一般社団法人における役員選任登記(理事・代表理事など)

2023年5月4日

1.一般社団法人における登記事項の確認

(1)登記事項

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(一般社団法人の設立の登記)
第三百一条 
一般社団法人の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
一 第二十条第一項の規定による調査が終了した日
二 設立時社員が定めた日
2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的
二 名称
三 主たる事務所及び従たる事務所の所在場所
四 一般社団法人の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
四の二 第四十七条の二の規定による電子提供措置をとる旨の定款の定めがあるときは、その定め
五 理事の氏名
六 代表理事の氏名及び住所
七 理事会設置一般社団法人であるときは、その旨
八 監事設置一般社団法人であるときは、その旨及び監事の氏名
九 会計監査人設置一般社団法人であるときは、その旨及び会計監査人の氏名又は名称
十 第七十五条第四項の規定により選任された一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは、その氏名又は名称
十一 第百十四条第一項の規定による役員等の責任の免除についての定款の定めがあるときは、その定め
十二 第百十五条第一項の規定による非業務執行理事等が負う責任の限度に関する契約の締結についての定款の定めがあるときは、その定め
十三 第百二十八条第三項の規定による措置をとることとするときは、同条第一項に規定する貸借対照表の内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
十四 公告方法
十五 前号の公告方法が電子公告(第三百三十一条第一項第三号に規定する電子公告をいう。以下この号及び次条第二項第十三号において同じ。)であるときは、次に掲げる事項
イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
ロ 第三百三十一条第二項後段の規定【電子公告に事故等があった場合の代替措置について】による定款の定めがあるときは、その定め

理事・監事・代表理事の氏名は、登記すべき事項となる。

また、代表理事については、氏名だけでなく住所も登記すべき事項となる。

(2)登記事項に変更が生じたとき

参照条文

(変更の登記)
第三百三条 
一般社団法人等において第三百一条第二項各号又は前条第二項各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その主たる事務所の所在地において、変更の登記をしなければならない。

登記事項に変更があったときは、変更が生じたときから2週間以内に、変更の登記をしなければならない。

2.一般社団法人における役員

(1)理事

社員総会による選任。
任期は、原則として「選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで」。
短縮は可能。

【参照記事:一般社団法人における理事・代表理事等の役員選任について】

(2)監事

社員総会による選任。
任期は、原則として「選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで」。
短縮は、「選任後二年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時まで」を限度として可能。

【参照記事:一般社団法人における理事・代表理事等の役員選任について】

(3)代表理事

選任方法はつぎのとおり。

  • 定款に直接定める。
  • 定款の定めに基づく理事の互選により定める。
  • 社員総会の決議によって定める。

なお理事が各自代表することも、もちろん可能。

なお、理事会設置一般社団法人においては、理事会により代表理事を選定する必要がある。

【参照記事:一般社団法人における理事・代表理事等の役員選任について】

3.一般社団法人の登記に関する規定

(1)いわゆる一般社団法人法

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(添付書面の通則)
第三百十七条 
登記すべき事項につき社員全員の同意又はある理事若しくは清算人の一致を要するときは、申請書にその同意又は一致があったことを証する書面を添付しなければならない。
2 登記すべき事項につき社員総会、評議員会、理事会又は清算人会の決議を要するときは、申請書にその議事録を添付しなければならない。
3 登記すべき事項につき第五十八条第一項、第九十六条(第百九十七条及び第二百二十一条第五項において準用する場合を含む。)又は第百九十四条第一項の規定により社員総会、理事会、清算人会又は評議員会の決議があったものとみなされる場合には、申請書に、前項の議事録に代えて、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。

