目次
1.住所等を秘匿することの重要性
(1)住所を探索することを防止する意義
DV等の加害者が、住民票の写し等の交付等を不当に利用して、被害者の住所を探索することを防止することは非常に重要。
(行政機関が保有する個人情報(例:住民票)が何かしらの方法で加害者の手にわたってしまったために、被害者の住所が明らかとなり、重大な事件が引き起こされるに至ったことも。)
『ドメスティック・バイオレンス、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者の保護のための住民基本台帳事務における支援措置に関する事務の適正な執行の徹底について』
先般、最初に支援措置の申出等を受けた市区町村(以下「当初受付市区町村」という。)から支援措置情報が転送されることにより申出を受けた他の市区町村(以下「転送受付市区町村」という。)において、住民基本台帳担当部局と庁内の関係部局との間で支援措置情報が共有されていなかったために、当該関係部局から支援措置の対象者の現住所の情報が加害者に漏れてしまう事案が発生しました。
令和元年6月27日総務省自治行政局住民制度課長
(2)DV等支援措置の概要
支援措置対象者(DV等被害を申し出た方のうち、支援の必要性が確認された者)を保護するため、(1)住民基本台帳の一部の写しの閲覧、(2)住民票の写し等の交付、(3)戸籍の附票の写しの交付について、不当な目的により利用されることを防止するもの。
つぎのようなプロセスで閲覧制限などの支援措置を受けることができる。
- DV等支援措置の申出
- 支援の必要性の確認
(支援の必要性が認められた場合には「支援措置決定通知書」が送付される。) - DV等支援措置を一定期間実施(確認の結果を申出者に連絡した日から起算して1年。期間終了の1か月前から延長申出も可能。)
支援措置の内容はつぎのとおり。
- 相手方からの閲覧・交付請求については一律に「不当な目的によるもの又は相当と認められないもの」として、閲覧・交付をさせない。
- 相手方以外の第三者からの閲覧・交付請求についても、相手方が第三者になりすまして行う申出に対し交付・閲覧をさせることを防ぐため、本人確認をより厳格に実施。
- 相手方からの依頼を受けた第三者からの住民票の写し等の交付等の申出に対し交付・閲覧をさせることを防ぐため、請求事由についてもより厳格な審査を実施。
(3)支援の必要性の確認について
「住民基本台帳事務における支援措置申出書」の提出を受けた市区町村は、支援の必要性について次の方法により確認する。
- 警察、配偶者暴力相談支援センター、児童相談所等の相談機関等の意見を聴く。
- または、裁判所の発行する保護命令決定書の写し若しくはストーカー規制法に基づく警告等実施書面等の提出を受ける。
こちら(長浜市)の様式・案内をみると、相談機関に「住民基本台帳事務における支援措置申出書」に意見の記載と押印をしてもらったうえで市役所窓口に提出という流れになっている。
2.住民基本台帳法に関する通知
(1)総務省HPにおける情報提供
(2)DV等支援措置関連通知
関連通知(通達)を、HP上で確認できるのは素晴らしい(某省と比較して。)。
「住民基本台帳事務処理要領」も最新版をどこかに掲載してくれると、なお素晴らしい。
(3)DV等支援措置の追加について
DV等支援措置は平成16年5月31日総務省自治行政局長・法務省民事局長「住民基本台帳事務処理要領の一部改正について(通知)」により追加されています。
住民基本台帳事務処理要領に「第6-10」として「住民基本台帳の一部の写しの閲覧及び住民票の写し等の交付並びに戸籍の附票の写しの交付におけるドメスティック・バイオレンス及びストーカー行為等の被害者の保護のための措置」と題された一連の事務処理対応が記載されています。
通知の施行日は平成16年7月1日でした。
最新の住民基本台帳事務処理要領を確認することができないのですが、たとえば令和2年4月21日総務省自治行政局住民制度課長「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う諸情勢等を踏まえた住民基本台帳事務に おけるDV等支援措置の取扱いについて(通知)」をみてみると「DV等支援措置の実施を求める旨の申出及び延長の申出については、『住民基本台帳事務処理要領』第5-10-ア-(エ)において、市区町村長が、申出者に対し、市区町村の事務所への出頭を求め、本人確認を行うことで受け付けることとされているが・・・」とされており第5-10に移動しているものと思われます。