止した場合には、適用しない。
第二款 持分会社の手続
第七百八十一条
組織変更をする持分会社は、効力発生日の前日までに、組織変更計画について当該持分会社の総社員の同意を得なければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2 第七百七十九条(第二項第二号を除く。)及び前条の規定は、組織変更をする持分会社について準用する。この場合において、第七百七十九条第三項中「組織変更をする株式会社」とあるのは「組織変更をする持分会社(合同会社に限る。)」と、前条第三項中「及び第七百四十五条」とあるのは「並びに第七百四十七条及び次条第一項」と読み替えるものとする。
(債権者の異議)
第七百七十九条
組織変更をする株式会社の債権者は、当該株式会社に対し、組織変更について異議を述べることができる。
2 組織変更をする株式会社は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第三号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 組織変更をする旨二 組織変更をする株式会社の計算書類(第四百三十五条第二項に規定する計算書類をいう。以下この章において同じ。)に関する事項として法務省令で定めるもの【781条2項において準用されず】
三 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、組織変更をする株式会社が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4 債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該組織変更について承認をしたものとみなす。
5 債権者が第二項第三号の期間内に異議を述べたときは、組織変更をする株式会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該組織変更をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
(組織変更の効力発生日の変更)
第七百八十条
組織変更をする株式会社は、効力発生日を変更することができる。
2 前項の場合には、組織変更をする株式会社は、変更前の効力発生日(変更後の効力発生日が変更前の効力発生日前の日である場合にあっては、当該変更後の効力発生日)の前日までに、変更後の効力発生日を公告しなければならない。
3 第一項の規定により効力発生日を変更したときは、変更後の効力発生日を効力発生日とみなして、この款及び第七百四十五条の規定を適用する。
(2)整理
組織変更にあたっては「組織変更計画」を定めなければならない。
組織変更計画の内容は、746条に規定されている。
組織変更をする持分会社は、一連の手続きが完了している場合、組織変更計画で定めた効力発生日において「株式会社」となる。
登記は効力要件ではない。
効力発生日までに実施されるべき手続は、次のとおり。
- 組織変更計画について当該持分会社の総社員の同意(定款に別段の定めがある場合は、その定めに従う。)
- 債権者保護手続き(官報及び個別催告。また「計算書類」に関しては公告不要(779条2項2号は準用されず)。合同会社に限りダブル公告が可能。)
計算書類に関する規定が準用されないので、公告する内容は非常にシンプル。
(本紙掲載のため、申込みから掲載までの日数も、計算書類ありのケースより短い。)
【公告例】
当社は、株式会社に組織変更することにいたしました。
この組織変更に異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から一箇月以内にお申し出下さい。
3.組織変更の登記手続き
(1)申請・添付書類
会社法(平成十七年法律第八十六号)
(組織変更の登記)
第九百二十条
会社が組織変更をしたときは、その効力が生じた日から二週間以内に、その本店の所在地において、組織変更前の会社については解散の登記をし、組織変更後の会社については設立の登記をしなければならない。
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)
(組織変更の登記)
第百二十三条
第百七条の規定は、合同会社が組織変更をした場合について準用する。この場合において、同条第一項第六号中「公告及び催告」とあるのは、「公告及び催告(同法第七百八十一条第二項において準用する同法第七百七十九条第三項の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告)」と読み替えるものとする。
(組織変更の登記)
第百七条
合名会社が組織変更をした場合の組織変更後の株式会社についてする登記の申請書には、次の書面を添付しなければならない。
一 組織変更計画書
二 定款
三 組織変更後の株式会社の取締役(組織変更後の株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合にあつては取締役及び監査役、組織変更後の株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあつては監査等委員である取締役及びそれ以外の取締役)が就任を承諾したことを証する書面
四 組織変更後の株式会社の会計参与又は会計監査人を定めたときは、第五十四条【取締役等の変更の登記】第二項各号に掲げる書面
五 第四十七条第二項第六号【株主名簿管理人】に掲げる書面
六 会社法第七百八十一条第二項において準用する同法第七百七十九条第二項(第二号を除く。)の規定による公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該組織変更をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面
