医療法人における非医師理事長の選任

1.医療法の規定を確認

(1)理事長の資格要件

参照条文

医療法(昭和二十三年法律第二百五号)

第四十六条の五 
医療法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。ただし、理事について、都道府県知事の認可を受けた場合は、一人又は二人の理事を置けば足りる。
2 社団たる医療法人の役員は、社員総会の決議によつて選任する。
(・・・)
4 医療法人と役員との関係は、委任に関する規定に従う。
(・・・)
9 役員の任期は、二年を超えることはできない。ただし、再任を妨げない。

第四十六条の六 
医療法人(次項に規定する医療法人を除く。)の理事のうち一人は、理事長とし、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。
2 第四十六条の五第一項ただし書の認可を受けて一人の理事を置く医療法人にあつては、この章(次条第三項を除く。)の規定の適用については、当該理事を理事長とみなす。

理事長の条件は、つぎのとおり。

  1. 理事であること
  2. 医師又は歯科医師であること

(2)例外としての「認可」

ただし、特例として「都道府県知事の認可を受けた場合」には、医師又は歯科医師でない理事から理事長を選任することができる。

2.非医師理事長の認可の条件

(1)基本的な考え方(私見)

原則として、理事長は、医師又は歯科医師である必要がある。

その例外を認めうるのは、つぎのようなケースだと考える。

  • 急に医師資格をもつ理事長が退任してしまった(死亡や重篤な病気など)。
  • 医師資格を持つ者を理事長に迎え入れる明確な予定がある。

あくまで「一時的に」非医師理事長を選任するということで、認可がなされるものと考える。

(2)静岡県の基準

下記にて、静岡県の基準を確認することができる。

(2)基準の一部を抜粋

「静岡県医療法人各種許認可取扱要領」より抜粋すると、つぎのようなケースで、非医師理事長が認められ得る。

  • 【特例認可がされるケース】
    理事長が死亡し、又は重度の傷病により理事長の職務を継続することが不可能となった際に、その子女が、医科又は歯科大学(医学部又は歯学部)在学中か、又は卒業後、臨床研修その他の研修を終えるまでの間、医師又は歯科医師でない配偶者等が理事長に就任しようとする場合
  • 【部会の意見を聴いて特例認可が行われうるケース】
    つぎの何れの要件も満たすこと。
    • 医療法人の理事のうち、親族関係を有する者及び法人と特殊の関係にある者の合計が、理事数の3分の1以下
    • 医療法人の運営が、医療法の規定に基づいて適正に行われていること
    • 法人の開設する診療所に勤務している常勤医師(又は常勤歯科医師)が、理事長に就任することができない特段の理由を有すること(単に「就任したくない意思をもっている」ということでは不可。)
    • 医師(歯科医師)理事長を選任することについて、具体的な計画を有しており、かつ選任に要する期間が妥当であると認められる場合(おおむね2年以内)
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