目次
1.登記(公示)における建物の「個数」
(1)不動産登記事務取扱手続準則
不動産登記事務取扱手続準則(平成17年2月25日民二第456号通達)
(建物の個数の基準)
第78条
効用上一体として利用される状態にある数棟の建物は、所有者の意思に反しない限り、1個の建物として取り扱うものとする。
(・・・)
効用上の一体性から主従の別を判断するべきで有り、床面積の差で決定されることではない(床面積1500㎡の工場を附属建物、同50㎡の事務所を主である建物とすることもありうる。)。
(2)関係する先例
昭和25年12月14日民事甲3176通達
建物につき抵当権の設定登記をした後、その建物に附属建物の新築の登記がなされたる場合、当該抵当権設定登記の効力は、その附属建物にも及ぶものと解して差支えない。
2.附属建物のみを売買したい場合
(1)附属建物について分割の登記
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
第五十四条
(・・・)
一 建物の分割の登記(表題登記がある建物の附属建物を当該表題登記がある建物の登記記録から分割して登記記録上別の一個の建物とする登記をいう。以下同じ。)
(・・・)
(2)所有権の登記以外の登記の取扱い
【原則:転記】
不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
第百二十八条
第百二条及び第百四条第一項から第三項までの規定は、前条第一項の規定により甲建物からその附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記をする場合について準用する。
第百二条
登記官は、前条の場合において、乙土地の登記記録の権利部の相当区に、甲土地の登記記録から権利に関する登記(・・・)を転写し、かつ、分筆の登記に係る申請の受付の年月日及び受付番号を記録しなければならない。この場合において、所有権及び担保権以外の権利(地役権を除く。)については分筆後の甲土地が共にその権利の目的である旨を記録し、担保権については既にその権利についての共同担保目録が作成されているときを除き共同担保目録を作成し、転写した権利の登記の末尾にその共同担保目録の記号及び目録番号を記録しなければならない。
【例外:承諾による抹消】
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
第五十四条
(・・・)
3 第四十条の規定は、所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物についての建物の分割の登記又は建物の区分の登記をするときについて準用する。
第四十条
登記官は、所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地について分筆の登記をする場合において、当該分筆の登記の申請情報と併せて当該権利に関する登記に係る権利の登記名義人(・・・)が当該権利を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを承諾したことを証する情報が提供されたとき(当該権利を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にあっては、当該第三者が承諾したことを証する情報が併せて提供されたときに限る。)は、(・・・)、当該承諾に係る土地について当該権利が消滅した旨を登記しなければならない。
(3)新たに登記記録の作られた建物と登記識別情報
【原則:従前の主たる建物の登記識別情報が兼ねる】
前述の不動産登記規則128条により準用される102条1項による。
【例外:登記識別情報が存在しないこととなり事前通知等による対応】
不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
第百二十八条
第百二条及び第百四条第一項から第三項までの規定は、前条第一項の規定により甲建物からその附属建物を分割して乙建物とする建物の分割の登記をする場合について準用する。
2 登記官は、分割前の建物について現に効力を有する所有権の登記がされた後当該分割に係る附属建物の新築による(・・・)表題部の登記事項に関する変更の登記がされていたときは、前項において準用する第百二条の規定により当該所有権の登記を転写することに代えて、乙建物の登記記録の甲区に次に掲げる事項を記録しなければならない。
一 分割による所有権の登記をする旨
二 所有権の登記名義人の氏名又は名称及び住所並びに登記名義人が二人以上であるときは当該所有権の登記名義人ごとの持分
三 登記の年月日
【参考】登記研究760号 【実務の視点】(30)P.102以下
登記記録例114。(受付年月日は「余白」となる。)
つぎの登記記録例115も参照のこと(乙建物の甲区!!)
