目次
1.事業協同組合及び登記事項について
つぎの記事を参照のこと。
【参照記事:事業協同組合と登記事項】
本記事は、上記記事の続編であるため、重複がないようにしているが、登記事項に関する条文は引用するケースが多いので下記に掲載する。
中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)
(組合等の設立の登記)
第八十四条
(・・・)
2 前項の登記においては、次に掲げる事項(企業組合の設立の登記にあつては、第三号に掲げる事項を除く。)を登記しなければならない。
一 事業
二 名称
三 地区
四 事務所の所在場所
五 出資一口の金額及びその払込の方法並びに出資の総口数及び払込済出資総額
六 存続期間又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由
七 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
八 公告方法
九 第三十三条第四項の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
イ 電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であつて法務省令で定めるもの
ロ 第三十三条第五項後段の規定による定款の定めがあるときは、その定め
(・・・)
2.設立の登記の申請について
根拠法に添付書面についても規定されている!!
中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)
(設立の登記の申請)
第九十八条 組合等【組合又は中央会をいう。】の設立の登記は、組合等を代表すべき者の申請によつてする。
2 設立の登記の申請書には、法令に別段の定めがある場合を除き、次の各号に掲げる組合等の区分に応じ、当該各号に定める書面を添付しなければならない。
一 組合 定款、代表権を有する者の資格を証する書面並びに出資の総口数及び第二十九条の規定による出資の払込みのあつたことを証する書面
二 中央会 (・・・)
添付すべき書面は、つぎのとおり。
- 定款
- 代表権を有する者の資格を証する書面
- 出資の総口数及び第二十九条の規定による出資の払込みのあつたことを証する書面
とはいえ抽象的な規定となっており、具体的な書面は先例等により規定されている。
(「代表権・・・」については、登記研究810号33頁『【論説・解説】 各種の法人における代表権を有する理事の選任又は選定の方法並びにこれを証する書面について』が詳細。)
「認可書」は必要になると思うのだが、根拠はどこになるのだろうか?(⇒後述)
3.変更の登記の申請について
(1)条文
中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)
(変更の登記の申請)
第九十九条
組合等の事務所の新設若しくは移転又は第八十四条第二項各号若しくは第四項各号に掲げる事項の変更の登記の申請書には、事務所の新設若しくは移転又は同条第二項各号若しくは第四項各号に掲げる事項の変更を証する書面を添付しなければならない。
2 出資一口の金額の減少による変更の登記の申請書には、前項の書面のほか、第五十六条の二【債権者の異議】第二項の規定による公告及び催告(同条第三項の規定により公告を官報のほか第三十三条第四項の規定による定款の定めに従い同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によつてした組合にあつては、これらの方法による公告)をしたこと並びに異議を述べた債権者があるときは、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、若しくは当該債権者に弁済を受けさせることを目的として相当の財産を信託したこと又は当該出資一口の金額の減少をしても当該債権者を害するおそれがないことを証する書面を添付しなければならない。
変更にあたっては「変更を証する書面」を添付しなければならない。
代表理事については、登記研究810号33頁『【論説・解説】 各種の法人における代表権を有する理事の選任又は選定の方法並びにこれを証する書面について』が詳細。
99条2項の規定は、「出資一口の金額の減少」をした場合の変更登記申請にあっては、債権者保護手続きをとったことに関する書面を添付せよということ。
(2)先例
4.商業登記法の準用
(1)準用規定
(商業登記法の準用)
第百三条
組合等の登記については、商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第二条から第五条まで(登記所及び登記官)、第七条【会社法人等番号】から第十五条まで、第十七条から第十九条の三【※】まで、第二十一条から第二十三条の二まで、第二十四条(第十四号及び第十五号を除く。)、第二十五条から第二十七条まで(登記簿等、登記手続の通則及び同一の所在場所における同一の商号の登記の禁止)、第五十一条から第五十三条まで、第七十一条第一項及び第三項(株式会社の登記)、第百三十二条から第百三十七条まで並びに第百三十九条から第百四十八条まで(登記の更正及び抹消並びに雑則)の規定を、組合の登記については、同法第二十四条(第十四号に係る部分に限る。)(申請の却下)、第四十五条(会社の支配人の登記)、第七十九条、第八十二条及び第八十三条(合併の登記)の規定を準用する。この場合において、同法第十二条第一項第五号中「会社更生法(平成十四年法律第百五十四号)」とあるのは「金融機関等の更生手続の特例等に関する法律(平成八年法律第九十五号)」と、同法第七十一条第三項ただし書中「会社法第四百七十八条第一項第一号の規定により清算株式会社の清算人となつたもの(同法第四百八十三条第四項に規定する場合にあつては、同項の規定により清算株式会社の代表清算人となつたもの)」とあるのは、中央会については、「中小企業等協同組合法第八十二条の十四本文の規定による清算人」と読み替えるものとする。