2 第七十六条及び第七十八条の規定は、前項に規定する場合について準用する。
(組織変更の登記)
第七十六条
株式会社が組織変更をした場合の組織変更後の持分会社についてする登記においては、会社成立の年月日、株式会社の商号並びに組織変更をした旨及びその年月日をも登記しなければならない。
第七十八条
株式会社が組織変更をした場合の株式会社についての登記の申請と組織変更後の持分会社についての登記の申請とは、同時にしなければならない。
2 申請書の添付書面に関する規定は、株式会社についての前項の登記の申請については、適用しない。
3 登記官は、第一項の登記の申請のいずれかにつき第二十四条各号のいずれかに掲げる事由があるときは、これらの申請を共に却下しなければならない。
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)
(組織変更の登記)
第七十六条
法第七十六条の規定により登記すべき事項(会社成立の年月日を除く。)は、登記記録中登記記録区に記録しなければならない。
2 組織変更の無効による回復の登記をしたときは、組織変更による解散の登記を抹消する記号を記録しなければならない。
会社法上、組織変更にあっては、(1)組織変更前の会社については解散の登記、(2)組織変更後の会社については設立の登記をする。
この2つの登記は、同時にしなければならない(商登法78条1項)。
そして、解散の登記については、添付書面は不要。
設立の登記の添付書類は次のとおり。
- 組織変更計画書
- 定款
- 組織変更後の株式会社の取締役(組織変更後の株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合にあつては取締役及び監査役、組織変更後の株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあつては監査等委員である取締役及びそれ以外の取締役)が就任を承諾したことを証する書面
- 組織変更後の株式会社の会計参与又は会計監査人を定めたときは、就任を承諾したことを証する書面等(54条2項各号に掲げる書面)
- 株主名簿管理人を置いたときは、その者との契約を証する書面
- 公告及び催告をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該組織変更をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面
代表取締役については、組織変更後の株式会社の規定に沿って選定をすることになり、また、その選定方法に沿って登記申請時の添付書面が決まる。
(この点、組織変更後の代表取締役を、組織変更計画(詳解商業登記※1)や定款(合同会社の運営と理論※2)で定めることも可とされている。)
※1 筧 康生 (編集), 神﨑 満治郎 (編集), 土手 敏行 (編集)『詳解商業登記』きんざい; 全訂第3版 (2022/2/3)p.146
※2 金子 登志雄 (監修), 立花 宏 (著)『商業登記実務から見た 合同会社の運営と理論』中央経済社; 〈第3版〉 (2025/4/1)P.297
なお、登記される「会社設立の年月日」は、組織変更前の合名会社が設立された年月日となる。
(2)商業登記規則61条との関係
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)
(添付書面)
第六十一条
定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。
(・・・)
4 設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと。以下この項において同じ。)を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑についても、同様とする。
5 取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「設立時取締役」とあるのは「設立時代表取締役又は設立時代表執行役」と、同項後段中「取締役」とあるのは「代表取締役又は代表執行役」とする。
(・・・)
7 設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項及び第百三条において「取締役等」という。)が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと)を証する書面に記載した取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾した場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。
(・・・)
9 設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。
(・・・)
4項については、組織変更による設立を除くとされていることから、印鑑証明書の添付は不要となる。
一方で7項(本人確認書類)については、4項が適用除外とされている関係で、必ず添付が必要となる。
平成27年2月20日民商第18号民事局長通達
(・・・)なお、合併又は組織変更による設立の登記の場合には、規則第61条第2項又は第3項の規定の適用が除外されているため、当該登記の申請書には、全ての設立時取締役、設立時監査役又は設立時執行役の本人確認証明書を添付しなければならない。(・・・)
また、9項については、合同会社については「不要」とされている。
平成18年3月31日民商第782号民事局長通達
(・・・)
第5部 組織再編
第1 組織変更
2 組織変更の登記の手続
(4) 持分会社の組織変更
ア 株式会社についてする設立の登記
(ア) 添付書面h 合名会社又は合資会社の組織変更にあっては、資本金の額が会社法及び計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面(商登規第61条第5号)
