抵当権又は根抵当権の債務者氏名変更登記とPDF添付

1.条文の確認

(1)「登記原因証明情報」と条文の確認

参照条文

不動産登記令(平成十六年政令第三百七十九号)
(添付情報の提供方法に関する特例)
附則第五条 
電子情報処理組織を使用する方法により登記の申請をする場合において、添付情報(登記識別情報を除く。以下同じ。)が書面に記載されているときは、第十条及び第十二条第二項の規定にかかわらず、当分の間、当該書面を登記所に提出する方法により添付情報を提供することができる。
2 前項の規定により添付情報を提供する場合には、その旨をも法第十八条の申請情報の内容とする。
3 第十七条及び第十九条の規定は第一項の規定により添付情報を提供する場合について、第十八条の規定は同項の規定により委任による代理人(復代理人を含む。)の権限を証する情報を提供する場合について、それぞれ準用する。
4 第一項の規定により書面を提出する方法により当該登記原因を証する情報を提供するときは、法務省令で定めるところにより、申請情報と併せて当該書面に記載された情報を記録した電磁的記録を提供しなければならない。この場合においては、第十二条第二項の規定は、適用しない。

(電子署名)
第十二条 
電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請するときは、申請人又はその代表者若しくは代理人は、申請情報に電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいう。以下同じ。)を行わなければならない。
2 電子情報処理組織を使用する方法により登記を申請する場合における添付情報は、作成者による電子署名が行われているものでなければならない。

不動産登記規則(平成十七年法務省令第十八号)
附則第二十二条 
令附則第五条第四項の電磁的記録は、法務大臣の定めるところにより送信して提供しなければならない。
2 令附則第五条第四項の電磁的記録の提供は、法第六十四条の登記以外の登記につき、同項の書面に記載された情報のうち登記原因の内容を明らかにする部分についてすれば足りる。
3 令附則第五条第四項の規定により同項の書面に記載された情報を記録する場合には、法務大臣の定めるところにより当該書面に記載されている事項をスキャナ(これに準ずる画像読取装置を含む。)で読み取る方法によらなければならない。

(2)PDF添付

附則5条4項より、登記原因証明情報を書面提出で提供するときには、申請情報と併せて登記原因証明情報を電磁的記録により提供する必要がある。
この際には、電子署名(規則12条2項)は不要。

2.登記名義人の氏名等の変更等登記について

(1)条文の確認

参照条文

不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)

(登記名義人の氏名等の変更の登記又は更正の登記等)
第六十四条 
登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が単独で申請することができる。
2 抵当証券が発行されている場合における債務者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、債務者が単独で申請することができる。

(2)法64条に基づく登記の場合にはPDF添付は不要

条文があっちこっちいきますが、つぎのとおり、添付は不要。

  1. 令附則第5条4項により「書面(登記原因を証する情報を記載した書面)に記載された情報を記録した電磁的記録を提供」する必要がある。
  2. ただし、規則附則第22条2項により、法第64条の登記については不要(「同項の書面に記載された情報の」すべてを提供する必要があると読めなくもないような気が・・)。

3.先例により不要

平成20年3月19日民二第950号通知により、(根)抵当権の債務者の氏名若しくは名称又は住所についての変更(更正)登記の申請において、公務員が職務上作成した情報を登記原因証明情報とする場合には、添付は不要とされている。

これは、登記原因証明情報の添付について、(根)抵当権の債務者の氏名若しくは名称又は住所についての変更(更正)登記について、法64条による登記に準じた取扱いをするとの理由付けによる。