目次
1.養子縁組をしたとき
(1)条文
戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)
第十七条
戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者以外の者がこれと同一の氏を称する子又は養子を有するに至つたときは、その者について新戸籍を編製する。
第十八条
父母の氏を称する子は、父母の戸籍に入る。
② 前項の場合を除く外、父の氏を称する子は、父の戸籍に入り、母の氏を称する子は、母の戸籍に入る。
③ 養子は、養親の戸籍に入る。
第二十条
前二条の規定によつて他の戸籍に入るべき者に配偶者があるときは、前二条の規定にかかわらず、その夫婦について新戸籍を編製する。
(2)養子縁組をすると戸籍異動するのが原則
養子縁組をした場合、養子は「養親の戸籍」に入るのが原則。
(養親が「筆頭者及びその配偶者」以外の者である場合には、養親について戸籍を編成したうえで、養子が編成された戸籍に入る。)
2.養子に配偶者があるとき
(1)養子夫婦について新戸籍を編成するのが原則
戸籍法20条により、夫婦について新戸籍を編成する。
全般について昭和62年10月1日民二第5000号通達が参考となる。
(2)婚姻によって氏を改めた者が養子となった場合
民法810条但書により、婚姻後の氏が優先されるため、養親の戸籍には入らない。
新戸籍の編製もなされない。
民法(明治二十九年法律第八十九号)
(養子の氏)
第八百十条
養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。
「婚姻の際に定めた氏を称すべき間」というのは、配偶者が死亡し復氏していない状態も含むということ。
(婚姻による氏が最優先されるが、復氏すると養親の氏を称することに。)
(3)婚姻の際に氏を改めていない者(筆頭者)が養子となった場合
養子を筆頭者として新戸籍が編成される。
(参照先例:平成2年10月5日民二第4400号)
縁組当事者ではない配偶者も、随従して新戸籍に入る。
民法(明治二十九年法律第八十九号)
(夫婦の氏)
第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。
たとえば、婚姻の際に「夫の氏を称する」としたのならば、夫が養子縁組よって氏が変わった場合においても、妻は「(縁組によって変わった)夫の氏を称する」ということになる。
3.養子に子があるときの子の戸籍変動
(1)養子について新戸籍が編成される場合
上記1・2で確認した通り、養子について新戸籍が編成されるのが原則。
(例外的に、婚姻の際に氏を改めた者が養子となった場合。この場合には、養子について戸籍の異動はないので、子についても当然に異動はない。)
養子と同籍していた子については、その父母の氏の変動によっても影響を受けない。
そのため、同籍していた戸籍に残り続けることに。
(2)入籍届をすることで親の戸籍に移ることができる
戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)
第九十八条
民法第七百九十一条第一項から第三項までの規定によつて父又は母の氏を称しようとする者は、その父又は母の氏名及び本籍を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
② 民法第七百九十一条第二項の規定によつて父母の氏を称しようとする者に配偶者がある場合には、配偶者とともに届け出なければならない。
民法(明治二十九年法律第八十九号)
(子の氏の変更)
第七百九十一条
子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。
2 父又は母が氏を改めたことにより子が父母と氏を異にする場合には、子は、父母の婚姻中に限り、前項の許可を得ないで、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父母の氏を称することができる。
3 子が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、前二項の行為をすることができる。
4 前三項の規定により氏を改めた未成年の子は、成年に達した時から一年以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、従前の氏に復することができる。
父母が養子縁組したことにより、当該父母と子が氏を異にする状況になった際には、民法791条に基づく届出(入籍届)をすることで、子が父母の氏を称することができる。
父母が婚姻中であれば、家庭裁判所の許可を得ることなく、氏の変更が可能である。