合同会社の組織変更の場合には、登記簿から組織変更の直前の合同会社の資本金の額を確認することができるため、添付を要しないものとする。
(3)登録免許税
登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)
二十四 会社又は外国会社の商業登記(保険業法の規定によつてする相互会社及び外国相互会社の登記並びに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)の規定によつてする一般社団法人(公益社団法人を除く。以下この号において同じ。)及び一般財団法人(公益財団法人を除く。以下この号において同じ。)の登記を含む。)
| 登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定又は技能証明の事項 | 課税標準 | 税率 |
| (一) 会社又は相互会社若しくは一般社団法人若しくは一般財団法人(以下この号において「一般社団法人等」という。)の登記((三)に掲げる登記を除く。) ホ 新設合併又は組織変更若しくは種類の変更による株式会社又は合同会社の設立の登記 | 資本金の額 | 千分の一・五(新設合併により消滅した会社又は組織変更若しくは種類の変更をした会社の当該新設合併又は組織変更若しくは種類の変更の直前における資本金の額として財務省令で定めるものを超える資本金の額に対応する部分については、千分の七) (これによつて計算した税額が三万円に満たないときは、申請件数一件につき三万円) |
登録免許税法施行規則(昭和四十二年大蔵省令第三十七号)
(新設合併等による株式会社等の設立の登記等に係る登録免許税の額の計算の基礎となる資本金の額等)
第十二条
法別表第一第二十四号(一)ホに規定する財務省令で定めるものは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める額とする。
(・・・)
二 組織変更により株式会社又は合同会社を設立する場合 当該組織変更をする会社のイに掲げる額にロに掲げる割合を乗じて計算した額
イ 組織変更をする会社の当該組織変更の直前における資本金の額(当該組織変更をする会社が合名会社又は合資会社である場合にあつては、九百万円)
ロ (1)に掲げる額から(2)に掲げる額を控除した額(当該控除した額が零を下回る場合にあつては、零)が(1)に掲げる額のうちに占める割合
(1) 組織変更をする会社の当該組織変更の直前における資産の額から負債の額を控除した額(当該控除した額がイに掲げる額以下である場合にあつては、イに掲げる額)
(2) 組織変更後の株式会社又は合同会社が当該組織変更に際して当該組織変更の直前の会社の株主又は社員に対して交付する財産(当該組織変更後の株式会社の株式及び合同会社の持分を除く。)の価額
(・・・)
登録免許税法における「変更の直前における資本金の額」はつぎのように計算される。
組織変更前の資本金の額が900万円。
組織変更前の純資産の額が1000万円。
組織変更に対して交付する財産(組織変更後の株式を除く)の価額がゼロ円。
この場合には、900×((1000ー0)÷1000)=900万円となる。
設立される株式会社の資本金の額は、後記の会社計算規則34条1号より900万円となる。
よって、
財務省令で定めるものを超える資本金の額(1000分の7を乗じるもの)はない。
900万円に1000分の1.5を乗じると、1.35万円。
3万円に満たないので、登録免許税は3万円となる。
4.同時に増資をすることは可能か?
不可とされている(詳細は、登記インターネット119号128頁以下を参照。)。
振込み手続きのことを考えると、合同会社の状態で増資をして、その後、組織変更する?
会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)
(組織変更後株式会社の株主資本)
第三十四条
持分会社が組織変更をする場合には、組織変更後株式会社の次の各号に掲げる額は、当該各号に定める額とする。
一 資本金の額 組織変更の直前の持分会社の資本金の額
二 資本準備金の額 零
三 その他資本剰余金の額 イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額
イ 組織変更の直前の持分会社の資本剰余金の額
ロ 組織変更をする持分会社の社員に対して交付する組織変更後株式会社の株式以外の財産の帳簿価額(組織変更後株式会社の社債等(自己社債を除く。第五号ロにおいて同じ。)にあっては、当該社債等に付すべき帳簿価額)のうち、組織変更をする持分会社が資本剰余金の額から減ずるべき額と定めた額
四 利益準備金の額 零
五 その他利益剰余金の額 イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額
イ 組織変更の直前の持分会社の利益剰余金の額
ロ 組織変更をする持分会社の社員に対して交付する組織変更後株式会社の株式以外の財産の帳簿価額(組織変更後株式会社の社債等にあっては、当該社債等に付すべき帳簿価額)のうち、組織変更をする持分会社がその他利益剰余金の額から減ずるべき額と定めた額
資本組み入れについても消極(参照:金子 登志雄 (監修), 立花 宏 (著)『商業登記実務から見た 合同会社の運営と理論〈第3版〉』中央経済社; 〈第3版〉 (2025/4/1)、P.296)。
5.登記記録例(主なもの)
(1)株式会社についてする設立の登記
| 登記記録に関する事項 | 令和7年10月27日ぬまづ合同会社を組織変更し設立 令和7年10月27日登記 |
(2)合同会社についてする解散の登記
| 登記記録に関する事項 | 令和7年10月27日静岡県沼津市宮町85番地ぬまづ株式会社に組織変更し解散 令和7年10月27日登記 令和7年10月27日閉鎖 |
