目次
1.独立行政法人とは
先回、「国の機関」と同等の扱いがされることを確認しましたが、「登録免許税も非課税になるのだろうか」と気になったので調べてみました。
2.独立行政法人と登録免許税
(1)登録免許税法から
登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)
第四条
国及び別表第二に掲げる者が自己のために受ける登記等については、登録免許税を課さない。
2 別表第三の第一欄に掲げる者が自己のために受けるそれぞれ同表の第三欄に掲げる登記等(同表の第四欄に財務省令で定める書類の添附があるものに限る旨の規定がある登記等にあつては、当該書類を添附して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。
別表第二 非課税法人の表(第四条、第五条関係)
名称:独立行政法人(その資本金の額又は出資の金額の全部が国又は地方公共団体の所有に属しているもののうち財務大臣が指定をしたものに限る。)
根拠法:独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)及び同法第一条第一項(目的等)に規定する個別法
別表第三 非課税の登記等の表(第四条関係)
名称:十九の二 独立行政法人(別表第二に掲げるものを除き、国又は地方公共団体以外の者に対し、利益又は剰余金の分配その他これらに類する金銭の分配を行わないもののうち財務大臣が指定したものに限る。)
根拠法:独立行政法人通則法及び同法第一条第一項(目的等)に規定する個別法
非課税の登記等:
一 事務所用建物の所有権の取得登記又は当該建物の敷地の用に供する土地の権利の取得登記
二 独立行政法人通則法第一条第一項に規定する個別法の規定による業務のための別表第一第一号から第二十三号までに掲げる登記又は登録で特に公益性が高い業務のためのものとして財務大臣が指定したもの
備考:
第三欄の第一号又は第二号の登記又は登録に該当するものであることを証する財務省令で定める書類の添付があるものに限る。
別表第二は、登記する主体に着目して、当該主体が自己のためにする申請(嘱託)のすべてについて非課税の扱い。
別表第三は、登記する主体にくわえて、登記の種類も加味して、非課税の扱い。
社会福祉法人や宗教法人の取扱いが多いか。
公益性のある法人が事業用不動産を取得するに際しては、このあたりの規定をチェックすることに。
具体的に、どの独立行政法人が非課税法人または非課税登記に関する規定の適用を受けるかどうかは「財務大臣が指定」する内容による。その財務大臣の指定は「告示」により行われている。
(2)財務省告示
別表第二については、つぎのとおり。
登録免許税法別表第二独立行政法人の項の規定に基づき、自己のために受ける登記等につき登録免許税を課さない独立行政法人を指定する件
(平成13年財務省告示第57号)
告示別表を確認すると、
先日の、独立行政法人都市再生機構も独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構も記載されています。
ちなみに、現在話題となっている、独立行政法人日本学生支援機構も。
別表第三については、つぎのとおり。
登録免許税法別表第三の十九の二の項及び登録免許税法施行規則第四条の五の規定に基づき、自己のために受ける登記又は登録につき登録免許税を課さないこととされる登記又は登録に係る独立行政法人で同表の十九の二の項の第一欄の財務大臣が指定するもの及び当該独立行政法人が自己のために受ける当該登記又は登録で同項の第三欄の財務大臣が指定するもの並びに同条に規定する財務大臣が指定する者を指定する件
(平成15年財務省告示第610号)
告示別表を確認すると、なじみ深い法人としては、独立行政法人住宅金融支援機構や国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が記載されていた。
別表第二と第三の振り分けは、どういった点にあるのだろうか。
独立行政法人住宅金融支援機構も国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構も100%政府出資ではないのだろうか?
3.JAXAについて(おまけ)
(1)国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
と思ったらJAXAは違った。
独立行政法人住宅金融支援機構法(平成十七年法律第八十二号)
(資本金)
第六条
機構の資本金は、附則第三条第六項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。
2 政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に追加して出資することができる。この場合において、政府は、当該出資した金額の全部又は一部が第二十五条第一項の金利変動準備基金に充てるべきものであるときは、その金額を示すものとする。
3 機構は、前項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする。
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構法(平成十四年法律第百六十一号)
(資本金)
第六条
機構の資本金は、附則第十一条第一項及び第三項から第五項までの規定により政府及び政府以外の者から出資があったものとされた金額の合計額とする。
2 機構は、必要があるときは、主務大臣の認可を受けて、その資本金を増加することができる。
3 政府は、前項の規定により機構がその資本金を増加するときは、予算で定める金額の範囲内において、機構に出資することができる。
4 政府は、機構に出資するときは、土地又は建物その他の土地の定着物(次項において「土地等」という。)を出資の目的とすることができる。
5 前項の規定により出資の目的とする土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。
6 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(2)JAXAの事業報告書を見てみると
どこがJAXAに出資しているのだろうと事業報告書を見たら、
政府出資544,244百万円に対して、民間出資6百万円!
それはそうと、宇宙ステーション補給機「こうのとり」7号機の小型回収カプセル回収成功、おめでとうございます!
JAXA | トピックス(2018年)