一般社団法人における代表理事の役割・権限・選定方法

2023年9月27日

1.一般社団法人における代表理事の役割

(1)条文における「代表理事」の定義

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

第二章 一般社団法人
第一節 設立
第四款 設立時代表理事の選定等
第二十一条 
設立時理事は、設立しようとする一般社団法人が理事会設置一般社団法人である場合には、設立時理事の中から一般社団法人の設立に際して代表理事(一般社団法人を代表する理事をいう。以下この章及び第三百一条第二項第六号において同じ。)となる者(以下この条及び第三百十八条第二項において「設立時代表理事」という。)を選定しなければならない。
2 設立時理事は、一般社団法人の成立の時までの間、設立時代表理事を解職することができる。
3 前二項の規定による設立時代表理事の選定及び解職は、設立時理事の過半数をもって決定する。

代表理事とは「一般社団法人を代表する理事」である。
なお、301条2項は、登記すべき事項を列挙した条文で同項6号は「代表理事の氏名及び住所」。

(2)代表理事の権限

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(一般社団法人の代表)
第七十七条 
(・・・)
4 代表理事は、一般社団法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

(理事会設置一般社団法人の理事の権限)
第九十一条 
次に掲げる理事は、理事会設置一般社団法人の業務を執行する。
一 代表理事
二 代表理事以外の理事であって、理事会の決議によって理事会設置一般社団法人の業務を執行する理事として選定されたもの
2 (・・・)

原則として、代表理事は「一般社団法人の業務に関する一切の裁判上の行為」又は「一般社団法人の業務に関する一切の裁判外の行為」をする権限を有している。
また、理事としての権限を有していることも言うまでもない。

2.理事・理事会の権限の確認

(1)理事(非理事会設置)の権限

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(業務の執行)
第七十六条 
理事は、定款に別段の定めがある場合を除き、一般社団法人(理事会設置一般社団法人を除く。以下この条において同じ。)の業務を執行する。
2 理事が二人以上ある場合には、一般社団法人の業務は、定款に別段の定めがある場合を除き、理事の過半数をもって決定する。
3 前項の場合には、理事は、次に掲げる事項についての決定を各理事に委任することができない。
一 従たる事務所の設置、移転及び廃止
二 第三十八条【社員総会の招集の決定】第一項各号に掲げる事項
三 理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他一般社団法人の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
四 第百十四条【理事等による免除に関する定款の定め】第一項の規定による定款の定めに基づく第百十一条【役員等の一般社団法人に対する損害賠償責任】第一項の責任の免除
4 大規模一般社団法人においては、理事は、前項第三号に掲げる事項を決定しなければならない。

(2)理事会と理事の権限分配

つづいて、理事会設置一般社団法人における理事会と理事の権限。

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(理事会の権限等)
第九十条 
理事会は、すべての理事で組織する。
2 理事会は、次に掲げる職務を行う。
一 理事会設置一般社団法人の業務執行の決定
二 理事の職務の執行の監督
三 代表理事の選定及び解職
3 理事会は、理事の中から代表理事を選定しなければならない。
4 理事会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を理事に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 重要な使用人の選任及び解任
四 従たる事務所その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
五 理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他一般社団法人の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
六 第百十四条第一項の規定による定款の定めに基づく第百十一条第一項の責任の免除
5 大規模一般社団法人である理事会設置一般社団法人においては、理事会は、前項第五号に掲げる事項を決定しなければならない。

(理事会設置一般社団法人の理事の権限)
第九十一条 
次に掲げる理事は、理事会設置一般社団法人の業務を執行する。
一 代表理事
二 代表理事以外の理事であって、理事会の決議によって理事会設置一般社団法人の業務を執行する理事として選定されたもの
2 前項各号に掲げる理事は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。ただし、定款で毎事業年度に四箇月を超える間隔で二回以上その報告をしなければならない旨を定めた場合は、この限りでない。

理事会設置一般社団法人の場合には、まず理事会が「業務執行の決定」をおこなう機関となる。

さらに業務執行をおこなう理事が「代表理事」と「業務を執行する理事として選定された理事」に限定される。

3.代表理事の選定方法

(1)設立時

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

第四款 設立時代表理事の選定等
第二十一条 
設立時理事は、設立しようとする一般社団法人が理事会設置一般社団法人である場合には、設立時理事の中から一般社団法人の設立に際して代表理事(一般社団法人を代表する理事をいう。以下この章及び第三百一条第二項第六号において同じ。)となる者(以下この条及び第三百十八条第二項において「設立時代表理事」という。)を選定しなければならない
2 設立時理事は、一般社団法人の成立の時までの間、設立時代表理事を解職することができる。
3 前二項の規定による設立時代表理事の選定及び解職は、設立時理事の過半数をもって決定する。

理事会設置一般社団法人の場合には、設立時理事が、代表理事を選定しなければならない。
「選定しなければならない」という点に注意。

(2)非理事会設置一般社団法人

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(一般社団法人の代表)
第七十七条 
理事は、一般社団法人を代表する。ただし、他に代表理事その他一般社団法人を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の理事が二人以上ある場合には、理事は、各自、一般社団法人を代表する。
3 一般社団法人(理事会設置一般社団法人を除く。)は、定款定款の定めに基づく理事の互選又は社員総会の決議によって、理事の中から代表理事を定めることができる
4 代表理事は、一般社団法人の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。

原則として、各自代表。

例外として、理事の中から代表理事(とそうでない理事)を定めることができる。

その選定方法は、つぎのいずれか。

  • 定款
  • 定款の定めに基づく理事の互選
  • 社員総会の決議

(3)理事会設置一般社団法人

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(理事会の権限等)
第九十条 理事会は、すべての理事で組織する。
2 理事会は、次に掲げる職務を行う。
(・・・)
三 代表理事の選定及び解職
3 理事会は、理事の中から代表理事を選定しなければならない。
(・・・)

4.代表理事と法人登記

(1)登記事項

参照条文

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成十八年法律第四十八号)

(一般社団法人の設立の登記)
第三百一条 
一般社団法人の設立の登記は、その主たる事務所の所在地において、次に掲げる日のいずれか遅い日から二週間以内にしなければならない。
一 第二十条第一項の規定による調査が終了した日
二 設立時社員が定めた日
2 前項の登記においては、次に掲げる事項を登記しなければならない。
一 目的
二 名称
三 主たる事務所及び従たる事務所の所在場所
四 一般社団法人の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
四の二 第四十七条の二の規定による電子提供措置をとる旨の定款の定めがあるときは、その定め
五 理事の氏名
六 代表理事の氏名及び住所
七 理事会設置一般社団法人であるときは、その旨
(・・・)

(2)添付書類

つぎの記事を参照。
【参照記事:一般社団法人における役員選任登記(理事・代表理事など)】

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