合同会社と商業登記規則(とりわけ規則61条)について

1.商業登記規則92条

(1)条文

参照条文

商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)

第八節 合同会社の登記

(解散等の登記)
第九十一条
会社法第六百四十一条(第五号及び第六号を除く。)の規定による解散の登記をしたときは、業務を執行する社員及び代表社員に関する登記を抹消する記号を記録しなければならない。
2 前項の規定は、設立の無効又は取消しの登記をした場合について準用する。

(準用規定)
第九十二条 
第六十一条第九項及び第六節(第八十六条を除く。)の規定は、合同会社について準用する。この場合において、第八十三条及び第八十四条中「社員」とあるのは「業務を執行する社員」と、第八十八条の二第一項中「、社員」とあるのは「、業務を執行する社員」と、同項及び同条第二項中「社員、」とあるのは「業務を執行する社員、」と読み替えるものとする。

(2)整理

合同会社については、
61条9項と第6節(86条を除く)の規定に限り準用される。

第6節は、合名会社の登記に関する規定である(さらに、86条は清算人の登記に関する規定。)。
項目のみ列挙して確認すると、以下のとおり。
(重要と思われるものは、列挙したあとに個別参照。)

  • (添付書面)第八十二条
  • (社員の業務執行権又は代表権の消滅の登記)第八十三条
  • (社員の職務執行停止等の登記)第八十四条
  • (継続の登記)第八十五条
  • (清算人の職務執行停止等の登記)第八十七条
  • (持分会社の種類の変更の登記)第八十八条
  • (社員等の氏の記録に関する申出等)第八十八条の二
  • (準用規定)第八十九条
参照条文

商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)

(添付書面)
第八十二条 
定款の定めがなければ登記すべき事項につき無効の原因が存することとなる申請については、申請書に定款を添付しなければならない。

(準用規定)
第八十九条 
第六十五条【本店移転の登記】第一項及び第三項、第七十一条【電子公告に関する登記】、第七十六条【組織変更の登記】から第七十八条【会社分割の登記】まで、第八十条【登記記録の閉鎖等】(第一項第五号を除く。)並びに第八十一条の規定は、合名会社の登記について準用する。この場合において、第八十条第一項第二号中「組織変更」とあるのは、「持分会社の種類の変更、組織変更」と読み替えるものとする。

2.商業登記規則61条9項

(1)条文

参照条文

商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)

(添付書面)
第六十一条
9 設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法及び会社計算規則(平成十八年法務省令第十三号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。

(2)整理

添付書面につき、61条が準用されるのは、9項のみである。

なお定款については、82条に添付する場面が記載されている(定款の定めがなければ登記すべき事項につき無効の原因となる場合)。

(3)準用されない61条各項

まとめると次のとおり。

  • 1項:定款又は裁判所の許可書
  • 2項:株主リスト(全員の同意)
  • 3項:株主リスト(決議)
  • 4項:取締役の就任承諾と印鑑証明書
  • 5項:取締役会設置会社における代表取締役の就任承諾と印鑑証明書
  • 6項:代表取締役の変更と印鑑証明書
  • 7項:取締役等の変更と本人確認書類
  • 8項:代表取締役の辞任と印鑑証明書
  • 9項:資本金の額の計上書面
  • 10項:分配可能額等の存する書面
  • 11項:資本準備金の額の減少による資本金の額の増加を証する書面

引用されるのはわずかに1つ。

3.まとめ

取締役等の実在性、就任承諾意思の確認のための印鑑証明書添付に関する規定は準用されていない。

同様に本人確認書類の添付や、辞任時の印鑑証明書添付も準用されていない。

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