戸籍法77条の2の届出(離婚の際に称していた氏を称する届)

1.離婚と氏

参照条文

民法(明治二十九年法律第八十九号)

(離婚による復氏等)
第七百六十七条 
婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。

婚姻によって氏を改めた者は、離婚により婚姻前の氏に戻る。

ただし、離婚の日から3カ月以内に戸籍法に基づく届出を提出することで、離婚の際に称していた氏を称することができる。

「 離婚 → 氏戻る → 希望すれば変更可 」という流れか。

2.氏を離婚の際と同じ氏に「変更」

(1)離婚の際に称していた氏を称する届出

前項の戸籍法に基づく届出は、つぎの条文に規定されている。

参照条文

戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)
第七十七条の二 
民法第七百六十七条第二項(同法第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定によつて離婚の際に称していた氏を称しようとする者は、離婚の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。

(2)離婚届について

上記と関連して、離婚届に関する規定を確認する。

参照条文

戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)
第七十六条
離婚をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 親権者と定められる当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名
二 その他法務省令で定める事項

第七十七条 
第六十三条の規定は、離婚又は離婚取消の裁判が確定した場合にこれを準用する。
② 前項に規定する離婚の届書には、左の事項をも記載しなければならない。
一 親権者と定められた当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名
二 その他法務省令で定める事項

第六十三条 
認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
② 訴えを提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添付して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。

参照条文

戸籍法施行規則(昭和二十二年司法省令第九十四号)
第五十七条 
戸籍法第七十六条第二号の事項は、次に掲げるものとする。
一 協議上の離婚である旨
二 当事者が外国人であるときは、その国籍
三 当事者の父母の氏名及び父母との続柄並びに当事者が特別養子以外の養子であるときは、養親の氏名
四 同居を始めた年月
五 別居した年月
六 別居する前の住所
七 別居する前の世帯の主な仕事及び国勢調査実施年の四月一日から翌年三月三十一日までの届出については、当事者の職業
八 当事者の世帯主の氏名
② 戸籍法第七十七条第二項第二号の事項は、左に掲げるものとする。
一 調停による離婚、審判による離婚、和解による離婚、請求の認諾による離婚又は判決による離婚の別
二 前項第二号乃至第八号に掲げる事項

3.氏の変更(原則は「家庭裁判所の許可」)

なお、「氏」を変更する際の原則的な手続きは次のとおり。

参照条文

戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)
第百七条 
やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
② 外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。
③ 前項の規定によつて氏を変更した者が離婚、婚姻の取消し又は配偶者の死亡の日以後にその氏を変更の際に称していた氏に変更しようとするときは、その者は、その日から三箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。
④ 第一項の規定は、父又は母が外国人である者(戸籍の筆頭に記載した者又はその配偶者を除く。)でその氏をその父又は母の称している氏に変更しようとするものに準用する。

第百七条の二 
正当な事由によつて名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

「離婚の際に称していた氏を称する届」というのは、離婚後3カ月以内に限り認められる例外ということになる。