非上場株式等についての相続税の納税猶予制度

2016年9月8日

国税庁タックスアンサーより

1.制度の概要

後継者である受贈者(「経営承継受贈者」。)が、贈与により、非上場会社の株式等を先代経営者である贈与者から一定数以上取得し、その会社を経営していく場合に利用できる制度。

この制度を利用すれば、経営承継受贈者が納付すべき贈与税のうち、一定額の納税が猶予される(猶予される贈与税額を「非上場株式等納税猶予税額」という。)。

この非上場株式等納税猶予税額は、先代経営者や経営承継受贈者が死亡した場合などにはその全部又は一部が免除される。

逆に、免除されるときまでに特例の適用を受けた非上場株式等を譲渡するなど一定の場合には、非上場株式等納税猶予税額の全部又は一部を利子税と併せて納付することとなる。

この制度を利用するための要件については、非常に細かいので省略。

2.特例を受けるための手続き

(1)

この特例を受ける旨を記載した贈与税の申告書をその申告期限までに提出する。

(2)

上記(1)の申告書の提出期限までに非上場株式等納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保を提供する必要がある。なお、特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として提供した場合には、非上場株式等納税猶予税額及び利子税の額に見合う担保の提供があったものとみなされる。

3.「非上場株式等のすべてを担保として提供」する方法

(1)株券発行会社の場合

非上場株式(株券)を法務局(供託所)に供託し、供託書の正本を税務署長に提出する(国税通則法施行令第16条第1項)。

(2)株券不発行会社の場合

ⅰ.認定承継会社の非上場株式に税務署長が質権を設定することについて承諾した旨を記載した書類

ⅱ.納税者の印鑑証明書

※ 質権設定後に、認定承継会社の株主名簿記載事項証明書(会社法第149条に規定された書面で、代表取締役が記名押印したもの)及び当該証明書の押印に係る代表取締役の印鑑証明書を提出する。

会社法(平成十七年七月二十六日法律第八十六号)

第百四十九条

前条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録された質権者(以下「登録株式質権者」という。)は、株式会社に対し、当該登録株式質権者についての株主名簿に記載され、若しくは記録された同条各号に掲げる事項を記載した書面の交付又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。

2  前項の書面には、株式会社の代表取締役(指名委員会等設置会社にあっては、代表執行役。次項において同じ。)が署名し、又は記名押印しなければならない。

3  第一項の電磁的記録には、株式会社の代表取締役が法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

4  前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。