1.不動産登記法における押印規定
(1)不動産登記令
不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)
第十八条
委任による代理人によって登記を申請する場合には、申請人又はその代表者は、法務省令で定める場合を除き、当該代理人の権限を証する情報を記載した書面に記名押印しなければならない。復代理人によって申請する場合における代理人についても、同様とする。
2 前項の場合において、代理人(・・・)の権限を証する情報を記載した書面には、法務省令で定める場合を除き、同項の規定により記名押印した者(・・・)の印鑑に関する証明書を添付しなければならない。
(・・・)
「当該代理人の権限を証する情報を記載した書面」すなわち委任状には、一定の例外(「法務省令で定める場合」)を除き、記名押印をする必要がある。
そして、一定の例外(「法務省令で定める場合」)を除き、押印に係る印鑑について証明書を添付しなければならない。
- 【分岐1】委任状への記名押印が必要かどうか
- 【分岐2】押印が必要な場合において、実印による押印が必要かどうか
(2)不動産登記規則
不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
第四十九条
令第十八条第一項の法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 申請人又はその代表者若しくは代理人が署名した委任による代理人の権限を証する情報を記載した書面(以下「委任状」という。)について公証人又はこれに準ずる者の認証を受けた場合
(・・・)
2 令第十八条第二項の法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
(・・・)
二 申請人又はその代表者若しくは代理人が記名押印した委任状について公証人又はこれに準ずる者の認証を受けた場合
(・・・)
まず令18条1項の「記名押印」の例外として、「署名した委任状」について公証人の認証を受けた場合。
そして令18条2項の「印鑑証明書添付」の例外として、「記名押印した委任状」について公証人の認証を受けた場合。
2.おまけ(公証人の認証による本人確認)
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
第二十三条
登記官は、申請人が前条に規定する申請をする場合において、(・・・)登記識別情報を提供することができないときは、(・・・)同条に規定する登記義務者に対し、当該申請があった旨及び当該申請の内容が真実であると思料するときは(・・・)その旨の申出をすべき旨を通知しなければならない。(・・・)
(・・・)
4 第一項の規定は、同項に規定する場合において、次の各号のいずれかに掲げるときは、適用しない。
一 当該申請が登記の申請の代理を業とすることができる代理人によってされた場合であって、登記官が当該代理人から(・・・)当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な情報の提供を受け、かつ、その内容を相当と認めるとき。
二 当該申請に係る申請情報(委任による代理人によって申請する場合にあっては、その権限を証する情報)を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録について、公証人(・・・)から当該申請人が第一項の登記義務者であることを確認するために必要な認証がされ、かつ、登記官がその内容を相当と認めるとき。
資格者代理人は、登記官に対して必要な情報を提供する。
公証人は、必要な認証をする。
公証人の認証文の記載例は次のとおり(平成17年2月25日民二457通達より)
嘱託人何某は、本公証人の面前で、本証書に署名押印(記名押印)した。本職は、運転免許証の提示により右嘱託人の人違いでないことを証明させた。よって、これを認証する。