完全親子会社間での取引(利益相反?)

2018年9月7日

1.前提

株式会社A(代取甲)

株式会社B(代取甲)

(Aは、Bの株式を100%保有。)

AとBとで不動産の売買をする。

見た目は、完全に利益相反取引なので、双方での株主総会(または取締役会)の承認が必要か。

2.参考判例

最判昭和45年8月20日

本件売買契約締結当時には、被上告会社は株式会社の形態をとつているとはいえ、その営業は実質上、上告人Aの個人経営のものにすぎないから、被上告会社の利害得失は実質的には上告人Aの利害得失となるものであり、その間に利害相反する関係はない。したがつて、上告人Aがその所有の本件土地を被上告会社に売り渡すことについて、両者の間に実質的に利害相反の関係を生じるものではない(・・・)

会社と取締役間に商法二六五条所定の取引がなされた場合でも、前段説示のように、実質的に会社と当該取締役との間に利害相反する関係がないときには、同条所定の取締役会の承認は必要ないものと解するのが相当(・・・) 

3.必要書類

上記判例でいう「上告人A」を親会社に置き換えて考えると、まったく同じことがいえるので、完全親子会社間の利益は共通しているものとして、利益相反には該当しないとされる。

では、登記申請時に「完全親子会社」であることをどう証明するか?

【参照:登記インターネット24号204ページ】

(1)取締役全員による証明

親会社の、甲以外の取締役全員による、「Bが完全子会社であること」の証明書(印鑑証明書付)。

なぜ「甲以外の取締役全員」なのかは不明。

(2)株主名簿による証明

子会社の、甲以外の取締役全員による、当該子会社の株主名簿の証明書(印鑑証明書付)!!

なぜ「甲以外の取締役全員」なのかは不明。

普通に株主総会(取締役会)決議をしたほうが良い。。

関連記事
利益相反にかかる議事録と不動産登記
1.株式会社における利益相反に関する規定 (1)会社法 参照条文 会社法(平成十七年法律第八十六号) (競業及び利益相反取引の制限)第三百五十六条 取締役は、次…
合同会社における利益相反取引
合同会社が代表社員から不動産を買い取る場合を念頭に置いて。 1.条文 (1)会社法 参照条文 会社法(平成十七年法律第八十六号) (利益相反取引の制限)第五百九…