目次
1.出典
(1)「商業登記における印鑑関係事務取扱要領の制定について」
「商業登記における印鑑関係事務取扱要領の制定について」
(令和3年1月29日民商11号民事局長通達)
法務省HP上では確認ができなかったが、タイトルで検索すると原典を直接確認することが可能。
なお、以下では株式会社の代表取締役が印鑑届・印鑑カード交付申請書を提出する前提とする。
(2)印鑑カード交付申請書の様式
下記の法務省HPにて確認することができる。
申請書様式・記載例の「5」に掲載されている。
2.改印にともなう印鑑カードの処理
改印する場合には、印鑑(改印)届書を法務局に提出して行う。
その際には、代表取締役が市町村に登録した印鑑についての印鑑証明書を添付する。
この場合、すでに印鑑カードの交付を受けていたとしても、改印前の印鑑にかかる印鑑カードは、改印後の印鑑にかかる印鑑カードとして引き続き利用することができる。
(私見:利用者が交代するわけでも、資格が変更になるわけでもないので、引継ぎ処理は不要と考えられる。)
3.印鑑提出者の交代にともなう印鑑カードの処理
印鑑の提出をした者が資格を喪失し、その者に代わって新たに印鑑を提出するものが、印鑑提出と同時に資格を喪失した者の印鑑カードを承継して使用することを申し出た場合には、新たな印鑑提出者の印鑑カードとして引き続き利用することができる。
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)
(印鑑カードの交付の請求等)
第九条の四
(・・・)
3 印鑑の提出をした者がその資格を喪失し、又は印鑑の廃止をした場合においては、その者に替わつて新たに印鑑を提出する者は、印鑑の提出と同時に申し出ることにより、資格を喪失し、又は印鑑の廃止をした者の印鑑カードを承継して使用することができる。
代表取締役が交代する場合や、解散により代表清算人が就任するケースなどが該当する。
なお「できる」なので、新たな印鑑提出者が、新たに印鑑カードの交付申請を行うことも、もちろんOK。
4.代表取締役の退任にともなう印鑑カードの処理
代表取締役が退任した場合には、資格を喪失し印鑑カードは利用できなくなる(印鑑証明の発行を受けられなくなる。)。
この場合には、印鑑カードを失くした場合または上記3の場合を除き、印鑑カードを返納しなければならない。
(とはいえ、本人申請のケースなどどうなっているのかな・・・?)
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)
(資格喪失の場合等の印鑑記録の処理)
第九条の二
印鑑の提出をした者がその資格を喪失し、又は改印若しくは印鑑の廃止の届出をしたときは、登記官は、印鑑記録にその旨を記録しなければならない。
(・・・)
(印鑑カードの交付等)
第九条の五
(・・・)
5 印鑑カードの交付を受けた者は、その資格を喪失したとき、又は印鑑の廃止若しくは印鑑カードの廃止の届出をするときは、印鑑カードを返納しなければならない。ただし、前条第三項に規定する場合は、この限りでない。
5.管轄外への本店移転にともなう印鑑カードの処理
(1)管轄外本店移転 = 印鑑カードの返納
管轄外への本店移転に際しては、交付を受けた印鑑カードを返納しなければならない。
印鑑カードは、登記所ごとに管理されており、印鑑カードの番号は「4桁の府庁符号」と「登記所ごとに交付順に付される印鑑番号」の組み合わせにより構成されているから。
(2)おまけ:管轄外本店移転と印鑑届と添付書類
管轄外本店移転の場合、新本店所在地を管轄する登記所への印鑑の届出に際しては、提出する印鑑の印影が旧本店所在地を管轄する法務局に提出している印鑑と同一である場合、規則9条5項各号に定める書面(市町村長の発行する代表取締役個人の印鑑証明書)の添付を省略することができる。
6.印鑑カードの廃止の届出
(1)廃止の方法
印鑑カードを失くしたとか、印鑑カードを毀損したときには、印鑑カードの廃止を届け出ることができる。
印鑑カード廃止届書に、廃止する印鑑カードにかかる印鑑を押印して提出する。
ただし、廃止したい印鑑カードを提示(結果的には提出?)すれば押印は不要。
押印も提示もできない場合には、印鑑カードの交付を受けた者が市町村に登録した印鑑を押印し、押印した印鑑にかかる市町村長の印鑑証明書を添付する。
(2)印鑑カード廃止届書の様式
下記の法務省HPにて確認することができる。
申請書様式・記載例の「7」に掲載されている。
『印鑑・印鑑カード廃止届書』となっているが、届出書の左上に選択する箇所があり、「印鑑廃止」「印鑑カード廃止」「印鑑及び印鑑カード廃止」を選択できるようになっている。