目次
1.昨今の空き家問題
(1)空き家の増加
空き家が増えています。
空き家増加の背景には、つぎのような理由が複合的に作業していると考えられています。
- 核家族化(親族が、細かな単位で生活をする。)
- 持ち家率の高さ(核家族化の進展と相まってネガティブ要因に。)
- 人口減少による需要減(とりわけ地方では。)
「マイホーム(実家)を建てて30年。子供たちは独立し、それぞれで家を持っている。」
⇒「実家を引き継ぐ子供はいない。」
⇒「売却しようにも、人口減少で売れない。」
⇒”空き家発生”
(2)空き家の増加を防止する施策
空き家の増加を防止する施策としては、たとえば次のようなものがあげられます。
- 中古住宅の流通促進(空き家を活用する!)
- 解体費用を助成(空き家を除却する!)
とはいえ、中古住宅の流通促進に関しては、とりわけ地方では人口減少により不動産需要を喚起するにも限界があります。
危険な空き家の発生を防止するという観点からは、解体費用の助成は効果的な施策であると感じます。
(とはいえ、建物を除却した後の土地の維持管理については課題が残り続けることに。)
このほかにも税制面での取り組みも進んでいます。
2.空き家の解体費用の補助
(1)空き家の解体費用
空き家を解体するのには、意外と大きなお金が必要となります。
インターネットで検索してみると100~300万との情報がありました。
- 場所(トラックや重機の出入りのしやすさ)
- 建物の構造(木造、鉄骨造、コンクリート造など)
- 建物の延床面積
こういったところが費用の多寡に影響するようです。
(2)解体費用の助成は重要
建物を解体して、土地が売れて、解体費用を賄うことができるのであれば、多額の解体費を支払う人もいるでしょう。
ところが、土地は売れないけれど、建物の状態が悪く壊さなければならないということになると、建物所有者にとっては、ただお金が出ていくだけということになってしまいます。
もちろん、建物所有者としての責任ではあるのですが、大きな金銭的負担であることには違いありません。
そのため、空き家の増加を防ぐという観点から、空き家の除却を進めるのであれば、除却のための費用(解体費用)を助成することは非常に効果があると考えれます。
一方で、本来は建物を建てた人が自らの収支のなかで対応すべきことともいえます。
解体費用の助成(単純化していえば私たちの税金が原資)にあたっては、「助成をしてまで空き家の減らす必要性」と「空き家の所有者の自己責任」とのバランスが重要となります。。
3.近隣市町(沼津・三島)の解体費用の助成について
(1)三島市の制度
まずは三島市です。
三島市では「既存建築物耐震性向上事業(木造住宅の除却事業)」として解体費用の補助がなされています。
前提として、つぎの要件全てに該当する建物である必要があります。
- 木造住宅
- 昭和56年5月31日以前に建築された建物
- 地震に対して安全な構造とする旨の特定行政庁による勧告等を受けている建物
- 耐震診断の結果、評点が1.0未満と診断された建物
30万円を限度に、該当する建物全部を除却する工事に要する費用について補助がでます。
(2)沼津市の制度

続いて沼津市です。
沼津市では「沼津市空家等除却事業(空き家の除却に関する補助制度)」として解体費用の補助がなされています。
補助対象は、つぎのとおりです。
- 市内に所在する空き家(居住その他の利用がなされていない状態が概ね1年以上続いているもの)の除却費用
- 除却する空き家の状態又は除却後の跡地が、次のいずれかに当てはまる
- 人が住むために使われていた建築物又はその部分で、構造又は設備が著しく不良のため生活できる状態になく、住宅地区改良法施行規則別表に従い測定した住宅の不良度が100点以上の場合
- 今後も建築物を使う見込みがなく、除却後の跡地を地域活性化のため計画的に利用される場合
最大80万円(!)の補助とされています。
このほかにも、つぎのような補助制度があります。
- 木造住宅除却助成事業(解体工事)
耐震化されていない木造住宅の所有者に対して解体工事費用の一部を補助します。
補助額は事業費の23%以内(上限20万円) - ブロック塀等耐震改修促進事業費補助金(沼津市建築物等耐震化促進事業費補助金)
倒壊または転倒の恐れのある危険なブロック塀等を除却する工事(避難路・避難地・通学路・緊急輸送路に面するもの)などに対して、最大26万6千円
4.住まいの終活の必要性
ここまで「空き家の解体費用の助成」について見てきました。
とはいえ「助成」である以上、必ず自己負担は発生します。
また空き家除却後も、敷地の管理責任は残ります。
そう考えると、個々人としては「空き家になる前に処分する」という「住まいの終活」が重要ということになります。