代表取締役等の住所の非表示措置の申出について

1.おことわり

(1)通達ベースでの整理

「令和6年7月26日民商第1 1 6 号」通達の内容を整理したもの。
未整理・誤認が多く含まれうること、ご容赦ください。

また、上場会社や今回の措置が取られる前に既に非表示となっているケースなどは検討外。
また、本稿では以下、代表取締役の住所を念頭に記載。
また、登記官の判断で非表示措置を終了させるケースについては検討外。

(2)対象となる情報

つぎの会社代表者の住所

  • 代表取締役
  • 代表執行役
  • 代表清算人

なお、非表示措置の対象となる会社に注意!

(3)対象となる会社

株式会社のみである。

特例有限会社も対象ではない!!

2.申出の方法

(1)特定の登記申請と一緒にすること

つぎの登記申請に限定されている。

  • 設立の登記
  • 本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記
  • 代表取締役の就任(重任を含む)
  • 代表取締役の住所変更による変更の登記

要するに住所を登記するタイミングということか(注:重任)。

(2)登記申請と一緒に必要書類を提出すること

上記(1)の登記申請にあたっては、従来通り、代表取締役の住所を記載する。

そのうえで、非表示措置の申出書と添付書類を、あわせて提出する。

通達においては、規則の規定にそって、つぎの3つで場合分けしている。

  • 上場会社以外の株式会社であって、代表取締役等住所非表示措置が講じられていない場合
  • 上場会社以外の株式会社であって、既に代表取締役等住所非表示措置が講じられている場合
  • 上場会社であって、代表取締役等住所非表示措置を講じていない場合

以下では、1番目のパターンについて検討していく。

3.申出の添付書類

(1)まとめ

つぎの書面の添付を要する。

  • 株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面
  • 代表取締役等の住所等を証する書面
  • 株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面

それぞれ、次号以下で確認していく。

(2)株式会社の本店所在場所における実在性を証する書面

つぎのような書面が該当する。

  • 資格者代理人(申出と一緒になされる登記申請につき委任を受けた者であること)が当該株式会社が本店の所在場所において実在することを確認した書面
    【通達において様式が示されている。様式においては、確認方法として「現認」「郵送」が例示されている。また、具体的確認方法について記述する箇所もある。】
    【書面の提出にあたり押印が求められており、「職印(法人の場合は登記所届出印)」が指定されている。個人の場合には職印証明書の提出が必要になるのだろうか??】
  • 当該株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便若しくはこれに準ずるものとして法務大臣が定めるものにより送付されたことを証する書面
    【配達証明書と郵便物受領証の添付が必要】
    【上記に記載された商号・本店所在場所は登記記録と一致することが必要】

(3)代表取締役の住所等を証する書面

非表示措置をおこなう代表取締役について、氏名及び住所が記載された市町村長その他の公務員が作成した証明書を添付する必要がある。

たとえば次のようなもの。

  • 住民票の写し
  • 氏名及び住所が記載された日本国領事が作成した証明書
  • 運転免許証や個人番号カード等の写しであって、当該代表取締役が原本と相違ない旨記載し、記名したもの

印鑑証明書も該当すると考える(氏名・住所が記載されている)。

(4)株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面

  • 資格者代理人(申出と一緒になされる登記申請につき委任を受けた者であること)が犯収法上の規定に則り確認した確認記録。
  • 本人特定事項についての申告受理及び認証証明書(当該申出と併せて行う登記の申請が当該株式会社の設立の日の属する年度又はその翌年度に行われる場合に限る。)
  • 実質的支配者情報一覧の写しの交付(申出と併せて行う登記の申請の日の属する年度又はその前年度において、保管及び交付申出、あるいは交付申出がなされていること。)

1番目の確認記録は、たんなる確認記録のコピーで良いのだろうか??
裏付資料や、確認記録についての資格者代理人の証明(職員の押印等)は不要なのだろうか??

4.非表示の方法

(1)非表示となる住所の範囲

対象者の住所のうち、行政区画以外のものが非表示となる。

行政区画とは、都道府県及び市区町村(指定都市の区を含む)を指す。

たとえば「静岡県沼津市御幸町16番1号」(沼津市役所の住所)であれば、
「静岡県沼津市」までが表示されることとなる。

(2)登記記録での見え方

ここが依頼者との誤解を生みやすいように思う。

通達に掲載された記録例を確認いただきたい。

とりわけ記録例1(4)。
丸わかりじゃないか!!

(3)継続した申出の必要性について

非表示措置がなされた住所と同一の住所を登記するときには、改めて非表示措置の申出をする必要はない。
(この登記には、本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合の新所在地における登記や、重任・再任の登記も含む。)

非表示になされた住所から住所変更がある場合には、改めての非表示措置の申出が必要となる。
なお、非表示にしたからといって、住所変更の登記義務がなくなるわけではない点に注意!!

※ 非表示措置の終了については、申出により終了することができ、この申出は単独でも可能である。

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