(理事等の変更の登記の申請)
第三百二十条 
理事、監事又は代表理事の就任による変更の登記の申請書には、就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
2 評議員の就任による変更の登記の申請書には、その選任に関する書面及び就任を承諾したことを証する書面を添付しなければならない。
3 会計監査人の就任による変更の登記の申請書には、次に掲げる書面を添付しなければならない。
一 就任を承諾したことを証する書面
二 会計監査人が法人であるときは、当該法人の登記事項証明書。ただし、当該登記所の管轄区域内に当該法人の主たる事務所がある場合を除く。
三 会計監査人が法人でないときは、その者が公認会計士であることを証する書面
4 会計監査人が法人であるときは、その名称の変更の登記の申請書には、前項第二号に掲げる書面を添付しなければならない。ただし、同号ただし書に規定する場合は、この限りでない。
5 第一項から第三項までに規定する者の退任による変更の登記の申請書には、これを証する書面を添付しなければならない。

(商業登記法の準用)
第三百三十条 
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第一条の三から第五条まで、第七条から第十五条まで【会社法人等番号や印鑑証明など】(第十二条第一項第二号【支配人】及び第五号【会社更生法を除く。)、第十七条から第十九条の三まで、第二十一条から第二十七条【同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止】まで、第三十三条、第五十一条【本店移転の登記】、第五十二条、第七十二条【職権による解散の登記】、第八十二条、第八十三条、第百三十二条から第百三十七条まで【更正や職権抹消など】及び第百三十九条から第百四十八条までの規定は、一般社団法人等に関する登記について準用する。(・・・)

法律上の登記手続きに関する規定が丁寧!

議事録や就任承諾書などの添付根拠は一般社団法人法にある。

(2)一般社団法人等登記規則

参照条文

一般社団法人等登記規則(平成二十年法務省令第四十八号)

(商業登記規則の準用)
第三条 
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第一条の二第一項及び第二項【会社法人等番号の記録】、第二条から第六条まで、第九条【印鑑の提出等】第一項(第一号から第三号までを除く。)、第三項、第四項、第五項(第二号から第五号までを除く。)、第六項、第七項及び第十項、第九条の二、第九条の三、第九条の四(第一項後段を除く。)、第九条の五(第四項を除く。)、第九条の六から第十一条まで、第十三条から第十八条まで、第十九条【登記事項証明書の請求】(第四号を除く。)、第二十条から第二十二条まで、第二十七条から第四十五条まで【申請書等への押印など】、第四十八条から第五十条まで【添付書類の還付、商号の登記に用いる符号など】、第五十三条【営業又は事業の譲渡の際の免責の登記】第一項、第六十一条第一項及び第四項から第八項まで、第六十五条【本店移転の登記】、第六十六条第一項、第六十七条第一項及び第二項、第六十八条、第七十一条、第七十二条【解散等の登記】(第一項第二号、第三号及び第五号を除く。)、第七十三条【継続の登記】、第七十四条、第七十七条【合併の登記】、第八十条【登記記録の閉鎖等】(第一項第五号を除く。)、第八十一条、第八十一条の二【役員等の氏の記録に関する申出等】、第八十五条第二項、第九十八条から第百四条まで【更正、電子情報処理組織による登記の申請等など】、第百六条から第百九条まで【印鑑の提出又は廃止の届出の方法】、第百十一条、第百十二条、第百十四条、第百十五条、第百十七条【破産に関する登記】並びに第百十八条【過料事件の通知】の規定は、一般社団法人等の登記について準用する。(・・・)

商業登記規則61条に関しては、項を改めて確認する。

4.上記3の各規定において準用される規定

(1)商業登記規則

参照条文

商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)

(添付書面)
第六十一条 
定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。
(・・・)
4 設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと。以下この項において同じ。)を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑についても、同様とする。
5 取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「設立時取締役」とあるのは「設立時代表取締役又は設立時代表執行役」と、同項後段中「取締役」とあるのは「代表取締役又は代表執行役」とする。
6 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑
7 設立の登記又は取締役、監査役若しくは執行役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書には、設立時取締役、設立時監査役、設立時執行役、取締役、監査役又は執行役(以下この項及び第百三条において「取締役等」という。)が就任を承諾したこと(成年後見人又は保佐人が本人に代わつて承諾する場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾したこと)を証する書面に記載した取締役等の氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市町村長その他の公務員が職務上作成した証明書(当該取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて就任を承諾した場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が原本と相違がない旨を記載した謄本を含む。)を添付しなければならない。ただし、登記の申請書に第四項(第五項において読み替えて適用される場合を含む。)又は前項の規定により当該取締役等の印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付する場合は、この限りでない。
8 代表取締役若しくは代表執行役又は取締役若しくは執行役(登記所に印鑑を提出した者がある場合にあつては当該印鑑を提出した者に限り、登記所に印鑑を提出した者がない場合にあつては会社の代表者に限る。以下この項において「代表取締役等」という。)の辞任による変更の登記の申請書には、当該代表取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて行う場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、登記所に印鑑を提出した者がある場合であつて、当該書面に押印した印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
(・・・)

