戸籍調査の民間委託

2016年3月9日

毎日新聞の記事です。

http://mainichi.jp/articles/20160309/k00/00m/010/157000c

※復興事業と司法書士の関わりについては月刊登記情報(2016年3月号)もご参照ください。

記事の内容が非常にわかりやすいので、それをみれば現在の課題と、その課題解決のため司法書士を使おうとしている理由はわかるかと思います。

とはいいながら、自身の理解のため、僭越ながら「まとめ」をさせていただきます。

1.用地取得の重要性

復興事業を進める際に、用地取得は非常に重要な手続となります。

たとえば、災害復興住宅の建設をする場合には、建設する土地を取得しなければなりません。

津波の被害を受けた土地から高台に移転をする際にも、まずは移転先の用地取得が必要となります。そして、移転先の用地整備をしてから、移転元の土地と交換に移転先用地を提供します。

2.用地取得にあたっての困難

用地を取得するにあたっては、当然ながら、現在の所有者から土地を購入するわけです。では、所有者はどうやったらわかるのかと言えば、それは法務局にいって登記簿を見れば良いのです(法務局に行かなくても、オンラインで登記情報を確認することも出来ます。)。

登記簿を見ると、現在の所有者の「住所」「氏名」を確認することが出来ます。

住所・氏名がわかれば「よし、あとは、この住所に連絡して交渉開始だ!」となるはずですが、登記簿を見てみると、困ったことが発覚するのです。

(困ったこと1)

登記簿が、「明治」「大正」など、相当古い時期に登記されたままで止まっている。

困ったこと2)

登記簿に記載されている人の住民票・戸籍は確認出来たが、既に亡くなっている。

「用地取得のための交渉を誰にすれば良いのか」、上記1・2のいずれの場合も、登記簿を見たわけではわからないのです。

ここで、越えるべきハードルの第1は「現在の所有者を特定する」ということになります。

そのためには、登記簿上に記載されている情報から、住民票・戸籍をたどり、所有者の現在の住所地や、記載されている人が既に死亡していればその相続人を特定するのです。

そんなことは、司法書士であれば日常業務としてやっているわけですので、戸籍法の運用を変更して、公共団体も司法書士を便利に使えるようにしようというわけです。

また、上記では「困ったこと」として2つ例をあげましたが、そのほかにも「困ったこと」はたくさん出てきます。

たんに戸籍調査にとどまらず、調査の結果「現在の所有者と連絡がとれない」とか「相続人がいない状態で亡くなっている」とか、さらなるハードルがでてきたときにも司法書士はお役に立てるかと思いますで、是非とも便利に使って頂ければと思います。