1.取締役の解任
参照条文
会社法(平成十七年法律第八十六号)
第三百三十九条
役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2 前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
会社法339条2項にいう「解任によって生じた損害」とは、残りの任期中の報酬相当額であるとされる(与えられた任期を全うすることへの期待の保護。ただし、会社法では最大任期が10年とされているなかで、単純に「残任期間」としてよいかは争いあり。)。
そうなると、任期の定めのない有限会社の役員については、「残りの任期」を観念しえないから、同条項の適用はないことに。
とはいえ、委任の原則に戻り民法651条2項が適用される可能性は残る。
参照条文
民法(明治二十九年法律第八十九号)
第六百五十一条
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
2.裁判例
東京地裁平成30年4月25日判決(判例タイムズ1472号)
この裁判例は、会社法339条2項、民法651条2項あるいは同法709条(不法行為)に基づく損害賠償請求をいずれも認めなかったもの。
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