定款認証における「実質的支配者」の申告

2018年11月5日

定款認証における「実質的支配者」の申告

1.申告書のサンプル

参考記事(外部リンク)
公証事務に関する疑問にお答えいたします。日本公証人連合会。

下のほうに「実質的支配者となるべき者の申告書」が掲載されています。

 認証文言に「嘱託人は、『実質的支配者となるべき者である(氏名)は暴力団員等に該当しない。』旨申告した。」旨の文言が付記される。

該当するか否かについては「申告」するだけでOKだが、本人特定事項を明らかにする資料の添付が必要?(免許証等が例示されているが印鑑証明書では不足ということか?)

なお、オンラインでの電子認証を利用する場合には、嘱託画面が変更されるようで、新たに実質的支配者に関するデータを入力する欄が追加されるとのこと。

数社共同で株式会社を設立する場合などは、大変そうですね。。

2.関係条文

(1)公証人法関係

参照条文

平成30年11月30日から施行される公証人法施行規則

第十三条の四

公証人は、会社法(平成十七年法律第八十六号)第三十条第一項並びに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)第十三条及び第百五十五条の規定による定款の認証を行う場合には、嘱託人に、次の各号に掲げる事項を申告させるものとする。

一 法人の成立の時にその実質的支配者(犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)第四条第一項第四号に規定する者をいう。 ) となるべき者の氏名、住居及び生年月日

二 前号に規定する実質的支配者となるべき者が暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号) 第二条第六号に規定する暴力団員 (次項において「暴力団員」という。 ) 又は国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十四号)第三条第一項の規定により公告されている者(現に同項に規定する名簿に記載されている者に限る。 ) 若しくは同法第四条第一項の規定による指定を受けている者(次項において「国際テロリスト」という。 ) に該当するか否か

2 公証人は、前項の定款の認証を行う場合において、同項第一号に規定する実質的支配者となるべき者が、暴力団員又は国際テロリストに該当し、又は該当するおそれがあると認めるときは、嘱託人又は当該実質的支配者となるべき者に必要な説明をさせなければならない。

(2)犯収法関係

参照条文

犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)

第四条 特定事業者(・・・)は、顧客等との間で、(・・・)「特定業務」(・・・)のうち(・・・)「特定取引」(・・・)を行うに際しては、主務省令で定める方法により、当該顧客等について、次の各号(・・・)に掲げる事項の確認を行わなければならない。
(・・・)
四 当該顧客等が法人である場合において、その事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして主務省令で定める者があるときにあっては、その者の本人特定事項

参照条文

犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則(平成二十年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第一号)

【※いかんせん読みにくいので、ざっくりと省略しています。】

第十一条
(・・・)
2 法第四条第一項第四号及び令第十二条第三項第三号に規定する主務省令で定める者(以下「実質的支配者」という。)は、次の各号に掲げる法人の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める者とする。
一 株式会社(・・・)その他のその法人の議決権(・・・)が当該議決権に係る株式の保有数又は当該株式の総数に対する当該株式の保有数の割合に応じて与えられる法人((・・・)以下この条及び第十四条第三項において「資本多数決法人」という。)のうち、その議決権の総数の四分の一を超える議決権を直接又は間接に有していると認められる自然人((・・・)他の自然人が当該資本多数決法人の議決権の総数の二分の一を超える議決権を直接若しくは間接に有している場合を除く。)があるもの 当該自然人
二 資本多数決法人(前号に掲げるものを除く。)のうち、出資、融資、取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人があるもの 当該自然人
三 資本多数決法人以外の法人のうち、次のイ又はロに該当する自然人があるもの 当該自然人
イ 当該法人の事業から生ずる収益又は当該事業に係る財産の総額の四分の一を超える収益の配当又は財産の分配を受ける権利を有していると認められる自然人((・・・)当該法人の事業から生ずる収益若しくは当該事業に係る財産の総額の二分の一を超える収益の配当若しくは財産の分配を受ける権利を有している他の自然人がある場合を除く。)
ロ 出資、融資、取引その他の関係を通じて当該法人の事業活動に支配的な影響力を有すると認められる自然人
四 前三号に定める者がない法人 当該法人を代表し、その業務を執行する自然人
3 前項第一号の場合において、当該自然人が当該資本多数決法人の議決権の総数の四分の一又は二分の一を超える議決権を直接又は間接に有するかどうかの判定は、次の各号に掲げる割合を合計した割合により行うものとする。
一 当該自然人が有する当該資本多数決法人の議決権が当該資本多数決法人の議決権の総数に占める割合
二 当該自然人の支配法人(当該自然人がその議決権の総数の二分の一を超える議決権を有する法人をいう。この場合において、当該自然人及びその一若しくは二以上の支配法人又は当該自然人の一若しくは二以上の支配法人が議決権の総数の二分の一を超える議決権を有する他の法人は、当該自然人の支配法人とみなす。)が有する当該資本多数決法人の議決権が当該資本多数決法人の議決権の総数に占める割合
4 国等(令第十四条第四号に掲げるもの及び第十八条第六号から第十号までに掲げるものを除く。)及びその子会社(会社法第二条第三号に規定する子会社をいう。)は、第二項の規定の適用については、自然人とみなす。

どういったケースで、この申告が意味を持つのだろうか?

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