1.渾
「渾身」のコン。
「渾名」(あだな)でもあるらしい。
四文字熟語としては「渾然一体」。
2.戸籍統一文字情報では
(1)「子の名に使える文字」「人名用漢字」
法務省の戸籍統一文字情報のページでも「子の名に使える文字」「人名用漢字」とされている。
(戸籍統一文字番号 200910)
戸籍法(昭和二十二年十二月二十二日法律第二百二十四号)
第五十条
子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。
2 常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。
名前に利用する漢字は「常用平易」でないといけない。
(2)「常用平易」
なにが「常用平易」な漢字なのか、というのは法務省令で定められている。
戸籍法施行規則(昭和二十二年十二月二十九日司法省令第九十四号)
第六十条
戸籍法第五十条第二項 の常用平易な文字は、次に掲げるものとする。
一 常用漢字表(平成二十二年内閣告示第二号)に掲げる漢字(括弧書きが添えられているものについては、括弧の外のものに限る。)
二 別表第二に掲げる漢字
三 片仮名又は平仮名(変体仮名を除く。)
この2号「別表第二に掲げる漢字」というのが、常用漢字のほかに人名に用いることのできる漢字。
3.人名に用いることのできる漢字
(1)調べ方
「そもそも利用できるかどうかわからない」というときには、こちらで検索。
右下の文字区分という欄に「子の名に使える文字」「人名用漢字」と記載されている。
同ページの用語説明には次のように記載されている。
法務省 戸籍統一文字情報 使い方「用語説明」より引用。
子の名に使える漢字
「子の名に使える漢字 戸籍法施行規則第60条の子の名に用いることができる文字のうち,漢字について示したもの。子の名に用いることができる文字は,この他,ひらがな,カタカナがある。」
人名用漢字
「戸籍法施行規則第60条別表第2に示された漢字。子の名に用いることができる。」
「子の名に使える漢字」ではない漢字を利用した出生届は市役所等で受け付けることはできない。
その場合には、家庭裁判所に不服申し立てをする。
戸籍法
第百二十一条
戸籍事件(第百二十四条に規定する請求に係るものを除く。)について、市町村長の処分を不当とする者は、家庭裁判所に不服の申立てをすることができる。
(2)不服申し立てのプロセス
今回の「渾」についても、つぎのような経過をたどっているはず。
1 役所に「渾」を利用した名で出生届を提出
2 役所は受付を拒否(「子の名に使える文字」ではない文字を利用しているため)
3 出生届を提出した親が家庭裁判所に不服申立て
4 家庭裁判所は「子の名に使える文字」だと判断
5 役所が即時抗告
6 高等裁判所も「子の名に使える文字」だと判断
7 高裁の判断に従い役所も出生届を受理(受理の日付は、当初提出日になると思われます。)
8 以上の判断を踏まえ、法務省も戸籍法施行規則60条の別表2を改正