1.吸収合併(に限らず合併一般について)
(1)条文
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)
第八十二条
合併による解散の登記の申請については、吸収合併後存続する会社(以下「吸収合併存続会社」という。)又は新設合併により設立する会社(以下「新設合併設立会社」という。)を代表すべき者が吸収合併消滅会社又は新設合併消滅会社を代表する。
2 前項の登記の申請は、当該登記所の管轄区域内に吸収合併存続会社又は新設合併設立会社の本店がないときは、その本店の所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。
3 第一項の登記の申請と第八十条又は前条の登記の申請とは、同時にしなければならない。
4 申請書の添付書面に関する規定は、第一項の登記の申請については、適用しない。
(2)整理
合併の場合には、合併当事者の一方が消滅するため、82条1項では「消滅会社に関する登記申請について、誰が代表して登記すべきか。」を規定している。
(この点は、添付書類の作成者にも影響する。株主リスト。)
- 吸収合併消滅会社:吸収合併存続会社を代表すべき者が代表する。
- 新設合併消滅会社:新設合併設立会社を代表すべき者が代表する。
そのうえで、合併による解散の登記申請は「吸収合併存続会社(または新設合併設立会社)の本店がないときは、その本店の所在地を管轄する登記所を経由」しなければならない。
また、「合併による解散の登記」は「吸収合併による変更の登記」または「新設合併による設立の登記」と同時にしなければならない。
以上は、「吸収合併による変更の登記(または新設合併による設立の登記)」と「合併による解散の登記」が一体であることに起因する。
第八十三条
吸収合併存続会社又は新設合併設立会社の本店の所在地を管轄する登記所においては、前条第三項の登記の申請のいずれかにつき第二十四条各号のいずれかに掲げる事由があるときは、これらの申請を共に却下しなければならない。
2 吸収合併存続会社又は新設合併設立会社の本店の所在地を管轄する登記所においては、前条第二項の場合において、吸収合併による変更の登記又は新設合併による設立の登記をしたときは、遅滞なく、その登記の日を同項の登記の申請書に記載し、これを吸収合併消滅会社又は新設合併消滅会社の本店の所在地を管轄する登記所に送付しなければならない。
2.吸収分割(に限らず分割一般について)
(1)条文
商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)
第八十七条
吸収分割会社又は新設分割会社がする吸収分割又は新設分割による変更の登記の申請は、当該登記所の管轄区域内に吸収分割承継会社又は新設分割設立会社の本店がないときは、その本店の所在地を管轄する登記所を経由してしなければならない。
2 前項の登記の申請と第八十五条又は前条の登記の申請とは、同時にしなければならない。
3 第一項の登記の申請書には、第十八条の書面【代理権限を証する書面】を除き、他の書面の添付を要しない。
(2)整理
基本的な考え方は合併と同じだが、分割においては「当事者の一方が消滅」することがない。
同じ点は分割の当事者において生じる登記の変更が一体であること。
そのため、吸収分割会社がする吸収分割による変更の登記申請は「当該登記所の管轄区域内に吸収分割承継会社の本店がないときは、その本店の所在地を管轄する登記所を経由」しなければならない。
そして2つの変更登記申請は一体のものとして審査される。
第八十八条
吸収分割承継会社又は新設分割設立会社の本店の所在地を管轄する登記所においては、前条第二項の登記の申請のいずれかにつき第二十四条各号のいずれかに掲げる事由があるときは、これらの申請を共に却下しなければならない。
2 吸収分割承継会社又は新設分割設立会社の本店の所在地を管轄する登記所においては、前条第一項の場合において、吸収分割による変更の登記又は新設分割による設立の登記をしたときは、遅滞なく、その登記の日を同項の登記の申請書に記載し、これを吸収分割会社又は新設分割会社の本店の所在地を管轄する登記所に送付しなければならない。