直葬について(その2)直送の流れ

2019年2月20日

0.直葬と「司法書士」

(1)司法書士が関与する場面

「直葬」がひとつの葬儀の方法として認知されつつあります。

司法書士にとって「直葬」とは、

つぎのような場面で、関係することが多いです。

  1. 遺言書作成サポートのなかで、「葬儀の方法」として記載。
  2. 相続手続きサポートのなかで、ご遺族が直送を選択。
  3. 成年後見人等の職務のなかで、「死後事務」一環として実際に直送をおこなう。

このうち、1・2は間接的な関与となりますが、

3は、まさに自身が「直葬」の当事者として関与することとなります。

そのため「直葬」を何度も経験するという、

ある意味、特殊な立場にあります。

(2)自身の経験した「直葬」の流れ

実際に、「直葬」ってどういった流れなのか、気になる方もいらっしゃると思いますので、自身の経験から、一例をご紹介したいと思います。

なお、以下の流れは、特定の葬儀社を利用してのものです。

このほかにも、様々なバリエーションが考えられますが、まずは一例としてご参照ください。

個人的にお伝えしたい要点は2つあります。

【1】すでにお墓がある場合

火葬後、すでにお墓があって、そこに納骨する場合には、お寺さんに事前に確認を取ったほうが良いです。なかには、「お経も読まずに荼毘に付された遺骨は納骨させない!」なんていうお寺もあるからです。

また、希望する墓地に、あらたにお墓を立てる場合にも、念のため、確認をしたほうが良いと思います。

最近は、永代供養や合同墓が充実していますので、好みがなければ納骨先に困るようなことはないかと思いますが、希望がある場合には、どういった形で受け入れをしているか必ず確認するべきです。

【2】故人と向き合う時間

結論から言うと、「直葬」は本当にシンプルです。

従来型のお葬式をイメージされている方にとっては、「あっという間」に感じるでしょう。

ですので、親族への連絡など、並行してその他の手続きをしていると、故人と向き合う時間がないままに、「あっという間」に火葬まで行ってしまいます。

ご遺体が安置されてから、納棺するまでの時間は、意識して、(他の必要な手続きはいったん忘れて)大事に過ごす必要があるのかなと、すくない経験ながら感じています。

以下、ざっと流れを見ていきましょう。

1.病院にて亡くなる。

ご自宅で看取られる方も増えていると聞きますが、

現状では、病院(または看取りをする老人ホーム)でなくなる方が多いと思います。

そして病院は、すぐに遺体を別の施設に運ぶように求めてくるのが、一般的です。

病院にとっては日常茶飯事のことなのかもしれませんが、ご遺族にとっては、気持ちを休める暇もなく手続きを急かされ、なんとも嫌な気持ちになるでしょう。

2.直葬を行ってくれる葬儀屋さんに電話

葬儀屋さんに電話します。

自分が手続きするときは、標準的な費用感を把握しているので困りませんが、はじめて手続きされる方は、戸惑いを覚えることでしょう。

病院でも葬儀屋さんの紹介はしてくれると思いますが、気持ちが許すのであれば、費用を、事前に何件か確認しておくと良いかもしれません。

広告等で提示されている最安値からの変動要因としては、つぎの点が考えられます。

(1)病院までの引き取り費用

(2)ご遺体の安置期間

(3)骨壺等がセットに含まれているか

ただし(2)は、火葬場の空き状況にもよるので、仕方のない面もありますが。

3.ご遺体の引き取り

(1)引き取り

葬儀屋さんに依頼をすると、すぐにご遺体の引き取りに来てくれます。

時間が許せば、そのまま打合せをして、正確な見積書をもらいます。

手向けのお花や骨壺等も、基本的には葬儀屋さんが用意してくれますので、とくになにかを用意する必要はないと思いますが、出棺となるとあっという間ですので、安置から出棺までの時間は大切にしたほうが良いと個人的には感じます。

(2)死亡届と火葬許可

火葬許可や死亡届は、葬儀屋さんで行ってくれる場合が多いかと思います。

火葬許可証が埋葬に際して必要になるので、その受け取りを忘れないようにしましょう(一般的には出棺直前か、火葬場に到着してから渡してもらうことになるかと思います。)

4.引き取りから出棺まで

(1)セレモニーの省略

ここからが「直葬」といわれるゆえんですが、通夜や告別式といったセレモニーは一切省略されます。

あとは火葬場の予約がとれて、出棺するまでは、ご遺体を葬儀屋さんに安置してもらうのみとなります。

(2)どこまで融通が効くか

ご遺体への付き添い(一晩)とか、読経をさせてくれるか、などは葬儀屋さんによって異なります。

表現の仕方は良くないですが、葬儀屋さんとしても、人件費や時間を切り詰めての値段設定になっていることから、職員の付き添いや、会場利用の時間については、事前に細かな打合せをする必要があるでしょう。

(3)納棺

納棺についても、少人数で、比較的短時間で、とりおこなうこととなります。

後見人として、身寄りのない方の直葬をする際には、老人ホームの職員の方など故人とお別れを希望される方に対して、このタイミングで、お花を手向けていただいたりするのが一般的なように思います。

5.火葬

(1)火葬場での待機

一般に、「直葬」の場合、葬儀屋さんの関与は、火葬場までかと思います。
葬儀屋さんから渡される「火葬許可証」は、埋葬に際して必要となりますので、紛失しないように注意しましょう。
火葬炉に収めるてからは、葬儀屋さんから、火葬場の職員の方にバトンタッチされます。
火葬の間は、控室で待ちます。控室といっても、ロビーのような場所でソファーに座って待つ形かと思います。個室を用意してもらう場合には、事前に伝えておく必要があります。

(2)収骨

火葬後は、参加者で収骨をします。参加者がひとりだと、ひとりで全部納めます。

(3)火葬場を去る

骨壺とともに、火葬場をあとにします。

6.納骨

(1)お寺にて納骨

すでにお墓のある場合には、「直葬による納骨」の可否について、

事前にお寺と相談する必要があります。

(2)納骨先に困る場合

最近は、ご遺骨の受け入れ先が、良くも悪くも充実しているので、どこにも納め先がないというケースは少ないように思います。

一方で、従来式の「お葬式」を経ての納骨と区別するお寺や墓地がなくはないので、その点は注意すべきかもしれません。

7.さいごに

上記4~5はアッという間なので、4の時間を大切に過ごするよう、意識すべきと思います。