事業協同組合における役員選任と任期

2023年6月10日

1.事業協同組合における役員

(1)条文

参照条文

中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)

(役員)
第三十五条 
組合に、役員として理事及び監事を置く。
2 理事の定数は、三人以上とし、監事の定数は、一人以上とする。
(・・・)

(組合と役員との関係)
第三十五条の三 
組合と役員との関係は、委任に関する規定に従う。

(理事会の権限等)
第三十六条の五 
組合は、理事会を置かなければならない。
2 理事会は、すべての理事で組織する。
3 組合の業務の執行は、理事会が決する。

(代表理事)
第三十六条の八 
理事会は、理事の中から組合を代表する理事(以下「代表理事」という。)を選定しなければならない。
2 代表理事は、組合の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
3 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
4 代表理事は、定款又は総会の決議によつて禁止されていないときに限り、特定の行為の代理を他人に委任することができる。
5 代表理事については、第三十六条の二、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第七十八条及び会社法第三百五十四条の規定を準用する。

(2)役員の職務及び権限

参照条文

中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)

(役員の職務及び権限等)
第三十六条の三 
理事は、法令、定款及び規約並びに総会の決議を遵守し、組合のため忠実にその職務を行わなければならない。
2 監事は、理事の職務の執行を監査する。この場合において、監事は、主務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
(・・・)
4 組合員(協同組合連合会にあつては、会員たる組合の組合員)の総数が第三十五条第六項の政令で定める基準を超えない組合(第四十条の二第一項に規定する会計監査人の監査を要する組合を除く。)は、第二項の規定にかかわらず、その監事の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨を定款で定めることができる。
(・・・)

中小企業等協同組合法施行令(昭和三十三年政令第四十三号)

(組合員等以外の者からの監事の選任を要する組合の範囲)
第十八条 
法第三十五条第六項の政令で定める基準は、事業年度の開始の時における組合員(協同組合連合会(法第九条の九第一項第一号の事業を行うものを除く。)にあつては、会員たる組合の組合員。以下この条において同じ。)の総数(共済事業を行う事業協同組合であつて組合を組合員に含むものにあつては、当該事業協同組合の組合員の数に当該事業協同組合の構成組合の組合員の数を加えた数から当該事業協同組合の構成組合の数を減じた数とする。以下この条において同じ。)が千人であることとする。
2 組合(信用協同組合及び法第九条の九第一項第一号の事業を行う協同組合連合会を除く。以下この条において同じ。)の事業年度の開始の時における組合員の総数が新たに千人を超えることとなつた場合においては、当該事業年度の開始後最初に招集される通常総会の終了の時までは、当該組合は、法第三十五条第六項の政令で定める基準を超える組合に該当しないものとみなす。
3 組合の事業年度の開始の時における組合員の総数が新たに千人以下となつた場合においては、当該事業年度の開始後最初に招集される通常総会の終了の時までは、当該組合は、法第三十五条第六項の政令で定める基準を超える組合に該当するものとみなす。

(3)整理

事業協同組合における役員はつぎのとおり。

  • 理事(3名以上)
  • 監事(1名以上)

そして、組合は理事会を設置しなければならず、理事会において理事の中から「代表理事」を選定しなければならない。

2.役員選任の方法

(1)選挙が原則

参照条文

(役員)
第三十五条 
(・・・)
3 役員は、定款の定めるところにより、総会において選挙する。ただし、設立当時の役員は、創立総会において選挙する。
(・・・)
8 役員の選挙は、無記名投票によつて行う。
9 投票は、一人につき一票とする。
10 第八項の規定にかかわらず、役員の選挙は、出席者中に異議がないときは、指名推選の方法によつて行うことができる。
11 指名推選の方法を用いる場合においては、被指名人をもつて当選人と定めるべきかどうかを総会(設立当時の役員は、創立総会)に諮り、出席者の全員の同意があつた者をもつて当選人とする。
12 一の選挙をもつて二人以上の理事又は監事を選挙する場合においては、被指名人を区分して前項の規定を適用してはならない。
13 第三項の規定にかかわらず、役員は、定款の定めるところにより、総会(設立当時の役員は、創立総会)において選任することができる。

代表理事の変更による登記手続きの場面においては、「定款の定めるところにより、総会において選挙」との記載であるため、理事の選任を確認する際には「総会議事録上で選挙されたこと」が確認できるだけでは不十分?
(「定款の定めに則った選挙」であることを確認する必要があるのではないか。)

(2)選挙・指名推薦・選任

詳細は、こちらの記事を参照のこと。
【参照記事:選挙と選任(事業協同組合における役員の選び方)】

選挙組合員が一人一票をもち、適当と思われる者の氏名を書いて投票する。
得票数の多い順に理事又は監事となる。
指名推薦出席者中に異議がない場合に限り、採用することができる。
被指名人をもって当選人とすることについて、出席者全員の同意があると、その者が当選人となる。
総会における選任定款で定めることにより「選挙」ではなく「総会における選任」方式をとることができる。

3.役員の任期

(1)条文

参照条文

(役員の任期)
第三十六条 
理事の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。
2 監事の任期は、四年以内において定款で定める期間とする。
3 設立当時の役員の任期は、前二項の規定にかかわらず、創立総会において定める期間とする。ただし、その期間は、一年を超えてはならない。
4 前三項の規定は、定款によつて、前三項の任期を任期中の最終の決算期に関する通常総会の終結の時まで伸長することを妨げない。
5 前三項の規定にかかわらず、監事の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、監事の任期は、当該定款の変更の効力が生じた時に満了する。

(役員に欠員を生じた場合の措置)
第三十六条の二 
役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合には、任期の満了又は辞任により退任した役員は、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する。

(2)整理

理事の任期は「2年以内において定款で定める期間」である。

監事の任期は「4年以内において定款で定める期間」である。

ただし、定款により、理事についても監事についても「任期中の最終の決算期に関する通常総会の終結の時」まで伸長することができる。

インターネット上で確認できるモデル定款をみてみると、上記の伸長規定を定款で定めるとしているところが多いように思われる。

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