一般社団法人における議事録の作成について

2023年5月2日

1.社員総会議事録の作成

(1)いわゆる一般社団法人法において

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(議事録)
第五十七条 
社員総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2 一般社団法人は、社員総会の日から十年間、前項の議事録をその主たる事務所に備え置かなければならない。
3 一般社団法人は、社員総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその従たる事務所に備え置かなければならない。ただし、当該議事録が電磁的記録をもって作成されている場合であって、従たる事務所における次項第二号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。
4 社員及び債権者は、一般社団法人の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。
一 第一項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧又は謄写の請求
二 第一項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

社員総会の議事については、議事録を作成する必要がある。

作成した議事録は10年間保存。

議事録の内容については、次号に記載の規則にて。

(2)施行規則

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則(平成十九年法務省令第二十八号)

(社員総会の議事録)
第十一条 
法第五十七条第一項の規定による社員総会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2 社員総会の議事録は、書面又は電磁的記録(法第十条第二項に規定する電磁的記録をいう。第六章第四節第二款を除き、以下同じ。)をもって作成しなければならない。
3 社員総会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 社員総会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事、監事、会計監査人又は社員が社員総会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)
二 社員総会の議事の経過の要領及びその結果
三 次に掲げる規定により社員総会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
イ 法第七十四条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)
ロ 法第七十四条第二項(同条第四項において準用する場合を含む。)
ハ 法第百二条
ニ 法第百五条第三項
ホ 法第百九条第一項
ヘ 法第百九条第二項
四 社員総会に出席した理事、監事又は会計監査人の氏名又は名称
五 社員総会の議長が存するときは、議長の氏名
六 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名
4 次の各号に掲げる場合には、社員総会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第五十八条第一項の規定により社員総会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 社員総会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした者の氏名又は名称
ハ 社員総会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名
二 法第五十九条の規定により社員総会への報告があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 社員総会への報告があったものとみなされた事項の内容
ロ 社員総会への報告があったものとみなされた日
ハ 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名

氏名を記載すべき者はつぎのとおり。

  • 社員総会に出席した理事、監事又は会計監査人
  • 社員総会の議長
  • 議事録の作成に係る職務を行った者

例のごとく氏名のみで押印等は不要。

2.理事会議事録の作成

(1)いわゆる一般社団法人法において

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(理事会の決議)
第九十五条 
理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。
2 前項の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。
3 理事会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した理事(定款で議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定めがある場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。
4 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。
5 理事会の決議に参加した理事であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。

(議事録等)
第九十七条 
理事会設置一般社団法人は、理事会の日(前条の規定により理事会の決議があったものとみなされた日を含む。)から十年間、第九十五条第三項の議事録又は前条の意思表示を記載し、若しくは記録した書面若しくは電磁的記録(以下この条において「議事録等」という。)をその主たる事務所に備え置かなければならない。
2 社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。
一 前項の議事録等が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 前項の議事録等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
3 債権者は、理事又は監事の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録等について前項各号に掲げる請求をすることができる。
4 裁判所は、前二項の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該理事会設置一般社団法人に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、前二項の許可をすることができない。

理事会議事録においては、つぎのように署名又は記名押印の義務がある。

  • 出席した理事及び監事
  • または出席した代表理事及び監事(定款でそのような定めがあることを前提として)

(2)施行規則

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行規則(平成十九年法務省令第二十八号)

