目次
1.補欠の役員の選任
(1)以前のまとめ
内容が不十分であったので、再作成。
(2)条文
会社法(平成十七年法律第八十六号)
(選任)
第三百二十九条
役員(取締役、会計参与及び監査役をいう。以下この節、第三百七十一条第四項及び第三百九十四条第三項において同じ。)及び会計監査人は、株主総会の決議によって選任する。
2 監査等委員会設置会社においては、前項の規定による取締役の選任は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別してしなければならない。
3 第一項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、役員(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この項において同じ。)が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。
会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)
(補欠の会社役員の選任)
第九十六条
法第三百二十九条第三項の規定による補欠の会社役員(執行役を除き、監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)の選任については、この条の定めるところによる。
2 法第三百二十九条第三項に規定する決議により補欠の会社役員を選任する場合には、次に掲げる事項も併せて決定しなければならない。
一 当該候補者が補欠の会社役員である旨
二 当該候補者を補欠の社外取締役として選任するときは、その旨
三 当該候補者を補欠の社外監査役として選任するときは、その旨
四 当該候補者を一人又は二人以上の特定の会社役員の補欠の会社役員として選任するときは、その旨及び当該特定の会社役員の氏名(会計参与である場合にあっては、氏名又は名称)
五 同一の会社役員(二以上の会社役員の補欠として選任した場合にあっては、当該二以上の会社役員)につき二人以上の補欠の会社役員を選任するときは、当該補欠の会社役員相互間の優先順位
六 補欠の会社役員について、就任前にその選任の取消しを行う場合があるときは、その旨及び取消しを行うための手続
3 補欠の会社役員の選任に係る決議が効力を有する期間は、定款に別段の定めがある場合を除き、当該決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時までとする。ただし、株主総会(当該補欠の会社役員を法第百八条第一項第九号に掲げる事項についての定めに従い種類株主総会の決議によって選任する場合にあっては、当該種類株主総会)の決議によってその期間を短縮することを妨げない。
(3)整理
会社法329条3項にいう「補欠役員の選任」とは、つぎの場合に備えて、あらかじめ後任者を選任しておく手続きである。
(本来であれば、役員が欠けたときに、株主総会を開催して選任すれば良いのだが、総会開催の手間を省くために、補欠の予選が認められている。)
- 役員が欠けた場合
- 法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠いた場合
なお会社法制定前は、先例により、一定の要件の元で、監査役に限り補欠者を予選することが認められていた。会社法においては、監査役に限定せず、役員につき補欠者の予選が認められている。
以上のような条件が付されていることから、つぎのようなケースでは、予選された補欠者が、後任として役員に就任することはできない。
【参照:相澤 哲 (編集)『論点解説新・会社法: 千問の道標』( 商事法務2006/6/1)p.305】
定款に「取締役は1名以上とする」との定めがある。
そして現在、取締役が3名選任されている。
会社法329条3項にいう「補欠役員」の趣旨で、取締役候補者1名を選任していた。
今般、取締役の1名が辞任したため、補欠役員を取締役としたい。
また、会社法329条3項にいう「補欠者の選任(以下では、他と区別するため「予選」という)」と区別すべきものとして、「役員の任期満了に備えて、予め後任者を予選しておく。」ことや「役員が一定期間後に辞任することが決定しているが、これに備えて、予め後任者を予選しておく。」というケースが挙げられる。
これはいずれも、期限(または条件)付決議の可否として整理されものである。
(参考:昭和41年1月20日民事甲第271号回答(代表取締役の予選について))
2.補欠役員の予選方法
(1)再度、条文の確認。
具体的な選任方法は、会社法施行規則に定めが置かれている。
会社法施行規則(平成十八年法務省令第十二号)
(補欠の会社役員の選任)
第九十六条
法第三百二十九条第三項の規定による補欠の会社役員(執行役を除き、監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役若しくはそれ以外の取締役又は会計参与。以下この条において同じ。)の選任については、この条の定めるところによる。
2 法第三百二十九条第三項に規定する決議により補欠の会社役員を選任する場合には、次に掲げる事項も併せて決定しなければならない。
一 当該候補者が補欠の会社役員である旨
二 当該候補者を補欠の社外取締役として選任するときは、その旨
三 当該候補者を補欠の社外監査役として選任するときは、その旨
四 当該候補者を一人又は二人以上の特定の会社役員の補欠の会社役員として選任するときは、その旨及び当該特定の会社役員の氏名(会計参与である場合にあっては、氏名又は名称)
五 同一の会社役員(二以上の会社役員の補欠として選任した場合にあっては、当該二以上の会社役員)につき二人以上の補欠の会社役員を選任するときは、当該補欠の会社役員相互間の優先順位
六 補欠の会社役員について、就任前にその選任の取消しを行う場合があるときは、その旨及び取消しを行うための手続
3 補欠の会社役員の選任に係る決議が効力を有する期間は、定款に別段の定めがある場合を除き、当該決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時までとする。ただし、株主総会(当該補欠の会社役員を法第百八条第一項第九号に掲げる事項についての定めに従い種類株主総会の決議によって選任する場合にあっては、当該種類株主総会)の決議によってその期間を短縮することを妨げない。
(2)整理
補欠役員の予選にあたっては、以下の事項を決定しなければならない。
(社外性に関する事項は省略)
- 当該候補者が補欠の会社役員である旨
- 当該候補者を、特定の役員の補欠として予選するときは、その特定の役員の氏名。
- 特定の役員の補欠として、複数の候補者を予選するときには、その候補者間での優先順位。
また規則96条3項は、補欠役員の予選決議の有効期間について規律している。
同項によれば、
原則として、予選決議の効力は「決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時まで」となる。
ただし、定款に別段の定めを置くことも可能である(短縮については、株主総会決議でも良い。)。
無限定に予選決議の効力を認めてしまうと、将来の株主の議決権を制限することにつながりかねないため、このような有効期間が設けられている。
3.補欠役員の任期
(1)条文
会社法(平成十七年法律第八十六号)
(監査役の任期)
第三百三十六条
監査役の任期は、選任後四年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
(・・・)
3 第一項の規定は、定款によって、任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとすることを妨げない。
(・・・)
(2)整理
4.補欠役員の登記
(1)就任日と選任日の区別
まず前提として、補欠役員の就任承諾は、「補欠役員として選任されたとき」にしても良いし、「役員が欠けたあと」でも良い。
「補欠役員として選任されたとき」に就任承諾していたのならば、役員が欠けたときに、補欠役員は役員に就任することになる。
「役員が欠けたあと」に就任承諾したのならば、就任承諾の日に就任することとなる。
一方で、補欠役員だった者が役員に就任した際の任期の起算点は「補欠役員に選任されたとき」となるので注意!
厳密な例示ではないが、イメージとして次のようなケースが考えられる。
監査役の任期4年の会社において、2年前にAを補欠監査役に選任した。
今般、Aは監査役B(残存任期3年)の補欠として監査役に就任した。
この場合、Aの任期は「2年(4年-2年)」となる。
(2)添付書類
登記申請にあたっては、つぎのような書面が必要となる。
- 選任に係る株主総会議事録(及び株主リスト)
- 就任承諾書
- 本人確認書類
- 定款(予選決議の有効期間を伸長している場合)
「欠けた状態になったこと」を示すことは不要であるのか??
(通常は、退任登記と一緒に申請するから不要か?とはいえ「欠けたこと」は退任登記だけでは確認できないのではないか??そう考えると、定款の添付が必要であるように感じる。)
