1.印鑑の提出
特定の登記所に、商業登記にかかる申請をする場合には、当該登記所に登記申請人の使用する印鑑を提出しなければならない。
本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合には、旧所在地を管轄する登記所のみならず新所在地を管轄する登記所にも登記申請をすることになるから、あらためて印鑑届出をする必要がある。
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)
第二十条
登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければならない。改印したときも、同様とする。
3 前二項の規定は、会社の支店の所在地においてする登記の申請については、適用しない。
会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)
第九百十六条
会社がその本店を他の登記所の管轄区域内に移転したときは、二週間以内に、旧所在地においては移転の登記をし、新所在地においては次の各号に掲げる会社の区分に応じ当該各号に定める事項を登記しなければならない。
一 株式会社 第九百十一条第三項各号に掲げる事項
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)
第五十一条
本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記の申請は、旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。第二十条第一項又は第二項の規定により新所在地を管轄する登記所にする印鑑の提出も、同様とする。
2.再び市区町村長発行の印鑑証明書を提出?
(1)原則規定
印鑑届出をする場合には、印鑑提出者について、市区町村発行の印鑑証明書を添付しなければならない。
商業登記規則(昭和三十九年三月十一日法務省令第二十三号)
第九条
印鑑の提出は、当該印鑑を明らかにした書面をもつてしなければならない。この場合においては、次の各号に掲げる印鑑を提出する者は、その書面にそれぞれ当該各号に定める事項(以下「印鑑届出事項」という。)のほか、氏名、住所、年月日及び登記所の表示を記載し、押印しなければならない。
(・・・各号省略・・・)
5 第一項の書面には、次の各号に掲げる印鑑を提出する者の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める書面を添付しなければならない。(・・・)。
一 (・・・)会社の代表者(法人である場合を除く。)(・・・)
第一項後段の規定により同項の書面に押印した印鑑につき市区町村長の作成した証明書で作成後三月以内のもの
但し、通達により例外が認められている。
本店を他の登記所の管轄区域内に移転する場合の新本店所在地を管轄する登記所への印鑑の提出は、その印鑑が、旧本店所在地を管轄する登記所に提出している印鑑と同一であるときは、商規第9条第5項各号に定める書面の添付を省略してすることができる。
平成11年4月2日民四第667号
印鑑カードについては、通達上で次のように定められている。
本店移転の場合には、再度発行を受けなければならない(印鑑カードの発行・管理が登記所単位で行われているから?)。
会社等が管轄を異にする登記所の管轄区域内に本店等を移転したとき等印鑑カードの交付を受けた者がその資格を喪失したとき(・・・)は、印鑑カードの交付を受けた者は、(・・・)登記所に印鑑カードを返納しなければならない。返納された印鑑カードは、速やかに裁断して廃棄する。
なお、管轄の転属に伴い、甲登記所から乙登記所へ印鑑に係る記録が移送された場合においては、甲登記所において交付した印鑑カードは、乙登記所の印鑑に係る記録される印鑑に係る印鑑カードとして利用することができるので、返納を要しない。
平成11年4月2日民四第667号