相続税法58条

2017年12月20日

1.相続の発生を税務署はどう把握するのか

(1)相続税法

参照条文

相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)

第五十八条 
市町村長その他戸籍に関する事務をつかさどる者は、死亡又は失踪そうに関する届書を受理したときは、当該届書に記載された事項を、当該届書を受理した日の属する月の翌月末日までにその事務所の所在地の所轄税務署長に通知しなければならない。
2 前項の規定により市町村が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号(法定受託事務)に規定する第一号法定受託事務とする。

(2)まとめ

つぎの場合、戸籍事務をつかさどる者は、届出書記載事項を、税務署長に通知する。

  • 死亡に関する届書を受理したとき
  • 失踪そうに関する届書を受理したとき

「当該届書に記載された事項」を通知するということは、死亡等した人の情報のみならず、届出人の情報も連携されるということだろうか?

参照条文

戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)

第八十六条 
死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。
② 届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。
一 死亡の年月日時分及び場所
二 その他法務省令で定める事項
③ やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。

参照条文

戸籍法施行規則(昭和二十二年司法省令第九十四号)

第五十八条 
戸籍法第八十六条第二項第二号の事項は、次に掲げるものとする。
一 死亡者の男女の別
二 死亡者が外国人であるときは、その国籍
三 死亡当時における配偶者の有無及び配偶者がないときは、未婚又は直前の婚姻について死別若しくは離別の別
四 死亡当時の生存配偶者の年齢
五 出生後三十日以内に死亡したときは、出生の時刻
六 死亡当時の世帯の主な仕事並びに国勢調査実施年の四月一日から翌年三月三十一日までに発生した死亡については、死亡者の職業及び産業
七 死亡当時における世帯主の氏名

2.地方自治法

(1)条文

参照条文

地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)

第二条
(・・・)
9 この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
一 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであつて、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第一号法定受託事務」という。)
二 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであつて、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第二号法定受託事務」という。)

(2)まとめ

今回確認している「その事務所の所在地の所轄税務署長に通知」は、相続税法により第一号法定受託事務とされている。

国が本来果たすべき役割に係るものであるが、適正な処理を行うために、法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理する事務である。

参照条文

地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)

(政令に定める法定受託事務)
第一条 
政令に定める法定受託事務(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項に規定する法定受託事務をいう。)で同条第十項の政令に示すものは、第一号法定受託事務(同条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務をいう。第二百二十三条において同じ。)にあつては別表第一の上欄に掲げる政令についてそれぞれ同表の下欄に、第二号法定受託事務(同法第二条第九項第二号に規定する第二号法定受託事務をいう。第二百二十四条において同じ。)にあつては別表第二の上欄に掲げる政令についてそれぞれ同表の下欄に掲げるとおりである。

別表第一 第一号法定受託事務(第一条関係)【適当に抜粋】

政令事務
国民年金法施行令(昭和三十四年政令第百八十四号)第一条の二の規定により市町村が処理することとされている事務
地価公示法施行令(昭和四十四年政令第百八十号)第一条第一項の規定により市町村(特別区を含む。)が処理することとされている事務