住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減

1.租税特別措置法

(1)条文

参照条文

租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)

(住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減)
第七十三条 
個人が、昭和五十九年四月一日から令和六年三月三十一日までの間に建築後使用されたことのない住宅用家屋又は建築後使用されたことのある住宅用家屋のうち政令で定めるものの取得(売買その他の政令で定める原因によるものに限る。次条第二項、第七十四条の二第二項及び第七十四条の三第一項において同じ。)をし、当該個人の居住の用に供した場合には、これらの住宅用家屋の所有権の移転の登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところによりこれらの住宅用家屋の取得後一年以内(一年以内に登記ができないことにつき政令で定めるやむを得ない事情がある場合には、政令で定める期間内。次条第二項、第七十四条の二第二項及び第七十五条において同じ。)に登記を受けるものに限り、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、千分の三とする。

一定の条件を満たした「住宅用家屋」の所有権移転登記の登録免許税率を「1000分の3」とするもの。

(2)整理

減免を受ける要件はつぎのとおり。

  1. 建築後使用されたことのない住宅用家屋
    又は建築後使用されたことのある住宅用家屋のうち政令で定めるものを
  2. 昭和五十九年四月一日から令和六年三月三十一日までの間に
  3. 取得(売買その他の政令で定める原因によるものに限る。)し
  4. 当該個人の居住の用に供すること。

以上の要件を満たしたうえで、住宅用家屋の取得後1年以内(1年以内に登記ができないことにつき政令で定めるやむを得ない事情がある場合には、政令で定める期間内)に登記すると、登録免許税の減免を受けることができる。

なお「住宅用家屋」については、つぎのように定義されている。

参照条文

租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)

(住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減)
第七十二条の二 
個人が、昭和五十九年四月一日から令和六年三月三十一日までの間に住宅用の家屋で政令で定めるもの(以下第七十五条までにおいて「住宅用家屋」という。)を新築し、又は建築後使用されたことのない住宅用家屋を取得し、当該個人の居住の用に供した場合には、当該住宅用家屋の所有権の保存の登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところにより当該住宅用家屋の新築又は取得後一年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税法第九条の規定にかかわらず、千分の一・五とする。

法73条・72条の2のいずれについても、細かな点は政令で定めることとされている。

政令とは「租税特別措置法施行令」である。

2.租税特別措置法施行令

(1)条文(住宅用家屋の定義)

さきに「住宅用家屋」について確認。

参照条文

租税特別措置法施行令(昭和三十二年政令第四十三号)

(登記の税率が軽減される住宅用家屋の範囲)
第四十一条 
法第七十二条の二に規定する住宅用の家屋で政令で定めるものは、次の各号の一に該当する家屋であることにつき、当該個人の申請に基づき当該家屋の所在地の市町村長又は特別区の区長(・・・)が証明したものとする。
一 専ら当該個人の住宅の用に供される一棟の家屋(隣接する二棟以上の家屋を共に当該住宅の用に供する場合には、これらのすべての家屋)で床面積の合計が五十平方メートル以上であるもの
二 次に掲げる一棟の家屋でその構造上区分された数個の部分を独立して住居その他の用途に供することができるものにつきその各部分を区分所有する場合には、当該家屋のうち専ら住宅用の部分でその床面積が五十平方メートル以上であるもの
イ 建築基準法第二条第九号の二に規定する耐火建築物又は同条第九号の三に規定する準耐火建築物に該当する家屋
ロ 一団の土地(その面積が千平方メートル以上のものに限る。)に集団的に新築された家屋(地上階数が三以下のものに限る。)で建築基準法第二条第九号の三に規定する準耐火建築物に準ずる耐火性能を有するものとして国土交通大臣の定める基準に適合するもの(イに掲げる家屋に該当するものを除く。)

(2)整理(住宅用家屋の定義)

  • 専ら当該個人の住宅の用に供される一棟の家屋:床面積の合計が五十平方メートル以上
  • 一棟の家屋でその構造上区分された数個の部分を独立して住居その他の用途に供することができるものにつきその各部分を区分所有する場合:当該家屋のうち専ら住宅用の部分でその床面積が五十平方メートル以上

なお一棟の家屋については、つぎのような要件も必要となる。

  • 建築基準法第二条第九号の二に規定する耐火建築物又は準耐火建築物

(3)条文(建築後使用されたことのある住宅用家屋の定義等)

参照条文

租税特別措置法施行令(昭和三十二年政令第四十三号)

(所有権の移転登記の税率が軽減される建築後使用されたことのある住宅用家屋の範囲等)
第四十二条 法第七十三条に規定する建築後使用されたことのある住宅用家屋のうち政令で定めるものは、次に掲げる要件の全てに該当する家屋であることにつき、当該個人の申請に基づき当該家屋の所在地の市町村長又は特別区の区長が証明したものとする。
一 当該家屋が前条第一号又は第二号イに該当するものであること。
二 当該家屋が建築基準法施行令第三章及び第五章の四の規定若しくは国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合するものであること又は昭和五十七年一月一日以後に建築されたものであること。
2 一棟の家屋(登記簿に記録された当該家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造その他の財務省令で定めるものである家屋に限る。)でその構造上区分された数個の部分を独立して住居その他の用途に供することができるものにつきその各部分を区分所有する場合における当該家屋のうち専ら当該個人の住宅の用に供する部分でその床面積が五十平方メートル以上であるものは、前項の規定の適用については、前条第二号イに掲げる家屋に該当するものとする。
3 法第七十三条に規定する政令で定める原因は、売買又は競落とする。
4 法第七十三条に規定する一年以内に登記ができないことにつき政令で定めるやむを得ない事情がある場合は前条に規定する住宅用の家屋(建築後使用されたことのないものに限る。)を新築した者が当該住宅用の家屋の所有権の移転の登記に応じないため当該住宅用の家屋の新築後一年以内に訴えを提起した場合とし、法第七十三条に規定する政令で定める期間は当該訴えに係る判決の確定又は和解調書若しくは認諾調書の作成の日から一年を経過する日までの期間とする。

