調停に代わる審判と公示送達

2020年1月9日

ダメですよという話。

1.調停に代わる審判

参照条文

家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)

第二百八十四条 
家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。

第二百五十八条 
(・・・)第七十三条、第七十四条、第七十六条(第一項ただし書を除く。)、第七十七条及び第七十九条の規定は家事調停に関する審判について(・・・)準用する。

第七十四条 
審判は、特別の定めがある場合を除き、当事者及び利害関係参加人並びにこれらの者以外の審判を受ける者に対し、相当と認める方法で告知しなければならない。
2 審判(申立てを却下する審判を除く。)は、特別の定めがある場合を除き、審判を受ける者(審判を受ける者が数人あるときは、そのうちの一人)に告知することによってその効力を生ずる。ただし、即時抗告をすることができる審判は、確定しなければその効力を生じない。
3 申立てを却下する審判は、申立人に告知することによってその効力を生ずる。
4 審判は、即時抗告の期間の満了前には確定しないものとする。
5 審判の確定は、前項の期間内にした即時抗告の提起により、遮断される。

なお「相当と認める方法で告知」とは、「原則として送達による。ただし、一律に送達によることとすると、簡易迅速な処理の要請に反する場合が想定しうることから、送達以外の方法を許容する。」との趣旨。 

送達による場合には、民訴法の規定が準用される(法36条参照)。

参照条文

家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)

第三十六条 
送達及び家事事件の手続の中止については、民事訴訟法第一編第五章第四節及び第百三十条から第百三十二条まで(同条第一項を除く。)の規定を準用する。この場合において、同法第百十三条中「その訴訟の目的である請求又は防御の方法」とあるのは、「裁判又は調停を求める事項」と読み替えるものとする。

2.調停に代わる審判の特則(告知における公示送達の禁止)

参照条文

家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)

第二百八十五条 
家事調停の申立ての取下げは、第二百七十三条第一項の規定にかかわらず、調停に代わる審判がされた後は、することができない。
2 調停に代わる審判の告知は、公示送達の方法によっては、することができない。
3 調停に代わる審判を告知することができないときは、家庭裁判所は、これを取り消さなければならない。

 2項により、「公示送達」が禁止されている。

これは、そもそも「調停に代わる審判」が、当事者の異議申立てがないことをもって合意が形成されたと考えることから。

当事者が所在不明となって「調停に代わる審判」の告知ができない場合(公示送達によるべき場合)には、いったん「調停に代わる審判」は取り消されて(第3項)、結局のところ、調停成立の見込みなしとして、審判に移行することとなる。

参照条文

家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)

第二百七十二条 
調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。
(・・・)
4 第一項の規定により別表第二に掲げる事項についての調停事件が終了した場合には、家事調停の申立ての時に、当該事項についての家事審判の申立てがあったものとみなす。