目次
1.公共施設の用に供する土地の帰属について
(1)条文
都市計画法(昭和四十三年法律第百号)
(公共施設の用に供する土地の帰属)
第四十条
開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により、従前の公共施設に代えて新たな公共施設が設置されることとなる場合においては、従前の公共施設の用に供していた土地で国又は地方公共団体が所有するものは、第三十六条第三項の公告の日の翌日において当該開発許可を受けた者に帰属するものとし、これに代わるものとして設置された新たな公共施設の用に供する土地は、その日においてそれぞれ国又は当該地方公共団体に帰属するものとする。
2 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により設置された公共施設の用に供する土地は、前項に規定するもの及び開発許可を受けた者が自ら管理するものを除き、第三十六条第三項の公告の日の翌日において、前条の規定により当該公共施設を管理すべき者(その者が地方自治法第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務(以下単に「第一号法定受託事務」という。)として当該公共施設を管理する地方公共団体であるときは、国)に帰属するものとする。
3 市街化区域内における都市計画施設である幹線街路その他の主要な公共施設で政令で定めるものの用に供する土地が前項の規定により国又は地方公共団体に帰属することとなる場合においては、当該帰属に伴う費用の負担について第三十二条第二項の協議において別段の定めをした場合を除き、従前の所有者(第三十六条第三項の公告の日において当該土地を所有していた者をいう。)は、国又は地方公共団体に対し、政令で定めるところにより、当該土地の取得に要すべき費用の額の全部又は一部を負担すべきことを求めることができる。
(2)公共施設の用に供する土地の帰属先について
都市計画法の理解不足のため、40条だけを読んでも、さっぱり意味がわからないのですが、とりあえず40条1項を分解すると、つぎのようになります。
- 【前提】
開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により、従前の公共施設に代えて新たな公共施設が設置されることとなる場合 - 【開発許可を受けた者に帰属】
従前の公共施設の用に供していた土地で国又は地方公共団体が所有するものは、「第三十六条第三項の公告の日の翌日」に、当該開発許可を受けた者に帰属することになる。 - 【国又は当該地方公共団体に帰属】
従前の公共施設に代わるものとして設置された新たな公共施設の用に供する土地は、同日に、それぞれ国又は当該地方公共団体に帰属する。
「第三十六条第三項の公告の日の翌日」において、所有権が交換的に入れ替わるということに。
【従前の公共施設の用に供していた土地で国又は地方公共団体が所有するもの】
⇒(特定の期日以降)開発許可を受けた者に帰属
【従前の公共施設に代わるものとして設置された新たな公共施設の用に供する土地】
⇒(特定の期日以降)国又は当該地方公共団体に帰属
(3)都市計画法第40条第2項の規定による帰属
比較のために、40条2項も確認すると、つぎのようになります。
- 【前提】
前項に規定するもの及び開発許可を受けた者が自ら管理するものを除き - 【当該公共施設を管理すべき者に帰属】
開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により設置された公共施設の用に供する土地は、「第三十六条第三項の公告の日の翌日」に、前条の規定により当該公共施設を管理すべき者に帰属するのが原則。
(カッコ内に、例外として、帰属者が国となるケースが示されている。)
こちらは、シンプルに「設置された公共施設の用に供する土地」が「当該公共施設を管理すべき者に帰属」するケースについて。
ここでいう「前条」すなわち39条は、つぎのとおり。
都市計画法(昭和四十三年法律第百号)
(開発行為等により設置された公共施設の管理)
第三十九条
開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により公共施設が設置されたときは、その公共施設は、第三十六条第三項の公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属するものとする。ただし、他の法律に基づく管理者が別にあるとき、又は第三十二条第二項の協議により管理者について別段の定めをしたときは、それらの者の管理に属するものとする。
たびたび登場する「36条3項の公告の日」については、項をあらためて確認する。
2.帰属のタイミング
(1)第36条第3項の「公告の日」とは?
都市計画法(昭和四十三年法律第百号)
(工事完了の検査)
第三十六条
開発許可を受けた者は、当該開発区域(開発区域を工区に分けたときは、工区)の全部について当該開発行為に関する工事(当該開発行為に関する工事のうち公共施設に関する部分については、当該公共施設に関する工事)を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
2 都道府県知事は、前項の規定による届出があつたときは、遅滞なく、当該工事が開発許可の内容に適合しているかどうかについて検査し、その検査の結果当該工事が当該開発許可の内容に適合していると認めたときは、国土交通省令で定める様式の検査済証を当該開発許可を受けた者に交付しなければならない。
3 都道府県知事は、前項の規定により検査済証を交付したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該工事が完了した旨を公告しなければならない。この場合において、当該工事が津波災害特別警戒区域(津波防災地域づくりに関する法律第七十二条第一項の津波災害特別警戒区域をいう。以下この項において同じ。)内における同法第七十三条第一項に規定する特定開発行為(同条第四項各号に掲げる行為を除く。)に係るものであり、かつ、当該工事の完了後において当該工事に係る同条第四項第一号に規定する開発区域(津波災害特別警戒区域内のものに限る。)に地盤面の高さが同法第五十三条第二項に規定する基準水位以上である土地の区域があるときは、その区域を併せて公告しなければならない。
開発行為の許可を得た者が、従前の公共施設(たとえば道路)に代えて、新しく別の公共施設を設置するケース(40条1項)。
開発行為を終えて、検査済証が交付され、かつ完了の旨が公告されると、
(1)従前の公共施設の所有権は開発行為の許可を得た者に、
(2)新たな公共施設は、国又は地方公共団体に、
帰属するというもの。いわば交換が行われる。
この場合、管理者の所有権取得は、原始取得の性質があるとされる(札幌高裁平成7年10月31日判決)。
(2)登記手続き
嘱託登記による。
市町によっては、書式がHP上で確認できる。
以下は、埼玉県加須市のHP。
こまかく書式が掲載されている。
40条2項の書式が上に来ているということは、件数としては2項のほうが多いということだろうか?
(交換的に実施するケースは少ないと推察。)