(4)整理(建築後使用されたことのある住宅用家屋の定義等)

「建築後使用されたことのある住宅用家屋」の要件はつぎのとおり。

  • 当該家屋が令41条第一号【専ら当該個人の住宅の用に供される一棟の家屋】又は第二号イ【耐火建築物又は準耐火建築物である一棟の家屋でその構造上区分された数個の部分を独立して住居その他の用途に供することができるものにつきその各部分を区分所有する場合】に該当するものであること。
  • 当該家屋が建築基準法施行令第三章及び第五章の四の規定若しくは国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合するものであること又は昭和五十七年一月一日以後に建築されたものであること。

ただし、登記簿に記録された当該家屋の構造が「鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造その他の財務省令で定めるもの」である家屋については、専ら当該個人の住宅の用に供する部分でその床面積が五十平方メートル以上である場合は、令41条第二号イに掲げる家屋に該当するものとされる。

ところどころで言及される「財務省令」は次項で確認する「租税特別措置法施行規則」である。

3.租税特別措置法施行規則

(1)条文

参照条文

租税特別措置法施行規則(昭和三十二年大蔵省令第十五号)

(住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減を受けるための手続等)
第二十五条 
法第七十二条の二の規定の適用を受けようとする者は、その登記の申請書に、当該登記に係る家屋についての施行令第四十一条に規定する市町村長又は特別区の区長(以下第二十七条までにおいて「市町村長等」という。)の施行令第四十一条の規定による証明書で当該家屋が新築されたものであること又は建築後使用されたことのないものであること及び当該家屋の新築又は取得の年月日の記載があるものを添付しなければならない。
(・・・)

(住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減を受けるための手続等)
第二十五条の二 
法第七十三条の規定の適用を受けようとする者は、その登記の申請書に、当該登記に係る家屋の次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める証明書を添付しなければならない。
一 建築後使用されたことのない家屋 当該家屋についての市町村長等の施行令第四十一条の規定による証明書で当該家屋が建築後使用されたことのないものであること、当該家屋を売買又は競落により取得したこと及び当該家屋の取得の年月日の記載があるもの
二 施行令第四十二条第一項に規定する家屋 当該家屋についての市町村長等の同項の規定による証明書で当該家屋を売買又は競落により取得したこと及び当該家屋の取得の年月日の記載があるもの
2 施行令第四十二条第二項に規定する財務省令で定める構造は、登記簿に記録された当該家屋の構造のうち建物の主たる部分の構成材料が石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造とする。
3 法第七十三条に規定するやむを得ない事情がある場合において、同条に規定する家屋につきその取得後一年を経過した日以後に同条に規定する登記を受けるときは、当該登記の申請書には、第一項に規定する書類のほか、施行令第四十二条第四項の訴えを提起した日を証する書類及び当該訴えについての判決、和解調書又は認諾調書の謄本を添付しなければならない。

参照条文

租税特別措置法施行規則(昭和三十二年大蔵省令第十五号)

(住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減を受けるための手続等)
第二十五条 
法第七十二条の二の規定の適用を受けようとする者は、その登記の申請書に、当該登記に係る家屋についての施行令第四十一条に規定する市町村長又は特別区の区長(以下第二十七条までにおいて「市町村長等」という。)の施行令第四十一条の規定による証明書で当該家屋が新築されたものであること又は建築後使用されたことのないものであること及び当該家屋の新築又は取得の年月日の記載があるものを添付しなければならない。
(・・・)

(住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減を受けるための手続等)
第二十五条の二 
法第七十三条の規定の適用を受けようとする者は、その登記の申請書に、当該登記に係る家屋の次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める証明書を添付しなければならない。
一 建築後使用されたことのない家屋 当該家屋についての市町村長等の施行令第四十一条の規定による証明書で当該家屋が建築後使用されたことのないものであること、当該家屋を売買又は競落により取得したこと及び当該家屋の取得の年月日の記載があるもの
二 施行令第四十二条第一項に規定する家屋 当該家屋についての市町村長等の同項の規定による証明書で当該家屋を売買又は競落により取得したこと及び当該家屋の取得の年月日の記載があるもの
2 施行令第四十二条第二項に規定する財務省令で定める構造は、登記簿に記録された当該家屋の構造のうち建物の主たる部分の構成材料が石造、れんが造、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造とする。
3 法第七十三条に規定するやむを得ない事情がある場合において、同条に規定する家屋につきその取得後一年を経過した日以後に同条に規定する登記を受けるときは、当該登記の申請書には、第一項に規定する書類のほか、施行令第四十二条第四項の訴えを提起した日を証する書類及び当該訴えについての判決、和解調書又は認諾調書の謄本を添付しなければならない。

(2)整理

減免を受ける場合には、登記の申請書に、当該登記に係る家屋についての施行令第四十一条に規定する市町村長又は特別区の区長の施行令第四十一条の規定による証明書を添付しなければならない。

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