1.条文
会社法(平成十七年法律第八十六号)
(設立時発行株式に関する事項の決定)
第三十二条
発起人は、株式会社の設立に際して次に掲げる事項(定款に定めがある事項を除く。)を定めようとするときは、その全員の同意を得なければならない。
一 発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数
二 前号の設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額
三 成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項
2 設立しようとする株式会社が種類株式発行会社である場合において、前項第一号の設立時発行株式が第百八条第三項前段の規定による定款の定めがあるものであるときは、発起人は、その全員の同意を得て、当該設立時発行株式の内容を定めなければならない。
上記事項の決定にあたっては、「発起人全員の同意」が必要。
2.「定款に定めがある事項を除く」
上記事項の決定にあたっては、「発起人全員の同意」が必要だが、定款に定めがある場合には重複して定める必要はない。
なお、定款の作成は、つぎのとおり。
(定款の作成)
第二十六条
株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
2 前項の定款は、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいう。以下同じ。)をもって作成することができる。この場合において、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
要するに、全員の同意。
3.108条3項前段の規定(種類株式)による定款の定めがあるもの
(1)条文
(異なる種類の株式)
第百八条
株式会社は、次に掲げる事項について異なる定めをした内容の異なる二以上の種類の株式を発行することができる。ただし、指名委員会等設置会社及び公開会社は、第九号に掲げる事項についての定めがある種類の株式を発行することができない。
一 剰余金の配当
(・・・)
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
(・・・)
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。次項第九号及び第百十二条第一項において同じ。)又は監査役を選任すること。
2 株式会社は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する場合には、当該各号に定める事項及び発行可能種類株式総数を定款で定めなければならない。
一 剰余金の配当 当該種類の株主に交付する配当財産の価額の決定の方法、剰余金の配当をする条件その他剰余金の配当に関する取扱いの内容
(・・・)
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること 次に掲げる事項
イ 当該種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役又は監査役を選任すること及び選任する取締役又は監査役の数
(・・・)
ニ イからハまでに掲げるもののほか、法務省令で定める事項
3 前項の規定にかかわらず、同項各号に定める事項(剰余金の配当について内容の異なる種類の種類株主が配当を受けることができる額その他法務省令で定める事項に限る。)の全部又は一部については、当該種類の株式を初めて発行する時までに、株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)の決議によって定める旨を定款で定めることができる。この場合においては、その内容の要綱を定款で定めなければならない。
108条は「異なる種類の株式」(種類株式)を発行するときの定め。
なお「種類株式発行会社」とは「剰余金の配当その他の第百八条第一項各号に掲げる事項について内容の異なる二以上の種類の株式を発行する株式会社」をいう(法2条13号)。
(2)種類株式を発行するときには「その内容」を定める
種類株式を発行するときには「その内容」を発起人において定める必要がある。
なお同条3項においては、「要綱」を定款で定めれば良いことに。
会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)
(種類株式の内容)
第二十条
法第百八条第三項に規定する法務省令で定める事項は、次の各号に掲げる事項について内容の異なる種類の株式の内容のうち、当該各号に定める事項以外の事項とする。
一 剰余金の配当 配当財産の種類
二 残余財産の分配 残余財産の種類
三 株主総会において議決権を行使することができる事項 法第百八条第二項第三号イに掲げる事項
四 譲渡による当該種類の株式の取得について当該株式会社の承認を要すること 法第百七条第二項第一号イに掲げる事項
五 当該種類の株式について、株主が当該株式会社に対してその取得を請求することができること 次に掲げる事項
イ 法第百七条第二項第二号イに掲げる事項
ロ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該種類の株主に対して交付する財産の種類
六 当該種類の株式について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができること 次に掲げる事項
イ 一定の事由が生じた日に当該株式会社がその株式を取得する旨
ロ 法第百七条第二項第三号ロに規定する場合における同号イの事由
ハ 法第百七条第二項第三号ハに掲げる事項(当該種類の株式の株主の有する当該種類の株式の数に応じて定めるものを除く。)
ニ 当該種類の株式一株を取得するのと引換えに当該種類の株主に対して交付する財産の種類
七 当該種類の株式について、当該株式会社が株主総会の決議によってその全部を取得すること 法第百八条第二項第七号イに掲げる事項
八 株主総会(取締役会設置会社にあっては株主総会又は取締役会、清算人会設置会社にあっては株主総会又は清算人会)において決議すべき事項のうち、当該決議のほか、当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会の決議があることを必要とするもの 法第百八条第二項第八号イに掲げる事項
九 当該種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)又は監査役を選任すること 法第百八条第二項第九号イ及びロに掲げる事項
2 次に掲げる事項は、前項の株式の内容に含まれるものと解してはならない。
一 法第百六十四条第一項に規定する定款の定め
二 法第百六十七条第三項に規定する定款の定め
三 法第百六十八条第一項及び第百六十九条第二項に規定する定款の定め
四 法第百七十四条に規定する定款の定め
五 法第百八十九条第二項及び第百九十四条第一項に規定する定款の定め
六 法第百九十九条第四項及び第二百三十八条第四項に規定する定款の定め