準用されるのは、次の規定。

  • 1項:定款添付
  • 4項:理事の就任承諾書につき印鑑証明書添付
  • 5項:理事会設置一般社団法人については4項「理事」を「代表理事」と読み替え
  • 6項:代表理事の選定にあたり選定機関の議事録等につき印鑑証明書添付
  • 7項:理事又は監事について本人確認証明書の添付
  • 8項:代表理事(印鑑提出した者に限る)の辞任を証する書面につき印鑑証明書添付

また6項各号について整理すると、つぎのとおり。

  • 社員総会議事録:議長及び出席した理事の押印と印鑑証明書
  • 理事の互選:理事の押印と印鑑証明書
  • 理事会議事録:出席した理事及び監事の押印と印鑑証明書

(2)議事録等への記名押印と印鑑証明書の添付

株式会社同様に考えてよい。

社員総会において役員を選定した際の議事録については、登記手続き上の押印規定はない。

一方で、代表理事の選定にあたっては、準用される商業登記規則61条6項により判断する。

(非理事会)各自代表(1)理事を選定した際の社員総会議事録
(2)議長及び出席した理事の押印と印鑑証明書(※)
(非理事会)理事の互選(1)定款
(2)理事の互選書
(3)出席した理事の押印と印鑑証明書(※)
(非理事会)直接定款で定め(1)定款変更にかかる社員総会議事録
(2)議長及び出席した理事の押印と印鑑証明書(※)
(非理事会)社員総会で選定(1)理事長を選定した社員総会議事録
(2)議長及び出席した理事の押印と印鑑証明書(※)
理事会で選定(1)理事長を選定した理事会議事録
(2)出席した理事及び監事の押印と印鑑証明書(※)(※2)

※変更前の代表理事が法務局提出印を押印している場合には不要。

※2 定款の定めにより押印義務者を「理事⇒代表理事」に変更している場合には、出席した代表理事及び監事。また当該定款の定めがあることを証するため定款添付が必要とされる(参照:登記研究810号33頁、南野雅司・三浦富士雄「各種の法人における代表権を有する理事の選任又は選定の方法並びにこれを証する書面について」。一般社団法人だけでなく医療法人等の各種法人について解説されており、非常に参考となる。)

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(理事会の決議)
第九十五条 
(・・・)
3 理事会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
(・・・)

5.各変更登記における添付書類・登録免許税

(1)理事・監事の選任

  • 理事・監事を選任した際の社員総会議事録
  • 就任承諾書
  • 理事について印鑑証明書(上記就任承諾書に押印した印鑑にかかる印鑑証明書)
    • 再任の場合を除く。
    • 理事会設置一般社団法人を除く。
  • 理事・監事の本人確認証明書
    • 再任の場合を除く。

(2)代表理事の選定

  • 上記4(2)における選定を証する書面と印鑑証明書
  • 就任承諾書
  • 代表理事について印鑑証明書(上記就任承諾書に押印した印鑑にかかる印鑑証明書)
  • 再任の場合を除く。

(3)登録免許税

登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)
別表第一24号(一)カ

登記、登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定又は技能証明の事項課税標準税率
二十四
(一) 
カ ・・・理事、監事、代表理事若しくは評議員に関する事項の変更(・・・一般社団法人等の代表に関する事項の変更を含む。)の登記
申請件数一件につき三万円(資本金の額が一億円以下の会社又は一般社団法人等については、一万円
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