目次
1.事故簿とは何か?
(1)不動産登記規則
不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
附則第三条
登記所は、その事務について法附則第三条第一項の規定による指定(同条第三項の規定により指定を受けたものとみなされるものを除く。)を受けたときは、当該事務に係る旧登記簿(・・・)を法第二条第九号に規定する登記簿に改製しなければならない。ただし、法附則第三条第一項に規定する電子情報処理組織による取扱いに適合しない登記簿については、この限りでない。
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
附則第三条
新法第二条第五号【登記記録】及び第九号【登記簿】、第十二条【登記記録の作成】、第五十一条第五項及び第六項(第五十三条第二項において準用する場合を含む。)並びに第百十九条【登記事項証明書の交付等】の規定は、登記所ごとに電子情報処理組織(旧法第百五十一条ノ二第一項の電子情報処理組織をいう。第三項において同じ。)により取り扱う事務として法務大臣が指定した事務について、その指定の日から適用する。
(・・・)
(2)整理
従来の旧登記簿は、新たな不動産登記法の規定に沿った登記簿に改製しなければならない。
ただし「電子情報処理組織による取扱いに適合しない登記簿」については、この限りでないとされる。
「電子情報処理組織による取扱いに適合しない」というのは、つぎのような事由が例として挙げられる。
- 共有不動産について、共有者の持分の合計が1にならない!
- 同一所在・同一地番の登記簿が複数存在する!
2.事務処理上の扱いについて
(1)不動産登記規則の確認
不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
附則第十四条の二
第三条指定を受けた事務のうち、附則第三条第一項(・・・)の規定による改製を終えていない登記簿(電子情報処理組織による取扱いに適合しない登記簿を含む。以下同じ。)に関する事務は、法附則第三条第一項、第四項及び第七項並びに附則第四条第一項、第二項、第四項及び第五項、第六条第一項及び第四項、第七条第一項、第八条第一項、第十条第一項、第八項及び第九項並びに第十二条第一項及び第六項の適用については、第三条指定を受けていない事務とみなす。
附則第十六条の二
第六条指定を受けた登記手続のうち、附則第三条第一項の規定による改製を終えていない登記簿に関する登記手続は、法附則第六条第一項並びに附則第十五条第一項、第二項、第六項、第八項及び第九項並びに第十六条の適用については、第六条指定を受けていない登記手続とみなす。
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
附則第六条
新法第十八条第一号の規定は、登記所ごとに同号に規定する方法による登記の申請をすることができる登記手続として法務大臣が指定した登記手続について、その指定の日から適用する。
(・・・)
附則3条については上記1(1)を参照。
(2)整理
規則附則第3条は、「適合しない登記簿については、コンピューター化しない」と規定。
附則第14条の2は、不適合登記簿も含めて、改製未了の登記簿については、法附則第3条第1項【コンピュータ化による事務処理を行う】に関する指定がないものと規定。
附則第16条の2は、不適合登記簿も含めて、改製未了の登記簿については、法附則第6条第1項【オンライン申請】に関する指定がないものと規定。
3.申請について
(1)不動産登記規則の確認
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)
附則第六条
新法第十八条【申請の方法】第一号の規定は、登記所ごとに同号に規定する方法による登記の申請をすることができる登記手続として法務大臣が指定した登記手続について、その指定の日から適用する。
(申請の方法)
第十八条
登記の申請は、次に掲げる方法のいずれかにより、不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名又は名称、登記の目的その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)を登記所に提供してしなければならない。
一 法務省令で定めるところにより電子情報処理組織(・・・)を使用する方法
二 申請情報を記載した書面(・・・)を提出する方法
不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
附則第十五条
(・・・)
2 第六条指定を受けていない登記所の登記手続に係る登記の申請をするときは、登記原因を証する情報を記載した書面であって不動産所在事項、登記の目的及び登記原因その他の申請に係る登記を特定することができる事項を記載したもの又は申請書と同一の内容を記載した書面を提出するものとする。
(・・・)
6 第六条指定を受けていない登記手続において登記を完了した場合における登記済証(第三項の登記済証を除く。)の作成及び交付については、なお従前の例による。この場合においては、第二項の規定により提出された書面又は法附則第六条第三項の規定により読み替えて適用される法第二十二条の規定により提出された登記済証を旧法第六十条第一項に規定する登記原因を証する書面若しくは申請書の副本又は同条第二項に規定する登記済証若しくは書面とみなす。
(2)まとめ
以上のとおり、いわゆる書面申請により登記申請をすることとなる。
くわえて、登記識別情報が発行されず「登記済証」の発行を受けることになる。
4.まとめ
改製未了の登記簿については、改製不適合登記簿も含め、オンライン申請の対象にはならない。「受付くらいオンラインでしてくれてもいいの」にとは思うが、システムが物件情報の電子化を前提にしていることから、仕方がないのだろうか。
とはいえ、登記済証の交付を受けるというのは、なんとも新鮮である。
【参考文献】
登記研究765・151