営業譲渡と休眠抵当権の抹消

2020年3月21日

旧法の「営業譲渡」について調べたわけではないので、
正確ではないかもしれないが、現行会社法の「事業譲渡」の規定と同様だと考えた場合に。

0.休眠抵当権の抵当権者が法人で、すでに消滅しているという前提。

1.当該法人が合併により消滅していた場合

包括的に権利義務が存続会社に引き継がれるのだから、抵当権抹消についても、存続会社に請求!

2.当該法人が営業譲渡をしたあとに解散していた場合

(1)権利義務の譲渡については民法に従うことに

会社法においては「事業の譲渡」として規定されている。

会社法において定められているのは、事業譲渡を行う法人内部において、いかなる手続きが必要かということなので、事業譲渡に伴う権利義務の譲渡(とりわけ義務)については、民法の原則に従うこととなる。

従い、権利譲渡について対抗要件が定められているときには各対抗要件を具備しなければ第三者に対抗することができず、債務を譲受会社が免責的に引き受ける場合には債権者の承諾が必要となる。

(2)休眠抵当権の義務者は?

休眠抵当権の抵当権者が「事業譲渡により解散」していた場合に、譲受会社は当該抵当権について申請人となるかどうかについては、まずは事業譲渡の内容を検討する必要がある。

しかしながら、登記簿上には「事業譲渡により解散」としか記載されておらず、かつ例えば昭和5年の事業譲渡の内容など確認しようがなく、そうなると抵当権設定者としては、自身の抵当権にかかる権利義務は事業譲渡されていないものとして、譲渡会社を相手方として手続きを進めるということになるのだろうか。

参照条文

会社法(平成十七年法律第八十六号)

第四百六十七条 
株式会社は、次に掲げる行為をする場合には、当該行為がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)の前日までに、株主総会の決議によって、当該行為に係る契約の承認を受けなければならない。
一 事業の全部の譲渡
二 事業の重要な一部の譲渡(当該譲渡により譲り渡す資産の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えないものを除く。)
二の二 その子会社の株式又は持分の全部又は一部の譲渡(次のいずれにも該当する場合における譲渡に限る。)
イ 当該譲渡により譲り渡す株式又は持分の帳簿価額が当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えるとき。
ロ 当該株式会社が、効力発生日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき。
三 他の会社(外国会社その他の法人を含む。次条において同じ。)の事業の全部の譲受け
四 事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業上の損益の全部を共通にする契約その他これらに準ずる契約の締結、変更又は解約
五 当該株式会社(第二十五条第一項各号に掲げる方法により設立したものに限る。以下この号において同じ。)の成立後二年以内におけるその成立前から存在する財産であってその事業のために継続して使用するものの取得。ただし、イに掲げる額のロに掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合を除く。
イ 当該財産の対価として交付する財産の帳簿価額の合計額
ロ 当該株式会社の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額