合同会社における登記事項

2024年12月11日

1.登記事項

(1)会社法の条文

参照条文

会社法(平成十七年法律第八十六号)

(合同会社の設立の登記)
第九百十四条 
合同会社の設立の登記は、その本店の所在地において、次に掲げる事項を登記してしなければならない。
一 目的
二 商号
三 本店及び支店の所在場所
四 合同会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
五 資本金の額
六 合同会社の業務を執行する社員の氏名又は名称
七 合同会社を代表する社員の氏名又は名称及び住所
八 合同会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
九 第九百三十九条第一項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
十 前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
ロ 第九百三十九条【会社の公告方法】第三項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
十一 第九号の定款の定めがないときは、第九百三十九条【会社の公告方法】第四項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨

(2)整理

登記される人に関しては、次の3者。

  • 業務を執行する社員
  • 会社を代表する社員
  • 法人たる代表社員の職務を行うべき者

業務執行社員については氏名(又は名称)のみ。
それ以外については、氏名(又は名称)及び住所である。

2.商業登記法における規定

(1)条文

参照条文

商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)

第八節 合同会社の登記

(設立の登記)
第百十七条
設立の登記の申請書には、法令に別段の定めがある場合を除き、会社法第五百七十八条に規定する出資に係る払込み及び給付があつたことを証する書面を添付しなければならない。

(準用規定)
第百十八条
第四十七条第一項【設立登記の申請者】、第五十一条から第五十三条【株式会社の本店移転の登記】まで、第九十三条【合名会社における添付書面の通則】、第九十四条【合名会社における設立の登記】、第九十六条から第百一条【合名会社における各種登記】まで及び第百三条【合名会社の継続の登記】の規定は、合同会社の登記について準用する。

(2)整理

基本的には「合名会社」における規定を準用している。

ただし、合同会社には「出資」があるため、107条のほか、つぎのような条文が規定されている。

参照条文

商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)

(社員の加入による変更の登記)
第百十九条
社員の加入による変更の登記の申請書には、会社法第六百四条第三項に規定する出資に係る払込み又は給付があつたことを証する書面を添付しなければならない。

(資本金の額の減少による変更の登記)
第百二十条
資本金の額の減少による変更の登記の申請書には、会社法第六百二十七条第二項の規定による公告及び催告(同条第三項の規定により公告を官報のほか時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙又は電子公告によつてした場合にあつては、これらの方法による公告)をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し弁済し若しくは相当の担保を提供し若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該資本金の額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面を添付しなければならない。

3.登記申請のおける添付書類

(1)条文

たとえば設立の登記については、上記商業登記法118条により準用される94条が中心的な規定となる。
このほか出資に関しては、117条が規律する。

(2)整理

このほかには、平成18年3月31日民商782号局長通達が、より細かな点についてルールを定めている。
たとえば次のように通達における規定。

第4部 持分会社

第2 設立
2 設立の登記の手続き
(3)添付書面
ウ 合同会社
(イ)出資に係る払込み及び給付があったことを証する書面
具体的には、金銭の払込みについては、株式会社の発起設立の場合に添付すべき払込みがあったことを証する書面等が、金銭以外の財産の給付については、財産の引継書等がこれに当たる。

なお「発起設立の場合に~」とされてはいるが、払込みを払込取扱機関(銀行等)に対して行わなければいけないとの規定はない。

以下は「株式会社」における払込みに関する規定。

参照条文

会社法(平成十七年法律第八十六号)

(出資の履行)
第三十四条 
(・・・)
2 前項の規定による払込みは、発起人が定めた銀行等(銀行(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行をいう。第七百三条第一号において同じ。)、信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第二条第二項に規定する信託会社をいう。以下同じ。)その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の払込みの取扱いの場所においてしなければならない。


というわけなので、合同会社における「払込みを証する書面」については、預金通帳のコピーを添付する必要性はなく、代表社員の作成にかかる出資金の領収書等も該当しうる。
【参考:『詳解商業登記』きんざい; 全訂第3版 (2022/2/3)P.337以下】

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