1.敷地利用権、敷地権について
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
第四十四条
建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
(・・・)
九 建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権
区分建物について「登記された敷地利用権」かつ「規定により専有部分と分離して処分できないもの」を「敷地権」という。
建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)
第二条
(・・・)
6 この法律において「敷地利用権」とは、専有部分を所有するための建物の敷地に関する権利をいう。
第二十二条
敷地利用権が数人で有する所有権その他の権利である場合には、区分所有者は、その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができない。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない。
(・・・)
敷地利用権の定義は上記の通り。
ここから「登記」「規定により分離処分できないもの」という要件が加わると敷地権となる。
2.敷地利用権の割合について
建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)
第二十二条
(・・・)
2 前項本文の場合において、区分所有者が数個の専有部分を所有するときは、各専有部分に係る敷地利用権の割合は、第十四条第一項から第三項までに定める割合による。ただし、規約でこの割合と異なる割合が定められているときは、その割合による。
第十四条
各共有者の持分は、その有する専有部分の床面積の割合による。
2 前項の場合において、一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入するものとする。
3 前二項の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積による。
4 前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
「専有部分の床面積」が割合計算において重要となる。
(なお、規約により別段の定めを置くことは可能。)
そして、この場合の床面積は「壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積」となる。
(この点についても、規約により別段の定めを置くことは可能。)
不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
第百十五条
建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(区分建物にあっては、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てるものとする。
ちなみに不動産登記規則においては、原則的には「区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積」であるものの、区分建物にあっては「壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積」と例外規定が設けられている。
3.標準規約での記載
マンション標準管理規約(単棟型)
「●マンション標準管理規約及びマンション標準管理規約コメント」に掲載されている。
第10条
各区分所有者の共有持分は、別表第3に掲げるとおりとする。
【別表第3には具体的な持分割合が記載されているのみ】
【解説部分から抜粋】
第10条関係
① 共有持分の割合については、専有部分の床面積の割合によることとする。ただし、敷地については、公正証書によりその割合が定まっている場合、それに合わせる必要がある。
登記簿に記載されている面積は、内のり計算によるが、共有持分の割合の基準となる面積は、壁心計算(界壁の中心線で囲まれた部分の面積を算出する方法をいう。)によるものとする。
② 敷地及び附属施設の共有持分は、規約で定まるものではなく、分譲契約等によって定まるものであるが、本条に確認的に規定したものである。なお、共用部分の共有持分は規約で定まるものである。
③ なお、第46条関係③で述べている価値割合による議決権割合を設定する場合には、分譲契約等によって定まる敷地等の共有持分についても、価値割合に連動させることが考えられる。
たびたび登場してくる「規約」については、国土交通省が公開している標準管理規約を参照する。
4.ご参照
「平成29年度税制改正の大綱の概要」
居住用超高層建築物に係る固定資産税の税額の按分方法を、最近の取引価格の傾向を踏まえたものに見直し。