【※】の部分の条文の一部を引用
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)
(申請書の添付書面)
第十八条
代理人によつて登記を申請するには、申請書(前条第三項に規定する電磁的記録を含む。以下同じ。)にその権限を証する書面を添付しなければならない。
第十九条
官庁の許可を要する事項の登記を申請するには、申請書に官庁の許可書又はその認証がある謄本を添附しなければならない。
認可書については、準用される商業登記法19条によると思われる。
(2)整理
条文通りなので、とくにコメントなし。
5.各種法人等登記規則による商業登記規則の準用
(1)準用規定の確認
各種法人等登記規則(昭和三十九年法務省令第四十六号)
(趣旨)
第一条
会社、一般社団法人及び一般財団法人、投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十二項に規定する投資法人並びに資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項に規定する特定目的会社を除くその他の法人(以下「各種法人」という。)並びに外国会社を除くその他の外国法人(以下「各種外国法人」という。)の登記の取扱手続は、この省令の定めるところによる。
(商業登記規則等の準用)
第五条
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)第一条の二第一項、第二条から第六条まで、第九条【印鑑の提出等】から第十一条まで、第十三条から第二十二条まで、第二十七条から第四十五条まで、第四十八条から第五十条【商号の登記に用いる符号】まで、第五十三条第二項、第五十八条から第六十条まで、第七十五条、第九十八条から第百四条まで、第百六条から第百九条まで、第百十一条、第百十二条及び第百十四条から第百十八条までの規定は各種法人等の登記について、商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)第四十六条第一項並びに同規則第一条の二第二項、第六十一条第一項、第六項及び第八項、第六十五条から第六十八条まで、第七十条から第七十四条まで、第七十六条から第七十八条まで、第八十条から第八十一条の二まで、第百十条並びに第百十三条の規定は各種法人の登記について、同規則第一条の二第三項、第九十三条、第九十四条第二項、第九十五条、第九十六条第一項(第三号から第六号までを除く。)及び第二項並びに第九十七条の規定は各種外国法人の登記について準用する。この場合において、同規則第一条の二第一項中「登記所及び次の各号に掲げる区分」とあるのは「登記所」と、同条第二項中「法第七十九条に規定する新設合併」とあるのは「新設合併」と、同規則第九十六条第一項第二号中「登記所の管轄区域内に日本における代表者の住所地がある場合(すべての日本における営業所を閉鎖した場合に限る。)」とあるのは「清算の開始の命令がある場合」と読み替えるものとする。
というわけで、規則61条の準用である。
商業登記規則(昭和三十九年法務省令第二十三号)
(添付書面)
第六十一条
定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。
2 ×【全員同意の株主リスト】
3 ×【決議事項の株主リスト】
4 ×【取締役の就任と印鑑証明書】
5 ×【取締役会設置会社における代表取締役等の就任と印鑑証明書】
6 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑
7 ×【取締役等の就任における本人確認書類】
8 代表取締役若しくは代表執行役又は取締役若しくは執行役(登記所に印鑑を提出した者がある場合にあつては当該印鑑を提出した者に限り、登記所に印鑑を提出した者がない場合にあつては会社の代表者に限る。以下この項において「代表取締役等」という。)の辞任による変更の登記の申請書には、当該代表取締役等(その者の成年後見人又は保佐人が本人に代わつて行う場合にあつては、当該成年後見人又は保佐人)が辞任を証する書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、登記所に印鑑を提出した者がある場合であつて、当該書面に押印した印鑑と当該代表取締役等が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
(・・・)
(2)整理
以上より、まず、設立登記においては、代表理事に関して印鑑証明書の添付は不要(61条5項は準用されていないので)。
代表理事の変更登記においては、代表理事の選定にかかる理事会議事録について、準用される商業登記規則61条6項の規定に沿った印鑑証明書の添付が必要。