(理事会の議事録)
第十五条 
法第九十五条第三項の規定による理事会の議事録の作成については、この条の定めるところによる。
2 理事会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない。
3 理事会の議事録は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。
一 理事会が開催された日時及び場所(当該場所に存しない理事、監事又は会計監査人が理事会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)
二 理事会が次に掲げるいずれかのものに該当するときは、その旨
イ 法第九十三条第二項の規定による理事の請求を受けて招集されたもの
ロ 法第九十三条第三項の規定により理事が招集したもの
ハ 法第百一条第二項の規定による監事の請求を受けて招集されたもの
ニ 法第百一条第三項の規定により監事が招集したもの
三 理事会の議事の経過の要領及びその結果
四 決議を要する事項について特別の利害関係を有する理事があるときは、当該理事の氏名
五 次に掲げる規定により理事会において述べられた意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
イ 法第九十二条第二項
ロ 法第百条
ハ 法第百一条第一項
六 法第九十五条第三項の定款の定めがあるときは、代表理事(法第二十一条第一項に規定する代表理事をいう。第十九条第二号ロにおいて同じ。)以外の理事であって、理事会に出席したものの氏名
七 理事会に出席した会計監査人の氏名又は名称
八 理事会の議長が存するときは、議長の氏名
4 次の各号に掲げる場合には、理事会の議事録は、当該各号に定める事項を内容とするものとする。
一 法第九十六条の規定により理事会の決議があったものとみなされた場合 次に掲げる事項
イ 理事会の決議があったものとみなされた事項の内容
ロ イの事項の提案をした理事の氏名
ハ 理事会の決議があったものとみなされた日
ニ 議事録の作成に係る職務を行った理事の氏名
二 法第九十八条第一項の規定により理事会への報告を要しないものとされた場合 次に掲げる事項
イ 理事会への報告を要しないものとされた事項の内容
ロ 理事会への報告を要しないものとされた日
ハ 議事録の作成に係る職務を行った理事の氏名

3項6号を抜粋すると、つぎのとおり。

「法第九十五条第三項の定款の定めがあるときは、代表理事(法第二十一条第一項に規定する代表理事をいう。第十九条第二号ロにおいて同じ。)以外の理事であって、理事会に出席したものの氏名」

ここで、「法95条3項の定款の定め」とは、「議事録に署名し、又は記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事とする旨の定め」のこと。

そして「法21条1項に規定する代表理事」とは、「一般社団法人を代表する理事」を指す?
(この文言の意図するところがわからない・・)

3.各議事録における署名押印について

(1)上記法令から

以上のとおり、各議事録への署名又は記名押印については、次のようにまとめることができる。

社員総会議事録規定なし
理事会議事録(1)出席した理事及び監事
または
(2)出席した代表理事及び監事【※】

※定款でそのような定めがあることが前提

なお、日本公証人連合会のHPに掲載されている一般社団法人の定款記載例をみると、つぎのように規定されている。

【小規模な一般社団法人の社員総会について】

(議事録)
第15条 社員総会の議事については、法令の定めるところにより議事録を作成し、議長及び出席した理事がこれに署名又は記名押印する。

【小規模な一般社団法人の代表理事の選定について】※理事会は設置されない

(選任)
第17条 (・・・)
2 代表理事は、理事の互選によって定める。

https://www.koshonin.gr.jp/pdf/syadan-teikan01_s_2022_v2.pdf 【日本公証人連合会HPより 23/05/02閲覧】

【規模が比較的大きな一般社団法人の社員総会について】

(議事録)
第21条 社員総会の議事については、開催の日時及び場所、議事の経過の要領及びその結果その他の一般法人法施行規則第11条第3項及び第4項に定める事項を記載又は記録した議事録を作成し、議長及び出席した理事がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし、社員総会の日から10年間主たる事務所に備え置く。

【規模が比較的大きな一般社団法人の理事会について】

(議事録)
第42条 理事会の議事については、開催の日時及び場所、議事の経過の要領及びその結果その他の一般法人法施行規則第15条第3項及び第4項に定める事項を記載又は記録した議事録を作成し、出席した理事及び監事がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし、理事会の日から10年間主たる事務所に備え置く。

https://www.koshonin.gr.jp/pdf/syadan-teikan03_l_2022_v2.pdf 【日本公証人連合会HPより 23/05/02閲覧】
参考記事(外部リンク)

上記HPの「一般社団法人の定款」を参照。とても参考になる。

(2)登記規則

議事録への署名又は記名押印についてのルールは以上のとおりであるが、議事録を登記申請の添付書類として提出する場合には、別の規定が適用される。

詳細については、つぎの記事を参照。
【参照記事:】

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