目次
1.商業登記規則の改正(令和7年4月21日)
(1)改正前の条文
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)
(印鑑の提出等)
第九条
(・・・)
12 法第五十一条【本店移転の登記】第一項(他の規定において準用する場合を含む。)の登記を申請する場合の新所在地を管轄する登記所にする印鑑の提出は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。
13 旧所在地を管轄する登記所においては、法第五十二条第一項(他の規定において準用する場合を含む。)に規定する場合を除き、遅滞なく、前項の印鑑を新所在地を管轄する登記所に送付しなければならない。
(・・・)
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)
(本店移転の登記)
第五十一条
本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。
2 前項の登記の申請と旧所在地における登記の申請とは、同時にしなければならない。
3 第一項の登記の申請書には、第十八条の書面を除き、他の書面の添付を要しない。
法51条1項は「本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合」の登記申請について規定するもの。
そして改正前の商業登記規則においては、この場合、「新所在地を管轄する登記所に改めて印鑑提出をすべきこと」「その提出は旧所在地を管轄する登記所を経由すること」とされていた。
(2)改正後の条文
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)
(印鑑の提出等)
第九条
(・・・)
12 法第五十一条【本店移転の登記】第一項(他の規定において準用する場合を含む。)の登記の申請があつたときは、旧所在地を管轄する登記所は、法第五十二条第一項(他の規定において準用する場合を含む。)に規定する場合を除き、当該登記の申請人に関する印鑑記録(次条第一項及び第十一条第三項の規定による記録をした印鑑記録を除く。次項において同じ。)を新所在地を管轄する登記所に移送しなければならない。
13 新所在地を管轄する登記所が前項の規定による移送を受けたときは、新所在地を管轄する登記所に同項の印鑑記録に係る印鑑の提出があつたものとみなす。ただし、当該登記所において、法第二十四条【申請の却下】の規定により同項の登記の申請を却下すべき場合は、この限りでない。
(・・・)
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)
(本店移転の登記)
第五十二条
旧所在地を管轄する登記所においては、前条第二項の登記の申請のいずれかにつき第二十四条各号のいずれかに掲げる事由があるときは、これらの申請を共に却下しなければならない。
2 旧所在地を管轄する登記所においては、前項の場合を除き、遅滞なく、前条第一項の登記の申請書及びその添付書面を新所在地を管轄する登記所に送付しなければならない。
3 新所在地を管轄する登記所においては、前項の申請書の送付を受けた場合において、前条第一項の登記をしたとき、又はその登記の申請を却下したときは、遅滞なく、その旨を旧所在地を管轄する登記所に通知しなければならない。
4 旧所在地を管轄する登記所においては、前項の規定により登記をした旨の通知を受けるまでは、登記をすることができない。
5 新所在地を管轄する登記所において前条第一項の登記の申請を却下したときは、旧所在地における登記の申請は、却下されたものとみなす。
改正により、申請を却下する場合を除いて、旧所在地を管轄する登記所は印鑑記録を新所在地を管轄する登記所に移送するものとされ、「新所在地を管轄する登記所に改めて印鑑提出をすることは不要」となった。
2.整理
(1)管轄外移転の場合も印鑑届は不要に
従来は、改めて印鑑届を提出する必要があった(印鑑届に印鑑証明書を添付することは不要であった)が、これが不要となった。
(2)ただし「印鑑カード」の引継ぎはなし・・・
とはいえ、印鑑カードは従来通り登記所ごとに管理されているため引継ぎはされず、あらためて「印鑑カード交付申請」を行う必要がある。
現状では、やむなしか・・・。
従来通り「印鑑カード交付申請書」も登記申請と一緒に提出(旧所在地を管轄する登記所宛)してOKなのだろうか?OKだよね?
そう考えると、あまり変わらない??
(3)同時に改印したい場合
後記3にリンクを貼った法務省HPに記載されているが、本店移転の登記申請と同時に改印をしたい場合には、つぎの2つの方法がある。
- 登記申請と同時に「旧所在地を管轄する登記所」に対して改印届を提出する。
- 登記申請完了後に「新所在地を管轄する登記所」に改印届を提出する。
後者は、「同時」とはいえないか・・。
前者の場合、登記申請の添付書類に押印する印鑑は、どっちになるのだろうか??
3.参考(法務省HP)

