1.条文
会社法(平成十七年法律第八十六号)
第百七条
株式会社は、その発行する全部の株式の内容として次に掲げる事項を定めることができる。
一 譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要すること。
(・・・)
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(・・・)
十七 譲渡制限株式 株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。
(・・・)
第百三十六条
譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
第百三十九条
株式会社が第百三十六条又は第百三十七条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。
2.定款の規定について
(1)法務局の記載例から
『当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を受けなければならない。』
1-3 株式会社設立登記申請書(取締役会を設置しない会社の発起設立)【R3.2.15更新】
(2)「当会社」とは
取締役会設置会社においては、取締役会。
そうでなければ株主総会、というのが原則(会社法139条)。
3.承認機関のレパートリー
(1)代表取締役
(2)取締役の過半数
会社の機関による決定といえれば良いとされる。
4.おまけ
取締役会設置会社において、代表取締役を承認機関とする場合には、一定の基準を定め、当該基準に従い機械的に諾否を決定すべきとの見解あり(江頭会社法7版237頁)。
前提として、下位機関を決定機関とすることはできないとの立場。
かりにそれが許されるとするには、決定の基準を取締役会等で定めたうえで、基準に沿って当該下位機関が判断すべし、ということ。